金曜日に観に行った 水と油 『スケジュール』 (レビュー) の話のフォローアップを。
18日は公演後にアフタートークがあったのですが、それが期待以上に面白かったです。 物語的な演出を手がける 小野寺 修司 (おのでらん) が Jacques Tati が好きという話とか、そのまんまじゃないかとか思いましたが。 映像と舞台は違うと話していましたが、Tati の動きはヴォードヴィル入ってますし。 というか、Tati も映画に進出する前はパントマイム芸人でしたしね。
ポストトークのゲスト、川崎 徹 (広告ディレクター) のコメントもなかなか良かったです。 速い動きの表現に関するテクニカルなコメントなど、そうそう、と思う所もありましたし。 それ以外ににも、ダンスとも演劇とも違う客層という指摘も、ほんとにそうなんですよね。 特に、50代くらいのちょっとお洒落なおばさんとか、 他ではあまり見かけないような客がいるのが興味深いです。 いったいどういう文脈で 水と油 を観るようになったのか気になります。
今後の展開に関する話では、今まで、自身による構成・演出だったのですが、 演出家を他に呼んでやってみたいという話をしていました。 演劇よりダンスの演出家がいいようには思うのですが、この話を聞いていて、 イデビアンクルーは観たいと思いつつ観たことないのですが、 Diversions, Unspoken Agreement (2001) (レビュー) を振り付けた 井出 茂太 とか面白そうな気もします。
あと、そういう話を聞いていて、 原作がある作品を演じるのも面白ろそうに思いました。 というか、彼等のやる Woyzeck を観てみたいです〜。 Georg Buechner の名作というか元祖不条理劇で、 Alban Berg が Wozzeck としてオペラ化していることで知られるわけですが。 ま、マイムというよりダンスですが、 Josef Nadj も既にやっていますが (レビュー)。 テイストが違いますし、水と油 のミニマリズム的な不条理のセンスで料理してみて欲しい気が……。
そういえば、水と油 にハマる前、2000年前後に僕のイチオシだった劇団 ゴキブリコンビナート (レビュー 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7) も、水と油 とは違う面で、 とても Woyzeck 的な劇団でしたね。 Woyzeck の有産階級の将校と労働者階級の兵卒の間の階級差別という 全体のテーマはもちろん、 貧困のため人体実験で体を売るとか、上司の将校に妻を寝取られるとか、 で、人体実験と嫉妬で発狂してしまうとか、そういうエピソードは、 ゴキブリコンビナートの作品とも共通するところが大きいですし。 ゴキブリコンビナートの演じる Woyzeck というのも観てみたいような……。
って、自分がハマる劇団・カンパニーって、 実は Woyzeck をやらせてみたいかどうかがポイントかもしれない、と、 ふと気付いたり……。 というか、Woyzeck が自分のクリテリアっていうのも、我ながらいかがなものか、とは思います……。