毎回友人たちに登場してもらい、エッセイを書いてもらうコーナーです。 今年のお題は「影響をうけたモノ」。
第5回の執筆者はトヨダさんです。

●●トヨダさん自己紹介●●
大阪在住。フリーター。みずがめ座、O型。旅、音楽、空を見上げること、野生に帰ること、南方熊楠、白洲正子が好き。脈絡なくてごめんなさい。
レーコさんとは、3月号の我OL時代の同期マサコさんを通じて知り合えました。以来「オレオレな人」大好き!な私はすっかりレーコさんになつく。東京でもすっかり居候っぽくお世話になったことも。
先日も数年振りにおじゃまし、古墳時代から57億6千万年未来まで時空を超えた話を、熱く語りあえたのは、大変愉快でした。これからもぼちぼち宜しくお願いします。

第5回 「奥の奥の感覚」

月(天川)
私の、影響を受けたモノって、なんだろう、と探っていくと、物質ではなくて、己の奥の感覚というか、 本能みたいなものではないかと思い当たった。それと私の細胞に組み込まれた、 今まで出会ったすべての人達、旅した土地のエッセンスか。

そんなこと言い出すと、みんなそうだけども、 生まれてきて、産声を上げたのも誰に教えられたわけでもなく、 ハイハイを始めたのもマニュアルを読んだ訳ではない。 奥が知っていたからだ。 もちろんそれを安穏とできたのも両親がいたおかげだけど。 幼稚園の頃には何故か、クリトリスへの刺激っていい気持ち、 って知ってた。父は、「お腹がいたいの?」って、心配してたっけ。 わたしは「そうじゃないんだけど」と思いつつ詳しく説明するのは マズイこと、というのも何故か察知しててテキトーにごまかしてたような気がする。 奥が知っていたからだ。

お月見をしたり、山の中に入っていったり、 気持ちのいい場所にいったり、すると勝手にスイッチが入る。 満月の夜はことさらだ。月の光が身体のすみずみまで行き渡り、 髪を梳かしてくれる。ただただうっとりする。 山では登れば登るほど元気になって、笑いながら走り出したくなる。 星をながめていると境目がなくなるような気がして向こう側へ行きたくなる。

旅も年々、奥が求めている場所へ絞られてきているような気がする。 インドやハワイやアラスカが最近のお気に入り。あと聖地、と呼ばれているところはやっぱりスイッチが入りやすい。 気持ちいい。

伏拝王子から熊野本宮を望む
まだまだこの奥の感覚に100%従いきっていないけれども、年々「従い度」が加速してきて、愉しいなあ、と思ってる。

神社にご縁があって奉職したり、聖地好きだったりするのだけど、決して宗教にはまってる訳ではなくて、〜教だとか宗派とか言い出すからおかしくなってくるのだ、と思う。やっぱりここでも、奥の感覚。もっとプリミティヴなものを信じてる。宇宙は愛と光でできてる、ただそう信じてる。なにかにつけ自分が感じてることがすべてだと思う。それを尊重しようとすると、自然にすべてを尊重することにつながっていくはずだ。

こんなに沢山の人がいるのに、あえて自分が生まれてきた、ということを考えると、自分が感じていることをもっとありのままみなくちゃ、と思う。この宇宙でたったひとりの自分をもっと喜ばせないと、宇宙に申し訳ない、と思う。

冬の高倉山 御殿(天川)

川が拠り合う処(天川)

今ごろ天川で咲いているであろう

天河神社
一度はっきりした声を聞いた。「あなたは生まれてきただけで、愛されて祝福されて護られているんですよ」って。それを聞いた途端、自然と涙が止まらなくなった。すべての人達へのメッセージだと思う。ただならぬ一体感を感じた。すべてはひとつ、かつそれぞれが個性的なんだと。美しいなあ、と思った。奥の声であり、大きなものの声だった。

そうして奥の感覚を大事にしながらも、この社会とバランスをとって生きてくのは、時に非常に愉快で、時に非常に困難を感じてる。でもだからみんながいて私がいるのだろう。この流れの中で自分に正直にいつも楽しんでいたいなあ!(了)

(第6回の「読本十人十色」の執筆者はテラケンさんです。お楽しみに! レーコ)

★トヨダさんからこばやしくんへのメッセージ★
熊野は、約10年前、南方熊楠にはまった時に興味をもって、一時,毎年のように熊野古道を歩いたことからすっかり好きになりました。古道を歩くと、再生する感じがして。ただただ歩いていただけなので、「熊野のいい場所」はむっちゃいっぱいあるハズなんですが、私は熊野古道沿いか、花の窟、くらいしか知らない。ごめんなさい。熊野住まいも、あっけなくもう終わっちゃったんですよ。果無山脈が見渡せる素晴らしい場所にあったんですけど。玉置神社もいいとこですよね。大好きです。あ、天川村ならご案内できますよ。いいとこです!是非!

★関連サイト★
●天川村ホームページ http://www.vill.tenkawa.nara.jp/
●天河神社ホームページ http://www.tenkawa-jinja.or.jp/
(レーコより)
トヨダさんは一言でいうと「人間小宇宙」。彼女と会って、 いろいろ話をした後はまるで長い間居心地のよい別世界にいたような気分になるんです。 たぶん、太古の文明とか、未来の出来事とか、 現在から気が遠くなるほどの時代の話をすることが多いからだろうなあ。 いつもホントに面白い話をしてくれるので、感謝しています。 勝手な分析なんですけど、トヨダさんという人は、昔々、まだ宗教がない時代、 人間も自然の一部である、ということを当たり前のように受けれ入れていた頃の人間の遺伝子を そのまま受け継いじゃった人じゃないかなーって思ってます。 何というか、自然の中にいても、街の中にいても、 まわりの空気と共振してる感じなんです。 東京で私の部屋に居候してた、って書いてたけど、 そんなそんな。毎日美味しいごはんをたくさん作っていただいて、 ほんまに助かりました。また一緒に古墳資料館の古墳の模型の中でおしゃべりしましょー!!



伏拝王子(熊野)

伏拝から

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