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第4回 春一番

春一番がそよぐ季節となりましたー。4月に入る前に桜前線が仙台まで達してしまったり、アカデミー賞の発表では黒人旋風が巻き起こったりと、いやはや、春が来るのは早い!それと同時に、なんと「映画館ウロウロ話」でもとりあげた老舗の名画座"早稲田松竹"(正しくは、"早稲田松竹映画劇場")の、<現存>の文字を書き替えねばならない日が来てしまったようなのですが…。「休館」とはいえ、事実上"店じまい"という気配。51年の歴史ですって!その名の通り、元々は松竹の封切館だったそうです。また封切館として生まれ変わってくれたらいいのにな。私が映画館へ足を運ぶようになったのは、この劇場にクラスの友達と行って以来。初めての名画座体験でした。なんだか感慨深いです。

そのとき観たのは、確か『明日に向かって撃て!』と『スティング』だったかな(古い)。とりたてて映画との劇的な出会いというわけではなく、ただ、知らない世界に足を踏み入れてしまった嬉しさからか、翌週の予告編に心ひかれたのか、なーんとなく、毎週のように通うようになってました。たいていの友達は一人で行くのは嫌がってたけど、私はあんまり気にならなかったなー。変なオジサンにはよく遭遇しましたけどね。名画座の雰囲気が気に入って通う人もいるっていう話ですが、残念ながらそれは違いました。だって、昔はビニール張りの椅子の匂いが漂ってたり、一番後ろの手すりをうっかり触ると赤だかオレンジだかのラバー素材みたいのがベタつくので要注意!その上、トイレも芳香剤の香りがプンプンしてたんですー。でも、もちろんラインナップはいつも魅力的だったので、すべてを越えちゃいましたけど。

以前は、ぴあじゃなくて"シティロード"って情報誌を愛用してて、でも、上映時間が載ってることは稀だったので、しょっちゅう劇場に電話かけたものです。初めて早稲田松竹に電話したときも、おばちゃんが「どっから来るの?渋谷から山の手線?じゃ、一番前に乗って改札出たら右に出てね」って親切に教えてくれました。土日は必ず朝イチの回に並んでたなー。いつも結構混んでたし。しばらく足が遠のいてるうちに、きれいに改装されちゃってたけど、もしかしてそれが祟ったのでは??2月に行った『ブロウ』と『オープン・ユア・アイズ』なんか、待ってました!の二本立て。ここはシネ・ラセットか?!『アメリ』?って思うくらい大入り満員だったから、まさかあれが最後になるとは夢にも思わなかったー(涙)。劇場経営って難しいんですね。モンティ・パイソン風イラストで綴る「映画鑑賞中の注意」も、もう観れないかと思うと…わーん。
ありがとう、早稲田松竹!!


●Kim's 近況
早速、劇場まで自分の足で確かめに行って来ました。しかし、映画のポスターを貼ってない映画館って、なんとも寂しい…。高田馬場駅からの道すがらはスタバ系のカフェも増えて、賑やかになったところなのにー。映画帰りに、なかでも最近気に入ってたのが"FEAL CAFE"。いかにも女子大生が好きそうな店作りだけど、ここはパンが美味しい!お昼なら"ランチピアット"っていうセット・メニュー(写真)が、なかなかです。食べごたえも充分。しかし、早稲田松竹なきあと、やはり界隈のお店の土日の客足は減ってしまうんでしょーね。ヤキモキしてるだろーな。ご近所に来た方は、散歩がてら寄ってみてください。


(レーコより) 早稲田松竹は、結局一度しか行けずじまいでした。その時見た映画はジム・ジャームシュ監督の「ダウン・バイ・ロー」。公開当時も見たのですが、この映画がすでに10年選手になっていることがけっこうショックだったな。思い出深い映画館の閉鎖、関西では何度か経験していますが、なんとも淋しいものです。だけど、池袋の文芸座のように復活を果たす劇場もあります。「いつか突然」開館してることを期待して、これからも映画を見続けようではありませんか。

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