「ベルリンの壁崩壊から20年、巨大操り人形も祝福」 (AFPBB News 日本語版, 2009-09-30) という記事で気付いたのですが、ナント (Nantes, FR) の巨大人形劇カンパニー Royal de Luxe [関連発言, 関連写真集] が10月1日から4日の4日間、ベルリン (Berlin, DE) で Les Géants Arrivent (Die Riesen Kommen, The Giants Arrive) を上演します。映画祭や音楽祭を含むベルリンの一連の芸術イベントは Berliner Festspiele としてまとめられているのですが、 そのうち10月から12月にかけて開催している演劇・ダンス祭 spielseit'europa のオープニングの公演です。 今年は、ベルリンの壁崩壊20周年を記念し、 Das Wiedersehen von Berlin (The Berlin Reunion) と名付けて、 ベルリンの史跡を巡るパフォーマンスを行うようです。 今時のイベントらしく、 twitter のアカウント もあります。ただし、ドイツ語ですが……。
それにしても、 spielseit'europa のブログラムは、 Royal de Luxe 以外も興味深いです。 Michael Clark Company の 新作とか、 Tanztheater Wuppertal Pina Bausch の Die Sieben Todsünden [レビュー] の 再演とか、 Sylvie Guillem [レビュー] と Robert Lepage [レビュー] の 共演とか、 Ensemble Modern [レビュー] と Sasha Waltz [レビュー] の 共演とか。 数年遅れでいいから、こういう公演が日本まで巡回してこないかなあ……。
さて、日本へ振り返れば、10月から11月頭にかけては大道芸のシーズン。 把握しているスケジュールは以下のとおりです。
ちなみに、ヘブンアーティストTOKYO と 三茶de大道芸 の 海外招聘パフォーマーは共通です。 三茶 de 大道芸 公式サイトで発表されている 今年の出演パフォーマーをチェック。 Celestroï [日本語での紹介] と La Famille Goldini [日本語での紹介] が、面白そうです。上野恩賜公園で観るか、三茶界隈で観るか……。
大道芸ワールドカップ in 静岡 も 既に、出場パフォーマーが発表されています。 しかし、今年のラインナップもいまいちぱっとしません。 Strange Fruit [写真集] や L'Éléphant Vert 写真集] を呼んでいた頃の勢いが全く感じられず、 なんか、判りやすい普通のサーカスの一演目みないなものばかりになってしまったような……。 投げ銭ポピュリズムに流されているような気がしてなりません……。 かつて1〜2泊してまで観に行っていたのは、 静岡くらいしか呼ばないような、実験的なサーカス、野外劇やハプニングが出演パフォーマーに混じっていたから。 こういうラインナップであれば日帰りで充分かな、と。
10月1日から4日にかけてベルリン (Berlin, DE) で繰り広げられていた ナント (Nantes, FR) の巨大人形劇団 Royal de Luxe の公演 Les Géants Arrivent (Die Riesen Kommen, The Giants Arrive) ですが、雨に降られたりしたようですが、無事終わったようです。フランス国営の通信社 AFP が、 「延べ150万人以上が「鑑賞」、ベルリンの巨大操り人形劇」 (AFPBB News, 2009-10-05) と、スチルの写真を88枚も使って伝えています。テキストはほとんどありませんが、 写真を順に観るだけでおおよそのパフォーマンスの流れは判るように思います。 公式 twitter アカウント からポストされていた写真は暗いものが多く、 この時期でもうベルリンは暗く寒そうなんだなあ、と思って観ていたのですが、 AFPBB News の写真を見るとそうでも無い感じです。 あと、公式 twitter アカウントで紹介されていましたが、 ドイツの Picturereport.net に、 Die Riesen Kommen のコーナー が作られています、大判のスチルが50枚、あと、ムービーもあります。こちらもお勧め。 ムービーでのニュース報道としては、英語ですが、 “Giant puppets mark reunification” (BBC News, 2009-10-03) も。 ドイツ語のサイトを探せば、もっとスチルやムービーがあるとは思いますが、探しきれていません。 お勧めのサイトがあったら、是非教えて下さい。
twitter で振った小ネタを、他にいくつか、こちらで紹介。
英 The Guardian 紙に、 Sanjoy Roy: “Dance would die without the internet” (The Guardian, 2009-10-02) という記事が出ています。 ダンス・ビデオ (ダンスのパフォーマンスを捉えたビデオ作品) などが YouTube へ投稿されていることに対して ダンス・カンパニーが文句を言うのはいいんだけど、 作品を観た事がなかったりほとんど知らなかったりする人々にとって良い試聴機会になっている、 ということを指摘しています。 このような議論は音楽の分野でさんざん行われてきたことではありますが、 ついにダンスの分野にまで、と、感慨深いです。 ダンスの場合、公演で見られる人数も限られていますし、 公演を観た事もないカンパニーのDVDを買おうというのは熱心なファンに限られるでしょう。 自分の体験からしても、音楽や美術に比べてダンス鑑賞という趣味はかなりマイナーで、 話が通じないことがほとんど。 (自分の場合、コンテンポラリー物中心で、さらに話を難しくしていると思いますが……。) もう少し知ってもらいたいと、 先日、コンテンポラリー・ダンスの YouTube をまとめて 紹介したばかりだったので、 この The Guardian の記事には頷くばかりです。
映画 『僕らのミライへ逆回転』 (Michel Gondry: Be Kind Rewind. 2008) を去年観たときは、 商業主義を皮肉り地元密着型のDIY主義を謳う人情コメディで、ちょっと感傷的ノスタルジーかな とも思ったのですが [レビュー]、 どうやら Gondry は本気だったようです。 杉本 達應 さんのブログが、 「ミシェル・ゴンドリーの手作り映画バンザイ!」 (2009-10-03) で、Be Kind Rewind に関連して Gondry が出した本 You'll Like This Film Because You're In It: The Be Kind Rewind Protocol (Picture Box, Inc. 2008) を紹介しています。 ワークショップ活動の話など、一読をお勧めします。 特に、本の最後に Gondry が書いていると引用紹介している文章が熱いです。 ところで、1980年代に post-punk のインデペンデント・レーベルの活動を通して このようなDIY主義を知った者としては、 イギリスやヨーロッパの方がアーティで、 American hardcore などアメリカの方がDIY主義が根強い、という印象がありました。 そんなこともあって、アメリカの映画監督ではなく、 フランス出身の映画監督がアメリカでこういうことをやっているというのが、 ちょっと面白いなあと思ったりしました。