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大道芸ワールドカップ in 静岡 2007

Text Last Update: 2007/11/10 |撮影 on 2007/11/02,03 in 静岡市内

11月2日(金)、3日(土)の1泊2日で 日本最大規模の大道芸/野外パフォーミング・アーツのフェスティバル 大道芸ワールドカップ in 静岡 2007 を観てきました。 2日の晩には「プレミアムサーカス」枠の公演 L'Ateneu Popular 9 Barris, Circus Klezmer も観ましたが、 このレビューは別にしてあります。

例年のように海外 and/or 観たことが無いカンパニー/パフォーマを優先して観て回りましたが、 海外組偏重気味の例年に比べて ワールドカップ、オン、ウォーキングストリート、オフ いずれの部門もまんべんなく観たように思います。 これも「ワールドカップ部門」や海外組がいまいちだったせいかもしれません。 正直に言って、今年は観て回っていてもテンションが上がらず、 物足りなく感じたフェスティバルでした。

海外組で最も印象に残ったのは、 アフリカ・ガーナ (Ghana) の3人組 Ndux Malax (写真)。 勢いで持っていかれてしまいました。 Antoine & Rocco (写真) や Rokashkov (写真) も良かったのですが、 作品としてしっかり作られているだけに、逆に物足りなく感じたりもしました。 大道芸としてではなく、ちゃんと劇場で観たいと思うような作りでしたし。 これら以外にも、大道芸としてやる必然性が無いという以上に 劇場でやることを前提としたようなものが多かったという印象を受けました。

国内組については、ワールドカップ部門にエントリしていた 山本 光洋 (写真) など お馴染のパフォーマのショーも楽しみましたが、 最近はあまり新世代のパフォーマをチェックしていなかったので、 今年は「東の桜子、西のカナ」という評判を聞いて、 オフ部門に参加していた2人をチェックしてみました (桜子の写真カナの写真)。 うーむ、こういう女の子が大道芸をやる時代なのですね (感慨)。 被るところもありますが、桜子が明らかにキャラを作っているのに対し、 カナは天然っぽく、方向性は違うようにも感じました。 それにしても、若い時にしか出来ない少々刹那的なキャラ作りです。

(多くの他の大道芸フェスティバルもそうですが) 開演時刻とステージを決めて行うワールドカップ部門やオン部門は 大道芸というより野外でやるステージ芸になっている感もあるので、 ローヴィング (roving) と呼ばれる回遊式のパフォーマンスや ハプニング性の高いパフォーマンスを集めた ウォーキングストリート部門を観ることにも今年は重点を置いてみました。 Théâtre de la Toupine, Les Champignons (写真) などそれなりに楽しみましたが、 行く先々でパーカッションという展開が予想の範囲内。 他のパフォーマンスも意外性をあまり感じなかったのが、少々残念でした。

以下に観たカンパニー/パフォーマを個別にコメント付き写真で紹介。 (ただし、人垣越しに覗き観たようなものについては紹介していません。) 大道芸ワールドカップ in 静岡 での部門等による区別はせずに、 観た順になっています。

パフォーマー名演目名については、自分で調べられる限り、 パフォーマーの公式サイトや、海外の大道芸関係のフェスティヴァルのプログラム などで一般的に用いられている表記に従っています。 調べがつけられなかったものについてのみ、 会場で配布されていたパンフレットに用いられていたものを用いています。

The Divas
11/02 11:30頃 @ 駿府公園 東御門〜二之橋間
The Waternymphs
11/03 17:00頃 @ 呉服町通り

Sam Shine photo 1 オランダ (The Netherlands) の高足 (stilt) のカンパニー Sam Shine。 ウォーキングストリート部門の参加で、パフォーマ1人で回遊していました。 2日朝一番に駿府公園でみかけたときは、 The Divas のコスチュームで 手に紐付きの飾り付き玉を回してのパフォーマンス。

Sam Shine photo 2 3日夕方に呉服町通りでみかけたときは、 The Waternymphs のコスチュームで 水掻き状の手をためかせてのパフォーマンス。

11/02 11:45〜 @ 駿府公園 特設ステージ

Verónica González photo 1 去年に続いて登場のイタリア (Italy) を拠点に活動する足芸の Verónica González。 今年は子供優先の特設ステージでやっていました。

大道芸ワールドカップ in 静岡 2006 での写真 もあります。

BAM
11/02 12:15〜 @ 駿府公園 特設ステージ5

BAM photo 1 カナダ・オンタリオ州トロント (Toronto, Ontario, CA) の3人組 BAM による "comedy-percussion" のショー。 ドラム缶を使ったドラムをはじめ様々な鳴り物を鳴らしながら、 客弄りもしつつコミカルな寸劇を見せました。

11/02 13:00〜 @ 駿府公園 メイン広場3

Emiliano Sanchez Alessi photo 1 Circus Klezmer (レビュー) 出演者の一人、 イタリア (Italy) 出身の Emiliano Sanchez Alessi によるジャグリングのショー。 写真は Circus Klezmer でも見せた ボール、本と小椅子を使ったジャグリング。

11/02 13:30〜 @ 駿府公園 メイン広場2

Koyo Yamamoto photo 1 日本のパントマイム・パフォーマー 山本 光洋 は、ワールドカップ部門にエントリー。 特に大きく変えずに、いつもの構成でやっていました。 少々緊張気味だったか子供達に弄られ気味。そこが面白かったです。 写真は彼の持ちネタの中で一番お薦めのネタ「チャーリー山本」。 コンクリートブロックを刀で切ろうとするも操りが下手で宙を切ってる所です。

大道芸ワールドカップ in 静岡 2002 での写真みなとみらい21大道芸 2006 での写真大道芸ワールドカップ in 静岡 2006 での写真ヨコハマ大道芸 2007 での写真もあります。

11/02 13:45〜 @ 駿府公園 メイン広場4

Cristina Solé & Joan Català photo 1 Circus Klezmer (レビュー) 出演者のデュオ、 スペイン (Spain) 出身の Cristina Solé と Joan Català によるコミカルなアクロバットのショー。 (大道芸ワールドカップ in 静岡 2007 でのエントリ名は Goldenievsky Brothers。) 最初のうちは無表情にやる気なさそうに助手を勤めていた Cristina が、 いつのまにかフラメンコを踊り出し、最後は元気にアクロバット。 けど微妙に表情が固いままなのが可笑しかったです。

11/02 14:15〜 @ 駿府公園 メイン広場5

Rokashkov photo 1 ロシア (Russia) の男性1人女性1人の4人組 Rokoshkov の鉄棒 (horizontal bar) を使ったパフォーマンス。 4本の鉄棒を正方形に組んで、 ダンス的な動きも取り込んだパフォーマンスを見せました。 明確なストーリーは無いものの、その身のこなしに表現力があり、 世界を作り出していました。

Rokashkov photo 2 もちろん、鉄棒の技のレベルも高いです。 個々の技はもちろん、 一つタイミングが狂えば空中衝突というシンクロでの技もあり、迫力満点。 それにしても、女性がハイヒールを履いたまま、 鉄棒の上を渡り歩いたり、回転技から着地したりしていたのには、驚きました。

惜しいと感じたのは、 テーマが友情、愛情と嫉妬でその表現もいささかステロタイプだったこと。 これだけの表現力と技があるなら、 コンテンポラリー・ダンスのコレオグラファーあたりを使った より微妙なテーマに挑戦した作品を観てみたいです。

ちなみに、彼らは2003年の 24th Festival Mondial du Cirque de Demain で 金メダルを受賞しています。

11/02 15:00頃 @ 駿府公園 二之丸橋近く

Petra Rochau - Rebecca Macauley - Nigel Haywood photo 1 Circus Klezmer (レビュー) の音楽隊、 Petra Rochau (accordion)、Rebecca Macauley (violin)、Nigel Haywood (clarinet) のトリオに darbuka (演奏者不明) を加えての編成で、klezmer な音楽を街角演奏中。 (大道芸ワールドカップ in 静岡 2007 でのエントリ名は 「ヴィルニュス (Vilnius, LT) 市民たち」を意味する The Vilniets。) いい雰囲気を出していましたが、 これで、場所が殺風景な公園内の工事現場が背景ではなく、 ヨーロッパの古い街の街角だったりしたら、とも思ったり。

11/02 15:15頃 @ 青葉通り 青葉B4

Ndux Malax photo 1 西アフリカ・ガーナ (Ghana) 出身でヨーロッパで活動する アクロバット、コントーション (軟体芸)、火芸の3人組 Ndux Malax。 15分程と若干短めながら、 打ち込みでリズムを強化したアップテンポな jive/mbaqanga のような音楽に乗って ひたすらハイテンションに踊りながら技を繰り出し続ける 全力疾走するようなパフォーマンスでした。

Ndux Malax photo 2 最も盛り上がったのは火芸。 火のバトンを肌に押しつけたり、火の付いた玉を口に咥えたり。 この火の玉は短時間ながら観客の手のひらに載せたりもしていました。

Ndux Malax photo 3 しかし、特にマットやカーペットの類を地面に敷くことなく、 素足かつほとんど露出した上半身のままアクロバットや軟体芸するというのも、凄いです。

11/02 15:45〜 @ 丸井・松坂屋 オフ7

桜子 photo 1 もともと名古屋が拠点でしたが、最近拠点を東京に移した 桜子。 美少女戦士ショー仕立てで、 デビルスティックやジャグリングといった技を見せます。

桜子 photo 2 最後の大技は一輪車の上でのジャグリング。 クラブの先から紙吹雪が舞ってます。

11/02 16:30〜 @ 駿府公園 沈床園

Patrik Cottet-Moine photo 1 ベルギー (Belguim) のパントマイム芸人 Patrik Cottet-Moine によるショー。 人物観察に基づく諷刺の効いた一人芝居で、 小劇場で観ればとそれなりに面白そうでした。

11/02 19:30〜 @ 駿府公園 メイン広場2

Antoine & Rocco photo 1 フランス (France) の Chinsese pole のデュオ Antoine & Rocco。 夜空に黒いポールに黒い衣裳とミニマルな演出で技を際出せるパフォーマンスが渋かったです。 ポールを組み立て立てるところからショーの一部にしています

Antoine & Rocco photo 2 そうして立てたポールを使って、 重力を感じさせない踊るようなパフォーマンスを展開しました。

残念だったのは照明。 パフォーマにスポットライトを当てるのではなく、 観客を含めてステージ全体を照らすようなものだったのですが、 結果としてパフォーマより観客が明るくなってしまってました。 かなり観辛かったです。 演出効果を狙ってか日没後のみのパフォーマンスでしたが、 普通に昼の方が良かったかもしれません。 劇場のちゃんとした照明の下で観たいパフォーマンスです。

ちなみに、彼らは2006年1月の 26th Festival Mondial du Cirque de Demain で 銀メダルを受賞しています。

11/02 19:30〜 @ 駿府公園 メイン広場3

Oleg Izossimov photo 1 ロシア (Russia) 出身の Oleg Izossimov によるハンド・バランス。

Viktor Kee photo 1 ウクライナ (Ukraine) 出身の Viktor Kee によるジャグリング。

デュオでエントリしていましたが、 2人の絡みはもちろん、演出上の共通点もありませんでした。

ちなみに、プログラム上は Antoine & Rocco と同じ時間帯でしたが、 その間、ウォーミングアップを兼ねて Viktor Kee がジャージ姿でジャグリングして場持たせ。 Antoine & Rocco のパフォーマンスが終わり客が流れてきてから、 Oleg Izossimov、Viktor Kee の順でパフォーマンスしました。 良い計らいですね。

11/03 11:00〜 @ 駿府公園 メイン広場5

Maite Sanjuan photo 1 Circus Klezmer (レビュー) 出演者の一人、 スペイン (Spain) 出身の Maite Sanjuan (aka Lola) によるコミカルな空中芸 (ティッシュ) のショー。 本当に大丈夫かなと思わせるような始まり。 ティッシュに登り始めたかと思うと、「脱ぎ忘れた」とぶらさがったまま靴下を脱ぎ始めたり。

Maite Sanjuan photo 2 それなりに、ポーズを決めた後、一息休憩という感じで、スタッフに水を要求。 けど、逆さにぶらさがったままでは、コップの水は飲めません。 結局、顔に水をかけるようにして飲んでました。

11/03 11:00〜 @ 札の辻

ダメじゃん小出 photo 1 子供が付いていけないような毒舌時事ネタでも知られる ダメじゃん小出ですが、 子供の扱いもとても巧いです。

しかし、ヤクザな男のキャラは舞台では観たことありますが、 大道芸では初めて観ました。 最後の5分程しか観られなかったのですが、 今まで観たことがあるのとは違うネタをやってたように思います。

大道芸ワールドカップ in 静岡 2000 での写真大道芸ワールドカップ in 静岡 2002 での写真アート・ダイドウゲイ in 日テレ祭 2003 での写真野毛大道芸 2005 での写真大道芸ワールドカップ in 静岡 2005 での写真みなとみらい21大道芸 2006 での写真 もあります。

11/03 11:30〜 @ 静活前

シル・ヴ・プレ (Sil Vous Plait) photo 1 日本のパントマイム男女デュオ シル ヴ プレ (Sil Vous Plait)。 真っ白な高度成長期っぽい服装と髪型で、 ほのぼの可笑しいパフォーマンスを繰り広げます。 客弄りも可笑しい「ふれあい」と (テニスの) 「ダブルス」のネタは 観たことはありましたが、写真の扇子を使ったネタは初めて観ました。

11/03 12:30〜 @ 伊勢丹東

カナ photo 1 関西を拠点に活動する カナ によるショー。 少し舌足らずっぽい関西弁でおしゃべりしながら、 ジャグリングやフラフープのパフォーマンス。

カナ photo 2 最後の大技は、ローラーボーラーの上で フラフープをしながらボールのジャグリング。

11/03 14:15〜 @ 駿府公園 メイン広場5

Izabela Basendowska photo 1 ポーランド (Poland) の Izabela Basendowska による空中芸 (ティッシュ) のショー。 コミカルでも物語仕立てでもなく、舞い踊るかのようなパフォーマンスを見せました。

Les Champignons
11/03 14:30頃 @ 駿府公園 東御門〜二之橋間

Théâtre de la Toupine photo 1 フランス (France) のカンパニー Théâtre de la Toupine によるキノコ着ぐるみによる回遊パフォーマンス Les Champignons。 行く先々で柵などパーカッションに手に持つバチで叩いてリズムを刻みます。

Théâtre de la Toupine photo 2 着ぐるみにはスピーカも仕込んであって、 汽車の蒸気音や馬車の蹄やいななきの音をたてながら移動します。 パーカッション・パフォーマンスだけでなく、 時々観客の子供をあやしたり。 けど、異様な姿なので、幼い子供は恐がりがち。 写真の乳母車を手にしたシーンでも、乗った赤ん坊は寝たまま起きませんでしたが、 一緒にいた幼稚園生くらいのお姉さんは恐がって泣きだしてしまいました。 キノコの二人も困惑気味。

11/03 14:30〜 @ 駿府公園 メイン広場3

デビッド ラムゼイ (David Ramsay) photo 1 アメリカ出身ながら日本で活動する デビッド ラムゼイ (David Ramsay) のショー。 写真は最後の大技、 一輪車上でヘルメット上の棒の先の紐に付けた模型飛行機を頭で回し飛ばしながらの ジャグリング。

11/03 15:00〜 @ 駿府公園 メイン広場3

Tony Frebourg photo 1 フランス (France) の Tony Frebourg によるディアボロ (diabolo) のショー。 少しジャポニズム入った演出で、ときおりアクロバティックなポーズもとりながら、 ディアボロの技を見せていきました。

ちなみに、彼は2004年の 25th Festival Mondial du Cirque de Demain で 銀メダルを受賞しています。

11/03 15:30〜 @ 旧青葉小学校

サンキュー手塚 photo 1 ヒット曲に合わせてコミカルなパントマイムを演じる サンキュー手塚。 写真は彼の一番のネタともいえる 映画 The Bodyguard (1992) の主題歌 Whitney Houston, "I Will Always Love You" を使ったネタ。 絶唱の表情を梅干しを食べてすっぱさでしかめた顔で表現。

11/03 16:15〜 @ 旧青葉小学校

Noah photo 1 アメリカ (USA) 出身で現在はドイツ (Germany) を拠点に活動する Noah によるコメディ仕立ての Chinese pole のショー。 ポールの先のトイレを巡ってのドタバタ喜劇でした。 ポールに登り出す前段では客弄りも。

11/03 17:00頃 @ 紺屋町通り

Foolpool photo 1 ドイツ (Germany) のカンパニー Foolpool による高足 (stilt) の回遊パフォーマンス Die Gentlemen。 マフィア風の強面な大男3人が街を行きます。 けど実は紳士で、観客の中の「淑女」の手を取ってダンスパーティを始めたり。

11/03 17:15頃 @ 紺屋町通り

Un-pa photo 1 日本のパントマイム・パフォーマ Un-pa による、 お馴染の全身銀色にキメての回遊パフォーマンス。 ゴーグルで目が見えない無表情なパントマイムは強面なロボット風ですが、 実はちょっとお茶目。