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Review: The Music Of Brian Ferneyhough (concert) @ Tokyo Opera City Concert Hall: Takemitsu Memorial, Tokyo
2022/05/29
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル, 初台
2022/05/24, 19:00-21:00
Carceri d'Invenzione I for ensemble (1982)
La Chute d'Icare for solo clarinet and chamber ensemble (1987-88)
Contraccolpi for chamber ensemble (2014-15)
Chronos-Aion for ensemble (2008)
Brad Lubman (conductor), Jaan Bossier (clarinet), Ensemble Modern.

2020年、2021年とCOVID-19の影響で中止となり、3年ぶりの開催となった 現代音楽 (contemporary classical) の作曲コンペに合わせて開催されるコンサート『コンポージアム』。 イギリス出身の作曲家 Ferneyhough は名を聞いたことがある程度でしたが、 フランクフルトの現代音楽専門のアンサンブル Ensemble Modern [鑑賞メモ] の来日ということもあって、足を運びました。 2019年は都合が合わず行かれなかったので、実に4年ぶりでした。

『コンポージアム』では曲目解説等のブックレットが毎回配られるのですが、 今回は珍しく曲目解説に楽譜の一部抜粋が掲載されていました。 Ferneyhough は「複雑性」をキーワードに語られる作曲家なのですが、 その、特に1980年代の譜面を見るとそれもなるほどと。 しかし、聴いてそれがわかるかというとまた別問題で、 複雑性を聴けるほど自分の耳の分解能は高くないかもしれない、とも思わされてしまいました。

Ferneyhough の作風なのか、オーケストラより小規模な室内アンサンブル向けの作品だからなのか、 もしくは Ensemble Modern の個性なのか判断しかねましたが、 クラリネットのソロと室内アンサンブルのための曲 La Chute d'Icare でも、 ソロとアンサンブル協奏曲的に掛け合うというより、アンサンブル側も個々の楽器が粒立って聴こえました。 しかし、とっつきやすさは音色の面白さもあった Contraccolpi でした。