Hugo Fattoruso はウルグアイはモンテビデオ (Montevideo, Uruguay) 出身の piano/keybooads/guitar 奏者。 1960年代に rock グループ Los Shakers 等で活動を始め、 以降、アルゼンチン (Argentine) やブラジル (Brasil) の音楽シーンでの活動が多い。 自分の場合は、 1970年代の Airto Moreira / Flora Purim / Hermeto Pascoal 界隈の録音で その名前を意識するようになったように思う。
Emotivo は、モンテビデオに20万人近く住むという アフリカ系ウルグアイ人 (Afrouruguayo / Afro-Uruguayan) の音楽 candombe に取り組んだ作品だ。 candombe は tambor piano、tambor chico、tambor repique の三種類の 手もしくは撥 (palo) で叩くドラム (順に、低音、高音、リズム装飾) によるポリリズムを基本としており、 カーニバルのようなパレード (llamada と呼ばれる) を伴って演奏されたりもする。 演奏している曲は自作中心だが、 Fattoruso と共に Opa というグループで活動していたアフリカ系ウルグアイ人 Rubén Rada や ウルグアイのSSW Fernando Cabrera の曲も取り上げている。
4人の tambor 奏者による candombe のリズムに乗って、 Latin jazz でよく聴かれるようなパーカッシブで明るい音色の piano を Fattoruso が弾きまくる、 その piano と tambor のリズムの掛け合いがかスリリングで楽しい。 特に、少々アウトなフレーズで緊張感も高い "10 More Miles" が気に入っている。 "Santas Y Santos" では accordion も聴かせるのだが、それも良い。 しかし、いかにも synth brass/string な音も使われる ("Tambores" や "Emotivo") のが少々残念。雰囲気を壊す程ではないとはいえ、 こういう所も生の楽器をゲストに迎えてやって欲しかった。
CD plus には video (mpeg 形式) が3曲分収録されている。 スタジオでのセッションの様子を収めた "Tambores" と "10 More Miles" も悪くないが、 モンテビデオの街中での llamada (candombe のパレード) の様子を捉えた "Sale El Sol" がとても興味深い。この点もお薦めだ。
ちなみに、このリリースは、ブエノスアイレス (Buenos Aires, AR) の レーベル Los Años Luz から。 1990年代末から Mariana Baraj や Moguilevsky - Lerner duo、Santiago Vazquez、Fernando Samalea、Fernando Kabusacki、Axel Krygier、Ramiro Musotto などの リリースをしてきている独立系レーベルだ。 このレーベルから Fattoruso は他に Trio Fattoruso, En Vivo En Medio Y Medio (Los Años Luz, LAL043, 2005, CD) をリリースしている。