夢の城

― 登場人物 ―


仕事の話(三)
― 上 ―

主要登場人物

村西兵庫助(ひょうごのすけ)(兵庫)
大木戸九兵衛(くへえ)
井田小多右衛門(こだえもん)
 玉井郡牧野郷出身の武士たち。牧野郷では少数派の柿原党(柿原一族が率いる新興金融集団)支持者だったが、柿原党の利益を図って備蓄米を焼いたため、村を追われた[桜の里(七)5.]。現在、玉井の町の柿原屋敷に身を寄せている。三人のなかでは村西兵庫がリーダー格らしい。なお、小多右衛門が言う「明徳寺」は、牧野郷の中心となっている寺院 明徳教寺のこと。
長野雅一郎(まさいちろう)
 玉井郡中原村出身の地侍(武士 兼 零細地主)。牧野郷に柿原党の使者として赴いたが、町の銭屋の取り立てを失敗させるという役目を果たせず、行き場を失ってやはり柿原屋敷に身を寄せている。
大松彰立(あきたつ)、六郎
 柿原屋敷の用人を務める武士。兄は守護代(大名)の評定衆(ひょうじょうしゅう)の一人。訪ねてきた町の銭屋の笹丞(ささのじょう)に、取り立てに協力してやろうと申し出た[仕事の話(二)下]
笹丞(ささのじょう)坂丞(さかのじょう)
 町の銭貸し、利穂(りほ)の夫。銭貸しの寄合から帰った後、何か思いつめて家を飛び出し[仕事の話(二)上]、柿原屋敷に現れて自分の貸し金の証文を買い取ってほしいと持ちかけて拒否された[仕事の話(二)下]。大松彰立はその名を「坂丞」と呼ぶ。村西一党にとっては債権者にあたるらしい。
水鶏(くいな)屋のさと
駒鳥屋のあざみ
鋳物屋のみや
井澄(いずみ)村の松
 市場の娘たち。さとは、娘たちが双六をしている宿屋「水鶏屋」で働いている。松は村から出てきたばかりで、屋敷町に住んでいる。なお、あざみを除いて、三人とも山の北側の巣山郡の出身。
広沢の(まゆ)=藤野(屋)の繭
 長野雅一郎や村西一党に備蓄米を焼かれて借銭を返済できなくなった牧野郷から、そのかわりに連れてこられた人質の女の子。一族の歳上の女の子(まり)と、兄の葛太郎(かつたろう)といっしょに、市場の藤野屋(駒鳥屋の隣家)に預けられている。
利穂(りほ)
 銭貸しの笹丞の妻。実際の経理はすべて利穂が担当していたらしい[仕事の話(二)下]
銭屋のさわ
 本寺の元資(もとすけ)の店で働く娘。水鶏屋のさと、鋳物屋のみや、駒鳥屋のあざみ、藤野の美那、井澄村の松らの友だちで、さと・みや・松と同じく巣山郡の出身。さととは従姉妹どうしらしい[町に集う人びと(二)4.]

話題としてのみ登場する人物

柿原忠佑(ただすけ)大和守(やまとのかみ)
 竹井郡の有力名主の出身。守護代(大名)の正妻の父で[春野家・柿原家]、新興金融集団「柿原党」の総帥でもある。村西一党と長野雅一郎が身を寄せている屋敷の主人である。
千草(ちぐさ)姫、田山の方
 守護代(大名) 春野定範(さだのり)の正妻[春野家・柿原家]。本文に登場したことはまだない。
柿原範忠(のりただ)主計頭(かずえのかみ)
 柿原忠佑の息子で、千草姫の弟[春野家・柿原家]。現在、柿原屋敷を管理している。体育会系っぽい性格らしく、村西一党と雅一郎が頼ってきたときに高圧的な態度で叱りつけた[町に集う人びと(二)4.]。村西一党と雅一郎にとってはいちおう主君の一人にあたるが、村西らはじつはこの範忠を嫌っている[町に集う人びと(二)5.]
春野定範(さだのり)越後守(えちごのかみ)
 三郡守護代、つまりこの地方の大名で、最高権力者である[春野家・柿原家]。ずっと以前に登場したときには襟花(えりか)という愛妾を連れていたが……[安濃詣で(二)]
大民部(だいみんぶ)、春野正興(まさおき)
小民部(小民部)、春野正勝(まさかつ)
 「大民部」春野正興は定範の父、「小民部」正勝は兄にあたる[春野家]。いずれも定範より前に三郡守護代を務めて、すでに亡くなっている。正勝はきまじめな性格だったという話がある[桜の里(六)4.]
本寺(もとでら)元資(もとすけ)
 市場の銭貸しのまとめ役を務める若者。
(つかさ)屋の匡修(まさなが)
甲子(かっし)屋の史晋(ふみみち)
志多(しだ)屋の理禎(まさただ)
 倉を持っている銭屋。町の銭屋衆の中では有力者である。

玉井春野家関係者等の系図

玉井春野家(三郡守護代家)と柿原家

正興─────┬正勝────────┬那世
 民部大輔  │ 民部大輔     │ 姉姫、深雪の方
 玉井春野家 │ 玉井春野家    │
 初代    │ 第二代      ├正稔
 大民部   │ 小民部      │ 民部少輔、幼名:信千代丸
       │          │
       └定範        └美那
         越後守        妹姫
         現在の三郡守護代
         ‖
         ‖
柿原忠佑───┬田山の方(千草姫)
 大和守   │ (定範の正妻)
 竹井郡代官 │
 柿原郷名主 └柿原範忠
 柿原党総帥   主計頭
         竹井代官代

牧野家(牧野郷名主)と森沢家(森沢郷名主)

┌牧野興治─────芹丸
│ 治部大輔
│ 治部様
│ 牧野郷名主

└興治の妹
  ‖───────森沢荒之助
 森沢為順
  判官
  森沢郷名主

桧山家(港の名主)

 桧山興孝─────桃丸(幼名)
  織部正
  港の名主

杉山家(定範政権評定衆)

 杉山信惟─────宣十郎
  左馬允

浅梨家

 浅梨治繁     鍋屋の隆文
  左兵衛尉    藤野の美那
          銭屋の元資
          車屋の丈治 らの剣術の師匠

柴山家(巣山郡代官)

 柴山時豊─────興豊────┬勝豊────────弥勒丸
  兵部大輔     兵部大輔 │ 兵部大輔      勝豊の幼い遺子
  巣山郡代官    巣山郡代官│ 巣山郡代官
                │ 狩猟中に事故死
                │
                └康豊
                  兵部少輔
                  巣山郡代官

中原家(中原郷中原村、中原郷名主家)・立岡家

 中原吉継────┬茂
  令史     │ 吉継の長女
  中原郷名主  │ ‖────────中原範大
  中原村在住  │中原克富       安芸守
         │ 造酒        幼名:十郎丸
         │ 現在の中原郷名主
         │ 町の酒屋出身
         │
         └宣
           吉継の次女
           ‖────────立岡拓実
          立岡拓実の父     府生

広沢三家(牧野郷川上村)

 広沢勝吉
  広沢の上の家
  ‖──────┬美那
 木美      │ 広沢の美那
         │
         └毬
           広沢の中の家で
           育てられている

 加恵──────┬葛太郎(葛太)
  広沢の中の家 │
         └繭

 祖母…………………ふく
           広沢の下の家
           村西家の美千に仕えている