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第3回 『恋い焦がれる』 今一番のお気に入りは、ビニールのカゴバッグだ。 蜜柑や梨が一杯つめ込まれ売られているような、一歩間違えれば「昔あんなのうちのおばあちゃんが使ってたな」という手提げのカゴ。 半年程前、タイのアーティスト、スラシ・クソンウォンさんのアートイヴェントで手に入れたものだ。タイの日用品をたくさん壁にぶらさげて、来場者に自由に持ち帰ってもらうという主旨の面白いアートプロジェクトだった。(金沢では「21世紀美術館」の2004年開館に向け、様々なプレイヴェントが催されている。大変ホットだ。)そこで私はこの品をいち早く目に止めてゲットしたわけである。(ライバルはやっぱりおばあちゃんだった!)。 このチープでキュートなカゴバッグを手にする時いつも、言い知れぬ想いに捕われる。それは、只々「あの映画」を見て以来の、恋い焦がれる気持ちからくるものだ。 |
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ストールは買った。しかし肝心のカゴバッグはどうにも気に入ったものが見つからず十年来の時が過ぎたころ、機会あって昨年遂に手にすることが出来たのだ。長かった。 そんなわけで今ではすっかり御機嫌で、ちょっとお洒落をしてみたい気分の時に使っている。が、実に微妙な線を行くそのバッグは時折冒頭で述べたような評価にさらされたりする。哀しい。 |
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その他、あの作品には心ときめくアイテムが満載である。例えばカジュアルパーティーの時に着用していたドレス。身体にフィットする黒のシンプルなラインはストラップにジップをあしらったデザインで今見てもハッとさせられる。ついでにその時の彼女のダンスはパンキッシュで溜め息が出た。他にもジップアップのカットソー、ポンパドールにオーガンジーのスカーフを巻き付けたヘアスタイル、革のジップジャケット(ジップアイテム多いな)とジーンズのハードな組み合わせに首元からベビーパールをちらりとのぞかせたり。ハード&エレガント、全くどれもこれも、若かりし私にとっては着こなしのお手本だらけだった。似たアイテムを見つけては買い求めてコーディネイトを試した。今では恥ずかしくて出来ないが、オーガンジー頭巻きも真似したものだ。(今見るとパンツのボリュームやコートの丈加減、肩の張り具合等が妙なバランス。80年代のファッションだ。ここにきてまた新鮮に思えたりもするが。) 「満月の夜」、恋い焦がれる。「誰もが眠られぬ夜」。(了)
(第4回は小林君の予定です。お楽しみに。) ★マサコさんから小林君へのメッセージ★ 「小林君」の名はレーコさんと知り合った当初からよく耳にしていました。なので会ってもいないのに親近感いっぱいです。今は大阪でアートディレクターのお仕事をされているそうで。面白そうですね。いつかお会いしてみたいです。 ★マサコさんからKITTさんへのメッセージ★ KITTさん、ペーパードライバー歴10年ですか。私も同様でしたが北陸で見事克服しましたよ。こちらは車なしでは生活が困難で、追い詰められれば人間なんでも出来るものだと実感しました。そして北陸は懐が深かった!KITTさんもまだ大丈夫ですよ。今回の内容、「ガラス話」とは違う展開になってしまいました。ごめんなさい。そのうち機会があれば。。。 |
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(レーコより)そうなんです。京都っ子のマサコさんとは映画館アルバイト仲間。京都河原町のギフトショップのバイトで知り合った18(若かったねー)の時以来の友人です。このサイトの映画館よもやま話の重要な目撃者のひとりでもあります。映画館バイト時代、映画の上映が始まり入場するお客さんがいなくなった途端、二人して「ぴあ」の映画欄を舐めるようにして読み、見たい映画をリストアップしあっていたものでした。。。嗚呼80s。当時の「ぴあ」はモノクロ印刷雑誌。マサコさんはいつも見たい映画に必ず(朱色)赤鉛筆で丸を入れてましたね。「ぴあ」と「朱色鉛筆」は毎日のマサコさんの必須アイテムだった記憶があります。ほんと、一体何本一緒に見たのか見当がつかないほどたくさん観た。映画鑑賞に対するテンションが上がるバイオリズムがとても近いよね。今は金沢と東京に離れてしまったけど、知り合って以来、距離を感じさせない付合いが続けられる数少ない貴重な友人のひとりです。こちらのサイトも作品発表の場所としてぜひ利用してください。 |
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