Sol LeWitt: Open Structure
20世紀後半 Minimal Art と Conceptual Art を橋渡しする文脈で知られたアメリカの現代美術作家 Sol LeWitt の個展です。
最近では『ミニマル/コンセプチュアル』展 (川村記念美術館, 2022) での立体作品が印象深いですが [鑑賞メモ]、
この展覧会は Wall Drawing の作品を8点展示していました。
東京国立近代美術館の常設に1点ありますが、これだけまとめて観る機会は無く、見応えありました。
Wall Drawing におけるSol LeWittの指示と実際に壁に描かれたドローイングの関係は、
その簡潔で抽象的な形態もあって、脚本とその上演というより、楽譜とその演奏 (インタープリテーション) の関係を見るよう。
解釈の裕度がある、もしくは、場所の条件が入り得る指示もあり、偶然性や即興を取り入れた作曲に近いものを感じました。
眼前の物質化された作品の向こうに理念的で抽象的な構造を想像しつつ楽しむという面もありますが、
立体作品と比べ Wall Drawings では、簡潔な形態だけに、形にした際の物の実感、テクスチャが逆に浮かび上がってくるようにも感じられました。
また1990年代の作品、小ぶりの版画作品 «Complex Forms» (1990) では手書きの非直線が使われてる一方で、
色面の塗り分けをという共通点のある «Wall Drewing #770» ではマスキングテープを使ったと思われる手書きを感じさせない直線が使われているなど、
その差異とコントラストも印象に残りました。
東京都と TOKAS (Tokyo Arts and Space) によるアニュアルの現代美術の賞の第5回の受賞者展です [前回の鑑賞メモ]。
受賞者2名のうち 呉 夏枝 は『遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22』 (東京都写真美術館, 2025) [鑑賞メモ] に続いてですが、
梅田 哲也 は昔に 大友 良英 関連で観たことがあった程度で [鑑賞メモ]、最近の活動はほぼノーチェックでした。
これまでの受賞者展では選ばれた2名がそれぞれに展示を構成してきましたが、
今回は2人の作品が密に組み合わされ、2人が協働してインスタレーションを作り込んだような展覧会でした。
視線を誘導するようなオブジェや耳を引くような音響装置を配した足場を組んだ空中回廊等の大掛かりな 梅田 のインスタレーションの中に、
呉 の布や糸を使ったインスタレーションも配され、音響装置からは 呉 の作品に関連する語りが聞こえてきます。
様々な視線や音への注意が誘導される空間構成の中を歩いていくうちに、
呉 のルーツでもある済州島出身の祖母にはじまるナラティヴも辿ることになります。
足場の間を歩きながら誘導された視線の先の視野の面白さを堪能しつつ、
最後の《海人の道》と《椿の咲くところ》で呉のナラティブにじっくり向かい合う、という展開も良かったです。
『ミッション[宇宙×芸術]』 [鑑賞メモ] から10年、 国際量子科学技術年 (2025年) に合わせて開催された、宇宙や量子などのサイエンス領域とアートのコラボレーションの展覧会です。 10年前の展覧会もすっかり忘れていましたし、本を読んだりオーソドックスな作りの科学ドキュメンタリーを観た方が良いのではとは思ってしまいました。 しかし、そんな中では少々浮いてた気もしましたが、片岡 純也+岩竹 理恵 [鑑賞メモ] による《KEK曲解模型群》のユーモアを楽しみました。
コレクション展示室の中では、3階の展示室を使った 中西 夏之 と 池内 晶子 の展示『弓形とカテナリー』。
『あるいは、地のちからをあつめて』 (府中市美術館, 2021-22) [鑑賞メモ] ぶりに、池内 の絹糸を使った繊細なインスタレーションの繊細な空間構成を楽しみました。
また、中西の絵画を壁掛けではなくレイヤーのように見えるよう宙に下げて展示しており、
泡や液体を思わせる抽象的な画面とその空間構成が合っていました。