TFJ's Sidewalk Cafe > 談話室 (Conversation Room) > 抜粋アーカイヴ >

コロンビア (Colombia) の音楽について

2006年7月のコロンビア (Colombia) の音楽に関する一連の発言の抜粋です。 古い発言ほど上になっています。 リンク先のURLの維持更新は行っていませんので、 リンク先が失われている場合もありますが、ご了承ください。 コメントは談話室へお願いします。

[1709] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Mon Jul 24 0:51:08 2006

コロンビア (Colombia) 出身の女性歌手 Lucía Pulido を今年の頭に紹介した (レビュー, 関連発言) わけですが、その後、 Dolor De Ausencia (self published, no cat. no., 2005, CD) も入手して、ここ数ヵ月間ヘビーローテーションだったりしました。 というわけで、関連盤として、 注目のニューヨーク (New York) のコロンビア系ミュージシャンのレーベル Chonta の全5タイトルも併せて一挙6タイトル、 音盤雑記帖レビューを書いておきました。

Chonta のリリースの中で僕のお薦めは、 Pablo Mayor / Folklore Urbano, Aviso (self-published, no cat. no, 2003, CD / Chonta, CHX001, ?, CD)と Coba, Coba (Camafeo, no cat. no., 2003, CD / Chonta, CHXP002, ?, CD) でしょうか。 Pablo Mayor / Folklore Urbano, Baile (Dance) (Chonta, CHON001, 2005, CD)、 Ricardo Gallo, Los Cerros Testigos (Chonta, CHON002, 2005, CD)、 La Cumbiamba eNeYé, Marioneta (Chonta, CHON003, 2006, CD) も悪くないですが。 しかし、Chonta 設立後の3タイトルよりも、 設立前の2タイトルの方の方が良いように聴こえるというのは……。

ちなみに、Lucía Pulido は去年リリースした Lucia Pulido, Fernando Tarrés & La Raza, Songbook I (Beliefs) (BAU, BAUCD1157, 2005, CD) の続編 Songbook II (Prayer) (BAU, 2006) をリリースしたようです。 こちらも楽しみにしています。

この界隈は今年の頭くらいからチェックし始めて、 5月の El Sur Records のDJでかけた Dolor De Ausencia の曲への反応も 良かったこともあり、ちゃんと紹介せねばと思いつつ、 書き出したらまとまらなくなってしまい、結局今に至ってしまったという。 Songbook II (Prayer) の入手してから併せてというのも考えたのですが、 それではいつまでたっても書き上がらなさそうな気もしましたし。 というか、こまめに1〜2枚ずつレビューを書いた方が良かったのかも……。

[1711] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Wed Jul 26 0:20:09 2006

女性歌手 Lucía PulidoChonta レーベルといった ニューヨーク (New York, US)=コロンビア・ボゴタ (Bogotá, Colombia) のシーン の話のフォローアップ。 Lucía Pulido の今年初夏の コンサートの予定 を見るとなかなか興味深いものがあるので、その話を。

Pulido は、まず、ブラジル・サンバウロ (São Paulo, Brasil) の独立系レーベル Núcleo Contempolâneo を主催し Orquestra Popular de Câmara の主要メンバーでもある piano 奏者 Benjamim Taubkin らと、 ブラジルのフェスティバル Festival América du Sol で5/22に共演します。この顔合せは初めてではなく、去年の フェスティバル Todos Os Cantos Do Mundo に続くものです。CDをリリースするようなレギュラーなプロジェクトではないものの、 ある程度継続性のある共演です。 続く6/23にアルゼンチン・ブエノスアイレス (Buenos Aires, Argentine) で、 独立系レーベル BAU (Buenos Aires Underground) を主催する guitar 奏者 Fernando Tarrés との Songbook プロジェクトの 2作目のリリース・コンサートをしています。 さらに、7/9には、ニューヨーク/コロンビア混成の自身のグループ Palenque を率い、 ニューヨークのコンテンポラリな jazz/improv シーンでは有名なライブハウス Tonic でライヴをしています。 ちなみに、去年の Pulido と Taubkin の共演のラインナップは、 フェスティバルのサイトによると (参照) 以下のとおり。

Lucía Pulido (Colombia), Carlos Aguirre (Argentine), Aquiles Baez (Venezuela), Álvaro Montenegro (Bolivia), Christian Galvez (Chile), Luis Solar (Peru), José Miguel Wisnik (Brasil), Siba (Brasil), Benjamim Taubkin (Brasil)

ここに参加しているアルゼンチンの piano 奏者 Carlos Aguirre も、 Los Años Luz レーベル近辺のセッションに参加する一方、 Núcleo Contempolâneo からリーダー作もリリースしてます (関連レビュー)。

こういったことから浮かびあがってくるのは、 Núcleo Contempolâneo レーベル界隈のサンパウロのシーン (詳しくは2年前余り前の関連発言をどうぞ)、 BAU や Los Años Luz といったレーベルの界隈のブエノスアイレスのシーン (詳しくは去年後半の関連発言をどうぞ) と Chonta レーベル界隈がボゴタ/ニューヨークのシーンは、 互いにカウンターパートであり、それらを結ぶネットワークがあるということです。 人的なネットワークというだけでなく、 これら3つのシーンの音楽を聴いていると同じ雰囲気が感じられ、 ゆるやかに連動しているように感じます。 さらに、Pulido - Taubkin 共演時のラインナップを見ると、 自分のアンテナでは捉えきれていないだけで、 こういったシーンのネットワークが南米各国に広がっているのではないか と思わせるものがあります。 さらに、この南米のネットワークは去年の夏に Roots/Jazz around Europe としてプレゼンテーションした ヨーロッパの folk/roots-influenced jazz/improv のネットワークの カウンターパートと言えると思います。 実際、Bugge Wesseltoft や Maria João はサンパウロのシーンと直接繋がりますし、 Chris Speed らニューヨークのシーンを介してブエノスアイレスやボゴタとも繋がっています。

Lucía Pulido や Chonta レーベルの界隈を興味深く感じる理由の一つは、 こういうシーンの広がりを感じる所だったりもします。 去年の Roots/Jazz around Europe みたいに、 Roots/Jazz around South America って感じの特集をやると面白いかなとは思うけど、 ヨーロッパ編ですらウケが良かったと言い難いし、興味持つ人いないだろうなぁ……。

Santiago Vazquez 界隈に言及するときに (関連発言 1, 2) 「アルゼンチン音響派」という言葉を使わない理由の一つとして、 彼らもこういった南米のシーンの動きの中で捉えたほうが良いように思っていることがあります。 そんな中で「音響派」という呼称が的を射たものと思えないのです。 僕がブエノスアイレスのシーンを追いかけ始めたときはまだそんな呼称が無く、 自分の中で「アルゼンチン音響派」受容文脈が位置づけられてないということもありますが。 『Tropicalismo Argentino』にしても、同時代の南米のカウンターパートを ふっ飛ばしてトロピカリズモを引合に出すのもなんだかだよなぁ、 と思っていたりしますし……。

[1778] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Wed Nov 8 23:27:39 2006

jazz/improv-influenced folk/roots なコロンビア (Colombia) の女性歌手 Lucía Pulido (⇒ MySpace) が アルゼンチン (Argentine) の jazz/improv 文脈の guitar 奏者 Fernando Tarrés とのプロジェクト La Raza としての新作 Songbook II (Prayer) (BAU, BAUCD1158, 2006, CD) をリリースしています。第1作の Songbook I (Beliefs) (BAU, BAUCD1157, 2005, CD) がとても良かった (レビュー, 関連発言) ので期待していたのですが、期待を裏切らない出来でした。 といっても、新録ではなく、同時期の録音を2回に分けてリリースしたのですね。 抽象的なオリジナル曲 "La Raza" も良かったので、今後の展開にも期待したいです。

Lucía Pulido や Chonta レーベル界隈の ニューヨーク (New York, US)=コロンビア・ボゴタ (Bogotá, Colombia) のシーン の話を、 7月頃にしたわけですが、 その抜粋アーカイヴに載せておきました。 そのときに話した Lucía Pulido とブラジル (Brazil) の piano 奏者 Benjamim Taubkin とのプロジェクトは、 Lucía Pulido & America Contemporanea というレギュラーのプロジェクトとなって、現在、北米ツアー中です。 これも是非CDリリースして欲しいものです。

Chonta レーベルも 10月から11月にかけてリリースラッシュです。 コンピレーション Various Artists, Nueva Colombia は、このシーンの良いショーケースになりそうですし。 Coba (Camafeo, no cat. no., 2003, CD / Chonta, CHXP002, ?, CD) が良かっただけに、 Coba の新作 Canción Mandala も楽しみです。 新作でも Lucía Pulido をフィーチャーしているようですし。 こんな感じで、このシーンはまだ暫くは目が離せそうもありません。

[1808] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Mon Dec 25 1:23:04 2006

今年の7月に紹介した ニューヨーク (New York) のコロンビア (Colombia) 系ミュージシャンのレーベル Chonta が、10月末から11月にかけて新作3タイトル Samurindó, Cuando Ovejas (Chonta, CHON004, 2006, CD)、 Various Artists, Nueva Colombia: A New Generation Of Colombian Music (Chonta, CHON005, 2006, CD) と Coba, Canción Mandala (Chonta, CHON006, 2006, CD)、 をリリースしました (一ヶ月ほど前にも軽く言及しましたが)。 遅れ馳せながら入手しましたが、興味深い内容でしたので、 レビューを書いておきました。 特に、Coba, Canción Mandala はかなりお薦めです。

Various Artists, Nueva Colombia: A New Generation Of Colombian Music を聴いていると、ニューヨークの Chonta と コロンビア・ボゴタ (Bogota, CO) の "avant garde musicians' collective" La Distritofónica を軸に、コロンビアの alternative / underground なシーンが 立ち上がりつつあるのかなぁ、と興味深いです。

ちなみに、軽く MySpace を検索してみたら、関連するアーティスト達のページが見付かりました。 La Distritofónica レーベルのアーティストとしては、 AsdrubalLa Comparsa De Los MúsicosLa Rueda。 Chonta レーベルのアーティストとしては、 Folklore UrbanoCoba / Sebastián CruzLa Cumbiamba EneyeRicardo GalloSamurindó に、 Chonta からリーダー作はリリースされていませんが Lucía PulidoNueva Colombia に収録されていた Chonta / La Distritofónica 以外のアーティストとしては、あと、 ChocquibtownMojarra Electrica。 あと、Chonta / La Distritofónica 〜 Nueva Colombia 界隈に比べると ぐっとメジャーな Latin Alternative (関連発言) になりますが、 SidestepperAterciopelados / Andrea Echeverri。 この界隈の MySpace を探ると、コロンビアの alternative / underground なシーンの 面白い音楽がもっといろいろ見付かりそうな気がします。