デラシネラは、2006年のフィジカルシアターカンパニー 水と油 活動停止後、小野寺 修二 (aka おのでらん) の主宰するプロジェクト的なカンパニーだ。 この新作には、水と油 の 藤田 桃子 も参加している。 少々こぢんまりした作りだったけれども、 シアタートラムのような小さなハコで気楽に観るのにちょうど良い、 普通に楽しめた舞台だった。
コーヒーカップやグラス、新聞や書類などの小道具を使い、 机を介してコミカルな無言の寸劇というかダンスを繰り広げるシーンが多かった。 演技している空間がステージいっぱいに広がらない、 ほとんどテーブルのような核となる道具とその周囲の空間のみで展開していた。 小野寺らしい作風で、そういうコミカルな所を楽しんだけれども、 舞台使いが少々狭く単調に感じられた。
そういう点で、最も印象に残ったシーンは、 角材の枠だけで作られた小さな家を使ったパフォーマンス。 家を舞台の上で滑らせ回転させ時に傾けたりしつつ、 パフォーマーが出入りし滑り回転するというものだ。 家の動きとパフォーマーの出入りの組合せもパズルのようで面白かったのだが、 家のスライドや回転に同期させて中のパフォーマーが動く所が、 その動きのメリハリや同期の良さもあって、 まるでCGで視点を変えているかのように見える時すらあった。 このような空間と動きを広く使った場面を、もっと観たかった。