10月12日(月)
JCO臨界事故 中性子線の被害は大丈夫?
核分裂したウラン量は?
本日発売の週刊朝日とアエラから気になった記事を抜粋しました。
350メートルの避難では不十分だった(週刊朝日10/22号)
グリーンピース・インターナショナルの臨界事故調査団が
事故現場から175メートル離れた民家の食塩を分析した。
塩のナトリウムがナトリウム21に変化した量を調べて、
中性子線量を推測できる。
ただし、ナトリウム21の半減期は15時間。正確な数値は把握できない。
佐々木研一立教大教授の協力で分析したところ、
一時間当たり1.6ミリシーベルトの中性子線を浴びたと推定。
これは一般人の年間線量限度を1ミリシーベルトを越えている。
事故現場から350メートルの地点では0.4ミリシーベルトと推定。
3時間で一般人の年間線量限度を越えている。
被爆者49人、決死隊18人は強い中性子線を浴びている。
決死隊では最高98ミリシーベルトに達した。
1〜10グラムのウラン235が核分裂(週刊朝日10/22号)
原子力資料情報室の上沢千尋さんのコメント
「・・・・少なくとも10の16乗から17乗ベクレルの核分裂生成物ができ、
そのうちの14乗〜15乗ベクレルの放射性物質が施設外に放出されたようです。
・・・・・」
飛び出した放射性物質の量は危険な範囲か?(週刊朝日10/22号)
●京大の小出裕章氏は4日に事故現場から100メートルの地点で
ヨモギの葉からヨウ素131を発見。
●グリーンピース調査団、7日に現場近くでヨウ素131,133を発見。
●ナトリウム24は3キロ離れた地点でも発見されている。
●原子力資料情報室の推定
核分裂生成物のうち大部分を占めるクリプトン91、キセノン138などの
希ガスはほとんど全量が放出され、このほか揮発性の高い生成物が飛び出した。
希ガス類は空中でベータ線を出しながら粒子となって降下する。
クリプトン91はベータ崩壊してストロンチウム91に
キセノン138はセシウム138に変わる。
核分裂したウランの総量はせいぜい数ミリグラム(アエラ10/18号)
反応で生まれた「死の灰」も、きわめて微量だったことになる。
事故対策本部の報告によれば、
放射性のガスから変化した放射性物質(セシウム138、ストロンチウム91)
が、事故現場の周りで見つかった。
他にも放射性物質の発見はあるが、国の摂取制限値を大幅に下回る。
<コメント>
核分裂したウラン量は雑誌アエラでは数ミリグラム、
原子力資料情報室では1〜10グラムとかけ離れている
それによって「死の灰」の量についても見解が違う。
これは正確な数字がつかめない、ということだろうか?
レントゲン検査が1回1ミリシーベルトということなので、
中性子線を余分に受けることは良くはないが、大事には至らなかった、
という感触である。ただし、中性子線で生じる放射性物質、
漏れだした放射性物質の量はよくわからない。
こちらに
元JCO職員の菅井弘氏が書いた『臨界事故について』の文章がある。
JCOの果たしてきた役割、事故の背景がよくわかる。
また、原子力産業全体についても触れており、
JCOの立場を理解して欲しい、と訴えている。
一読の価値在り
10月11日(月)
NHK『JCO臨界事故 緊迫の22時間を追う』
10月10日21:00、NHKの番組である。
たいへんわかりやすかったので、メモを作成した。
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●10:35
臨界の瞬間 青白い光りがでる。
事故直後 JCO従業員たちがグランドに集まっている、
ところを近隣の住民が見る
JCO所長 事故の10分後に臨界ではないかと思う
第1報 東海村が雇った専門家がJCOから事故報告のファックスを受け取る
●12:00
東海村役場が村民に避難するよう呼びかける
現場から100メートルの住民、庭で柿をとっていた椎名聡さんは、
役場に電話するが、大丈夫だろうと、そのまま庭で作業をする。
各地の測定場所で異常あり
2キロ地点では10倍の放射線の測定値
原子力安全局 間宮氏が総理大臣秘書官に連絡したのは2時間後。
●14:00
原子力安全委員会が開かれる
「臨界が続いている可能性がある」と住田健二氏がコメント。
それを裏付ける情報がなく、このとき臨界は検討されなかった。
しかし、懸念どおり続いていた。
測定値は通常にもどり、収束するだろうと思われた。
JCOは突然、村民を避難させるよう要請した。
東海村の住民の中には、
JCOの社員が避難している場所より近い人がいた。
●15:00
東海村の村上村長が自主的避難をよびかけた。
村上村長のコメント。
「国には相談しません。対策本部もないんだもん。
一村長にそういうことを決断させるのか」
160人がコミュニティセンターに避難。
同15:00 茨城県がJCOの担当者に直接、事故内容を聴取。
16キロのウラン投入を聞く。
茨城県の担当者が「中性子線を調べろ」と指令。
●16:00
原子力安全委員会 間宮氏は「事態は落ちつきつつある」と判断。
それに沿って政府も発表。
1時間あたり4ミリシーベルトの中性子線量 通常の2万倍を計測
「やはり これはたいへんなことである」と間宮氏は総理関係に伝える。
この時点でも国の指示はなし。
●20:30
中性子線の量は減らない
県は10キロ以内の避難をどうするかを国に聞く
2時間後の22:30に国から返事があった。
橋本知事は「国から提案してほしかった」とコメント。
●22:30
10キロ以内の屋内待避決定
・関係者全員が臨界は一瞬のことと思いこんでいた。
・先入観によって誤った判断をしてしまった
判断が遅くなった原因は
・住民の避難については国の判断を待つ。
・国はさらに専門家の判断を待つ。
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●22:30以降、臨界を止める作業準備が進む
・臨界を止めるのため、配管のバルブをゆるめて水を抜くことに。
日本原子力研究所 対策本部 田中副所長
「たいへんなことが起こっているなあ」というのが実感。
日本原子力研究所 保健物理次長?
「かなりシビアな状況であると認識」
さまざまな可能性を対策本部で考えた。
水の層には中性子を反射させる性質があり、
建物の外に水のポンプがあるので
水を抜くことで臨界を止められると思った。
日本原子力研究所のコンピュータで水を抜くシミュレーションした。
水がある場合は1.047?
水がない場合は1.011で
計算上は臨界が止まらないが、実際より大きくでる傾向にあるので、
臨界が止まる可能性は高いと考え、実行することになった。
●23:30
JCO管理棟が作戦司令部
住田委員(最も詳しい。当初、臨界ではないかと言った人)
が派遣された。
住田委員コメント
「リーダーシップをとるつもりでいった。
越島所長とJCOの幹部にいった。
緊急被爆をしても止めなくてはいけない。
越島所長とJCOの幹部は、もうひとつピンとこなかったかんじだった。
JCO幹部は『しばらく時間をください』と答えた」
越島所長コメント
「つらかったですね やむおえない
社員にたいへんなことを・・・・
やむおえない としか言えない」
数多くのベテランの社員が志願した。
一人が作業、ひとりが照明と時間を担当。
最初は写真を撮影しにいった。
手元のアラームは50マイクロシーベルトでなり、それで作業時間おしまい。
当初、作業からもどってきた社員の被爆量は予想以上。
100mシーベルト以上
その後は1分間作業になった
1回目はバルブ
5回目でパイプを壊す。
臨界はおさまらない。
配管の一方にアルゴンガスをいれて強制的に水をだす。
10/1 6:00
ガスを注入 成功した。
水が抜けた直後、中性子線は0になった。
10月1日午前6時15分 臨界終了確認
8:15
しかし、ウランが沈殿して再臨界が起きる可能性があり、
ホウ酸を17リットル注入。
9:12 臨界対策作業はすべて終了
住田氏コメント
「これで最低限の申し訳は立つ。満足感はない」
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(今回のウランは高速増殖炉 常陽のための燃料)
以下、元JCO社員のコメント と NHKのコメントをごっちゃに書く
円高によって外国製品が安くなってきた。質は悪い。
「電力会社は安い製品でなければ困る。
高ければ外国製品を使う」と言った。
ウラン付着、洗浄の手間がないのでバケツを使った。
昔からのことで、悪気があってバケツを使ったわけではなく、
コスト削減のため、現場では悪いことをしている意識はなかった。
手順の変更は国の許可を得ていなかった。
JCOは3年前におおきなリストラをした
180人から110人に減った。
ちょっと無理があったのでは?
手作業でお金をかけない方針であった。
10年間 立ち入り検査なし
科学技術庁「臨界事故は起こり得ない」
ウラン燃料加工施設の定期点検はない。
立ち入り検査をする権限があるが、
任意の調査も7年間おこなわれていない。
チェックする機構の規模が小さく、
作業手順書などをチェックする人員はいない。
アメリカではチェックする人は3000人
日本では300人
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<コメント>
思ったより緊迫した内容だ。本当におさまって良かった。
臨界事故として調査を始めたのは、15時以降で事故発生から約5時間。
住田氏の臨界発言が黙殺されたのはおかしい。
JCOの越島所長は、臨界と気づいていながら、何もしなかった。
この人、何かヘンな感じがする人である。
結局、20時間、強い中性子線がJCOから発生していたことになる。
相当の人々が異常に長い時間、強い中性子線にさらされたことになる。
この影響はどうなのか? この番組ではわからなかった。
この番組を見て、
原子力安全委員会の間宮氏、JCOの越島所長の責任は重いと思った。
責任ある地位にある人が、その職務を全うしていない。
こういうときのために高い給料を貰っているのではないのか?
「しょうがなかった」という感じで、反省の弁はなかった。
そして、国の判断は著しく遅かった、というか
国は住民避難といった判断をする能力がない、といってもいい。
結局、村、県、国という順番に危機に対応したことなっている。
国は追従しただけである。
今日のテレビでは、
JCOからまだ放射能物質、ヨウ素131が漏れていることが判明。
JCOは「何もしてなかった。これから密閉する」と本日、発言。
いったいどうなっているのだろうか?
まだ、密閉してなかったんだ?!
国は情報を隠しているのか と思ったが、
そうではなく、ただ単に”でくの坊”だったのだろうか?
まだ情報隠しのがマシである。
まだまだ油断はできないと思う。要注意
10月10日(日)
カメラマン、アンリ・カルティエ=ブレッソン(NHK教育)
アンリ・カルティエ=ブレッソンは1908年生まれのフランス人のカメラマンである。
現在91才で健在で、NHKがインタビューに成功した。
インタビュー嫌いで知られており、番組を見るとそれがよくわかる。
しかし、たいへん面白い番組になっていた。
何が面白かったかは、また別の機会に掲載するが、
基本は”アナーキー”な点だと思う。
キリスト教も神も信じない。20世紀という区切り方にも異論を唱える。
気持ちいいぐらい、既成概念に従わない。
彼の写真は、きわめて計算された構図で撮影されているが、
自分から意図的に人を動かしたりはしない。
じーーと完璧な構図になるのを待って、撮影する瞬間を待つ。
欧米人の自己表現とは違った、”待つ””在る”という感覚、
東洋的な感覚を持ったカメラマンである。
いくつかエピソードを列記する。
●戦争時、レジスタンス活動を行う。友人の遺体も撮影。
●1947年にはロバートキャパらと写真家集団「マグナム」を設立
●1952年にマティスの装幀で出版した写真集『決定的瞬間』
●最近は絵画も描いている
<グーで調べるとアンリ・カルティエ=ブレッソンで57件>
●
「マグナム」ラッセル・ミラー著
●
こちらに詳しい説明があった。
●
こちらにミニギャラリーがある。
●
京都では11月に展覧会があるそうだ。
10月9日(土)
JCO臨界事故 原発関係者の子供は登校しない?
/五輪予選カザフスタン戦
原発施設従業員の妻は語る(週刊現代10/23号)
「事故があった日は、・・・・。
真夜中になって、主人がこちらに着き、
すぐに私と子供二人を乗せて、そのまま家族で東京の親族の家に
緊急避難しました。・・・・。
子供たちはまだ親族に預けたままです(10/5現在)。
国のほうから安全宣言が出されましたが、とても信用できません」
グリーンピースの専門家のコメント(週刊現代10/23号)
ショーン・バーニー氏のコメントは以下のとおり(10/3検査)
「JCOの工場の南側を通る県道62号線の路上での調査ですが、
1時間あたり、通常0.1マイクロシーベルトのところが、
0.5マイクロシーベルトの放射線を記録しました。
ここは10月1日に通行禁止が解除されたところ。
調査チームリーダーのオランダ人核物理学者は、
『少なくとも通常より高い数値がでる間は通行禁止にすべきだ』
と驚いていました。
現在、各所で採取した土壌の調査結果をまとめているところですが、
ヨーロッパでは通行禁止処置がとられるレベルの汚染が続いているとみて、
間違いありません」
18年前のJCOフッ素ガス漏れ事故(週刊ポスト10/22号)
18年前、JCOから漏れたフッ素ガスが原因で、
近隣の農作物、植木が枯れてしまった。
その際には、1ヘクタールの畑の半分をやられた人には約250万円、
6俵分の米がダメになった人には6万円の補償をした。
ウランの臨界量について(ヤフー掲示板から)
「ところで日本最初の原子炉は原研のJRR1で燃料はウラン溶液でした。
この原子炉の臨界ウラン量は235−Uで約1.2kg
濃縮度が20%ですから全ウラン量としては約6kgです。
つまり20%濃縮度のウランは少なくとも約6kgあれば今回のような臨界になるのです」
解説:今回の事故では20%のウラン溶液が16kgなので、
全ウラン量は3.2kg、充分、臨界に達する量である。
週刊宝石10/21号の桜井淳氏の以下の記事には間違いあったようだ
「ウラン溶液16キロ(濃縮率19.9%)、ウラン235の量が約3キロで、
17シーベルトの被曝量を記録することができるのか、
臨界になることがあるのか、奇異に感じた」
(→→→約3キロで臨界になることはあるらしい
桜井氏の勘違いらしい? その後、桜井氏はこの件に触れてない)
(→→→17シーベルトの被曝量については今もよくわからない。
臨界事故で、どれくらいの中性子線がでたのか、
放射性物質が生成されたのか?
シミュレートできないのだろうか?
きっとある程度、シミュレートできるのではないかと思う。
ぜひ、専門家の報告を聞かせて欲しい)
<コメント>
一番、詳しいはずの原子力関係者が国の安全宣言を信じない、
というのが恐ろしい。
中では人が死ぬほどの中性子線、外は安全である、とは常識的に考えられない。
現在はおさまったとはいえ、放射性物質が外に漏れたのは事実である。
ここは外国からの調査団に詳細に調べてもらうしかないだろう。
まとまった報告と安全基準についての記事を見たいものだ。
五輪サッカー予選 日本対カザフスタン 2:0
中田が見事なロングシュート。
中田のコーナーキックをダイレクトに稲本がシュート。
この2つがゴールとなった。結局、中田である。
確か2年前、
フランス大会予選でカザフスタンと引き分け、加茂監督が更迭になった。
今日の試合を見ると、それも当然かと思った。カザフスタンは強い。
選手の質は日本とそんなに変わらないんじゃないだろうか?
Jリーグにカザフスタンの選手をひっぱってくると面白いかもしれない。
カザフスタンと引き分けたタイにも油断はできない。
中田のいない五輪代表が少し心配である。
10月8日(金)
JCO臨界事故 データ隠し? / 映画『マトリックス』
データ隠しと監視ビデオ(フライデー10/22号)
●事故現場から100メートルで被曝したA社の7人が
役場に検査結果を求めたら、数値の部分が黒く塗りつぶされた
書類が送られてきた。
その後、数字の入った書類が送られてきたが、
「絶対に外部に漏らさないでくれ」
との条件付きだったとのこと。
●この雑誌には監視ビデオの映像も載っている。
事故のあった転換棟内部の映像もある。
(監視ビデオはないと思っていたが、あったのだ
1週間たって公開されるというのもおかしな話だ)
●あと内部(体内)被曝を測るホールボディカウンターは
10月4日から行われているが、
時間が経過して正確なデータが得られない。
周辺住民の被曝拡大(日刊ゲンダイ10/9号)
●グリーンピースが4日に現場周辺の民家の食塩を調べたところ
放射性ナトリウム(ナトリウム24)が検出された。
(ナトリウム24の半減期は15時間なので、
避難解除後もかなり放射線は高かったのではないか?)
●京大工学部助手・萩野晃也氏(原子核工学)のコメント
「あの規模の事故なら、少なくとも500メートル以内は
ただちに避難する必要があった。私が3日に測定したときには、
現場周辺はまだ放射線が強く、とても安全とは言えませんでした。
ところが、政府は事故を軽微に見せようとして、
1日目には屋内待避、2日目には350メートル圏内の避難要請も
解除してしまった。こうしたことから、中性子に被曝した住民は、
発表されている7人よりももっと多いはずだし、
放射性ガスを吸って体内被曝した人は、何人になるかわかりません」
●村役場は「被曝の数字を外部に漏らすな」と口止め?!
<その他>
●BBCの映像(壊れた屋根、飛び散った破片)は
コバルト施設のものであったという説が本当らしい?
どうしてコバルト施設の屋根が壊れているのかはわからない。
この報道には曖昧なことが多い。よくわからない。
以上、本日の入手情報である。
そろそろ関心が薄れてきた頃になって、新しい情報が入る。
今、一番わからないのは
●被曝した人々の数と程度
である。
内部では原爆の爆心地と同じ程度の被曝を受けた人がいて、
その外では、安心できる程度、と言われても納得できない。
そのデータも隠されているようである。
情報公開してくれないものだろうか?
情報公開しないのも犯罪ではないのか?
●映画『マトリックス』
本日、マトリックスを見た。
たいへん面白かった。
ただ、最初は話がわからず、退屈になるところがあるが、
そこを我慢すると面白くなってきます。
設定が複雑なので、今でも納得できない点があるが、
それはそれで楽しめる。
主人公のキアヌ・リーブスとキャリー・アン・モスの二人が
だんだん美しく見えてくるのが面白かった。
ちなみに二人が着ていたコートを予約販売していた。
ウオシャウスキー兄弟が監督・脚本。
原作があると思ったが、どうもこの兄弟のオリジナルらしい。
凄い才能である。
ウオシャウスキー・ファンのページ
エンターテイメントしつつ、描きたいことを描いたという映画である。
癖のある映画なので、SF好きでアクション好きの方にお薦めします。
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