KimsCinematicKitchen
第3回

さて、ようやく『ミニモニ。ひなまちゅり』もなりをひそめ、ホッと胸をなでおろしている人も多いことでしょう(私はまだまだ観たりないですけどね!)。私としては、この時期、アカデミー賞授賞式(“日本”が付かない方ですね)を待つばかりです。ところで、レーコさんならずとも世の中は引っ越しシーズンでもあり、私も部屋の模様替えぐらいはしたいんですが、壁紙を張り替えるどころか、もうずーっと一枚のアナログ盤ジャケットを飾ったまま(←)。確か、ありし日の六本木WAVEで、ワゴン・セールのときに見つけた"WIM WENDER'S ROAD MUSIC"ってもので、レコード自体は数回聴いたのみなんですが、まっすぐのびた一本道を描いたシンプルなデザインが妙に気に入っているのでした。ヴェンダースといえば『都会のアリス』から『都市とモードのビデオノート』『夢の涯てまでも』等々、確かに"ロード・ムービー"のイメージが強い監督ではありますけど、私の持ってるアルバム(=第2集)の収録曲って、なぜか『ことの次第』と『ベルリン・天使の詩』からだけなので、どこが"ROAD MUSIC"なのよ?って感じですけどね。
とまあ、わざわざヴェンダースの映画を紐解かなくとも、最近観た『ラット・レース』だって、かなりイイ感じのロード・ムービーといえました。ただ、目的地と“不純な動機”だけが共通する赤の他人同士が、車にバスに気球に飛行機とさまざまな手段を使って、てんでバラバラの道を行くんですが、その行程がメチャクチャで笑えましたー。最初からヤル気満々のMr.ビーンことR.アトキンソンが、なぜかなかなかたどり着けなかったり(←理由は観て確かめてくださいねー)。

そういえば、"道"なんてどこにも見えないけど、ひたすら進み続けるという『カンダハール』も印象的な映画。大体、道案内がナニを頼りにどこへ向かっているんだか(カンダハールのはずだけど)、一切不明。画面に映るのは、砂と空と太陽ばかり。なんともシュールな体験ができます。そんな映像を見てる内に、アフガニスタンって国が、世界に取り残されたように現実感とはかけ離れた日常を送っている事実をすんなり覚えこまされるというワケ。不謹慎かも?って罪悪感を感じるくらい(私たちにとっては)文化的ギャップが面白く描かれてるんですよねー。なお、同じくマフマルバフ監督の『サイクリスト』って映画がありますが、こちらは主人公が自転車をこぎ続けてるのに、まったくもって一つの場所から動かない、どこにも行かない(??)、って不思議なお話・・・私は、この映画もロード・ムービーと呼びたい!とにかく情けない顔しながら懸命にこぎ続けるアフガニスタン難民のおとーさんが泣かせますー(↓)。いずれも、興味ある方はぜひ!

●Kim's 近況
ロード・ムービーの話などしてたら、私もいい旅したいなー、という気分満開になってきました。春は近いぞー。ここのとこ、日々の小旅行(ていうか、通勤)では、朝は『殺し屋1』、夜は『プラハの春』を読んでたんで、なにやらすっかり退廃的な心持ちになってたんですよ。『殺し屋1』は、このまま本棚にしまい込むのも惜しいので、読みたい方いたらお貸ししますー。


(レーコより) 道まっすぐ続いてるっていうと、最近ではヴィンセント・ギャロのアルバム『when』が個人的にはまっ先に思い浮かびます。このジャケットでは、まっすぐ続く道の向こうにぼんやりと虹がかかってるんです。音楽とはあんまり関係ない気はするけど、なかなかよい絵です。

●Kim's Cinematic Kitchen バックナンバー 1 | 2


top | 甘い生活苦 | Kim's Cinematic Kitchen | シネマ ファシスト | 読本 十人十色 | 映画館ウロウロ話 | 映画館イロイロ話 | GO!GO!映画館 | CAFE | BBS&LINKS | ABOUT ME