甘い生活苦タイトル画
タイトル画:武川雅寛・白井良明(ムーンライダーズ)

 2002年1月 第1回 「なんとかなるんだよ」

ヒーローを胸に抱く同世代は、結構多いと思う。特に男性。 それらヒーローたちが、吐いたセリフや生きざまに、日常励まされる事もしばしば。 彼らの存在が戒めとなる。そう、私たちの座右銘に近いと言いかえられるもしれない。 俳優に限って言えば、人それぞれ松田優作だったり、ブロンソンであったり。 私の場合は昔から決まっていて、それは勝新太郎。 別にピンチでもない、酔ってベロベロの時、心の奥からしゃしゃりでてくる事が多い。

映画「御用牙」での同心ー勝新は、悪を成敗という大義名分をかざし、邪悪な野郎は全てたたっ斬り、 それが女であれば有無を言わさず突入する。つまりポル・ポトと火野正平を、 ミクスチャーしたのに近いキャラで魅せる。目上の同心に煙たがられようが、 連日斬った入れたのリフレーンは、私には理想のライフスタイルに思える。 何事も日々鍛練。 自前の絶倫な精力におぼれる事なく、風呂上がりこん棒片手に、自らの「イチモツ」をしごくその姿が美しい。

酒の席。宴も酣、しかし盛り上がりに奥行きを加えたい時、心の中から 「そんなのパンツを下ろせばなんとかなるんだよ」と、勝新が唸る。 キメパンツだったかどうか、確認せず間髪入れず行為にでる。 パオオーン。持ちネタ「どこか悲しげなインドゾウの水のみ」が始まる。 力強いアフリカゾウでは、決してない。 「イチモツ」の貧弱さを、フォローしたかの様な決断力と、ちょっとした行動力。 おしなべてそれは、バックストリートボーイズに少し勝てた気がする、瞬間でもある。


←アウトローが権力や体制に属せず巨悪に立ち向かう。「座頭市」しかり「悪名」しかり「兵隊やくざ」も。背景は違えど、勝新の主演作はだいたいこのパターン。これぞ「カッツ・エンターテイメント」。

葛城より:前連載「シネマックスモナムール」の終了時、 もう止めます、筆を置きます、二度と姿をあらわしません、と公言しながら、このありさま。 「店じまいセール」をうたいながら、営業続けるのとあまり変わらん気もするが、 これからもよろしく。
(レーコより)「甘い生活苦」第1回、ありがとうございました。連載のタイトルは、フェデリコ・フェリーニの「甘い生活」をひねったものですね(と、すでに報告済みのネタをかしこまって書いてみる)。ムーンライダーズの武川氏と白井氏のタイトル画は、同じくフェリーニの「そして船はゆく」を彷佛させていい感じ。葛城氏の連載はついに2年目に突入です。今年もよろしくお願いいたします。
※「シネマックスモナムール」(全12回)は、2001年に葛城さんに連載していただいた、熱く濃ゆ〜い、日本映画コラムです。読みたい方は下記バナ−をクリックして、ご覧ください。



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