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タイトル画:武川雅寛・白井良明(ムーンライダーズ) |
2002年5月 第5回 | ||
自分に近い存在、例えば肉親、特に母親の正体が、 感覚器を備え、辛うじて有機物をとって生き延びる、理性レスな「生物」だった と判った瞬間、はたして息子は、どれ程のダメージを受けるものなのか。 どくだみ黒酢を愛飲し、膝下ストッキングを着用する、 そんなこすいおばはんを演じると、俄然テカリ始める女優・市原悦子。 容姿がソックリのせいもあるのだが筆者は母親と市原をダブらせて見ている事に 改めて気付いた。(因に母親の姉、つまり、筆者の伯母はジミヘンにクリソツ。 もうムチャクチャでござりますがなぁ。)そう考えると、声だけの 「日本昔ばなし」も、母親がアフレコしている様な、 間違いを承知で見ているから、不思議である。 この「青春の殺人者」では、 市原が女の濁った性(サガ)を、惜しげもなくむきだしに魅せてくれている。 「親殺し」なんて、ハードなテーマのもと、的を射た 市原のこすいキャラは、計算ずくのコッテリ感でもって、 作風に印象を醸しだすのに成功している。 息子に刺し殺された、自分の亭主を前に、 「私、実はこういう事、望んでいたかもしれない。」と、 開き直るこすい市原。ついでに死体を隠蔽(いんぺい)する為、 タイヤホイールで海に沈める事をアプローチしたりもする。 「ダンプの運ちゃんがいっていたの。死亡事故はコレが一番だって。」 殺人者である、息子に「男」を感じ愛欲に身を委ねる、 やはりこすい市原。「一緒に、ねえ、一緒にアレしよう。」 ここで母親とイメージをダブらすのを、必死に打ち消す筆者がそこにいた。 水谷豊演じる息子の役名が「斉木順(じゅん)。」筆者の弟も「淳(じゅん)。」 「じゅんちゃーん、そっとやって。痛くない様に。じゅんちゃーん、いったぁーい!」 私同様、市原を母親像をダブらせている弟は、やはり彼女が刺し殺されるシーンを、 恐怖のあまり半泣きになりながら、観続けたそうだ。 最近、市原は、この役柄とは高低差ありすぎる東大出の エリート弁護士を、TVで悠々と演じている。が、法廷でのスーツのインナーは、 やはり膝下ストッキングを着用している様に、思えてならないのである。 そして、金輪際、私の雑文の中で、家族をネタに使うのはやめようとも思っている。 |
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葛城より:健康診断により「高脂血症」と認定される。
つまり、「コレステロール値が高いのである。
間接的に「デブ!」といわれている様なものである。 で、このG・Wはシェイプアップに専念。アルコールを減らすべき、 という意見には耳を貸さず、大文字山を、登ったり下りたりばかりしていた。 |
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(レーコより)イラスト、ほんまにこわいなー。 「こすい」ていうのは「せこい、ずるい、みみっちい、意地悪い」というのを すべて含んだような関西の、 いや、京都の言葉かな。 口にする時は 「あのオバハン、めっちゃこっすいな〜」というように 「こっすい」と発音することもあります。 「青春の殺人者」は未見なんですが、高3の夏、 クラスメートと「これで大学合格まで映画我慢しよなっ!」と 誓って一緒に観に行った映画が、岩下志麻・坂上忍主演「魔の刻(とき)」。 これもねー、親子役の岩下と坂上の過激な近親相姦シーンがあるんですけど、 びっくりしましたよ。今となってはVシネ系中年アニキ俳優(麻雀得意)の坂上だけど、 高校生の私には「不思議犬トントン」の可愛い小学生のイメージしかないですからね。 かなりショックでした。で、映画の方はナニの真っ最中にお父さんが帰宅して襖をガラッ!! シーン。そして、「お、お、おまえたちぃ〜何やってるんだぁ〜っ!」みたいな絵に 描いたような展開になるし。これで家庭崩壊が始まり、当然暗い結末。 なんでこの映画を選んだのかまったく不明です。 予想をしなかった展開の映画鑑賞後。 私たちはかるい目眩を覚えながら家へと急いだのでした。 「あー、明日から夏期講習やなー」と思いつつ・・・。 |
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※「シネマックスモナムール」(全12回)は、2001年に葛城さんに連載していただいた、熱く濃ゆ〜い、日本映画コラムです。読みたい方は下記バナ−をクリックして、ご覧ください。 |
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