毎回友人たちに登場してもらい、エッセイを書いてもらうコーナーです。 今年のお題は「影響をうけたモノ」。
第7回の執筆者はイロミさんです。

●●イロミ自己紹介●●

2年に1度開催されている山形国際ドキュメンタリー映画祭へ初めて行ったのが'99年。そこでレーコさんとちょこっと知り合って、特に連絡もしないまま月日は流れて'01年の山形で再会を喜び、ハグハグ。私は東京に遊びに行くことが多く、今回レーコさん宅には三泊させていただき、「今回登場してみない?」という事になりました。

第7回 「ドラッグのすすめ」


ドラッグ・クィーン(DQ)がいれば、クラブという殺風景な空間も華麗なディスコ様変わり。そんな楽しいDQ パーティに足を運び始めて6年近く経ち、その間にウィッグ(茶系ロングと金髪のクルクルカーリー所有)と、付けまつげ(ゴールド・シルバーの他に数色所有)にカラフルな古着などが私のワードローブに登場。たまにプチ女装でクラブにおでかけするまでになりました。ほほほ、前向きでしょ。(今欲しいアイテムはステキな靴かしら)


映画「プリシラ」(↑)でも世間に知名度を高めたドラッグ・クィーン(DQ) ですが、日本でもかなりの数のDQが活躍しています。 基本的にクラブシーンを中心に活動している彼女たちは、 それぞれ個人的、自主的、衝動的にやっていて、「女装組合」 「DQ証明書」などあるわけでもない。ということで友好を深めるため、 大阪のDQ、シモーヌ深雪さんが中心となって大阪のライブハウス、 バナナホールに全国からDQを集め「DIVA JAPAN」が開催されました。


それぞれのショーも見ごたえ充分でしたが、クライマックスは「タイタニック」のテーマに合わせて、一番素晴らしく溺れた者が優勝という「ミス・クィーン・コンテスト」。約50名のクイーン全員が舞台に上がり、4、5人しか乗れない小舟にしがみつく姿は今も脳裏に焼き付いています。この1年後にまたもシモーヌ深雪さんの野望は続き、場所は東京のクラブ新宿CODEとスケールアップ、クィーンも増えて70名近くが集合。豪華絢爛なイベントとなりました(↓)。しかし何度か見たことのあるショーも増え、シモーヌさん周辺のクィーンとも親しくなった頃、ドラッグからゲイへと興味が移行し、MIX(ゲイの男性中心で女性も入場出来る)パーティへも出入りするようになった私。なぜ、この路線が好きなのでしょうか?


それは「ベルバラ」のオスカルにリボンの騎士、という性的ファンタジーが、子供の頃にかなり擦り込まれたのが影響(お題、出ました!)しているように思われます。なぜ本来の性を隠しているの?という素朴な疑問は、誰にも聞いてはいけない気がして、主人公の苦悩について考えると、なかなか眠れなかった事が何度かありました。抑圧された同性愛の世界を知るにはまだまだ子供だったのですね。

言葉では語られないセクシュアリティを表現出来るのが映像の力。厳しい現実とぶつかりながら生きる3人のクィーンの物語「プリシラ」は、これでもかといわんばかりのファッションセンスと名曲のオン・パレード。アバ、ヴィレッジ・ピープルで楽しいダンスの後は「色んなとこへ旅に行った、けれどまだ本当の愛は知らない」と歌うヴァネッサ・ウィリアムズで、ジーンとするのがゲイ的メンタリティなのです。(了)

(第8回の執筆者は留学時代の友達、イザベルです。お楽しみに!)


「プリシラ」'95年度のアカデミー最優秀衣装賞受賞
★イロミさんオススメのCDと本★



映画「プリシラ」サウンドトラック
「シークレット・オブ・ドラッグクィーン」↑
(編集・発行:北尾トロ 1500円)
普段の彼女たちが何をしているでしょうか?笑いあり涙あり、電車の中では読めない一冊(イロミ)

★イロミさんからテラケンさんへのメッセージ★
「ルナティック」という言葉があるように、月には妖しい魅力がありますね。夏の夜は、月の動きじーっとみていると時間の経つのもあっという間です。お月見は(団子を食べながらではなく宇宙的なテイストですよ)非常に贅沢な時間の過ごし方としてかかせないモノのひとつでしょう。

(レーコより)
今回、「プリシラ」を紹介していただき、どうもありがとうございます。この映画、あの(!)サー・テレンス・スタンプのドラッグクィーンのはまりぶりもさることながら、ブレイクする前のヒューゴ・ウィービング(「ロード・オブ・ザ・リング」「マトリックス」)、ガイ・ピアーズ(「メメント」「LAコンフィデンシャル」)が艶やかな姿を披露してる、という点でも注目です。特にガイ・ピアーズはイギリスにいた頃よく見てた連続ドラマ「Home and Away」「Neighvours」で、さわやかな好青年を演じていただけに、映画の華麗な変身ぶりに「ぎょえ〜」てな感じでございました。
イロミさんとは、やけに「偶然」が重なって徐々におつき合いが深まっていった・・・(怪しい!)感じです。最初は'99年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でのクロージングパーティ会場が初対面。友人の友人の知り合い、という形で知り合ったんですよねー。で、おたがい関西出身、ということでなんやかんやとおしゃべりしましたが、住所とか電話番号とかはまったく交換せずじまい。翌日、私が山形の公園でボーッとベンチに座っていたところに、イロミさんが通りかかり、イロミさんのお友達と一緒に、山形から電車で20分ほどの「山寺」へ行ったんでしたっけ。山寺の喫茶店では、前日、山形の旧県庁を案内してくれたガイドのおばちゃんとばったり会うし、生まれて初めての東北で、一度会った人と偶然別の場所で再会する経験を繰り返し、不思議な数日間を過ごした気分でした。
そして2年後。再び舞台は山形ドキュメンタリー映画祭。上映直前の、暗くなった映画館に滑り込んだ直後、ササッと座席に近付いてきたのがイロミさん。思わず「うっそお!」と声を上げてしまいましたよ。その後は、東京で会う機会があったりして、2年以上かかってようやくまともに連絡先がわかりました。この間我が家で3泊した時は、ほぼ毎晩「お笑い」についてずっとおしゃべりしてました。大阪からわざわざやってきたイロミさん、なぜか2日連続で新宿のルミネよしもとに行ってましたねー(笑)。
今回は急なお願いにもかかわらず、執筆を引き受けてくれてありがとうございました。実は、まだ地元関西では一度も会ったことがないんで、今度は大阪で会いたいですねー。「シークレット・オブ・ドラッグクィーン」、しっかり読ませていただきます〜

→「読本 十人十色」バックナンバー
1「筒井康隆礼賛」by よねお
2「デス・スターの溝」by KITT
3「恋い焦がれる」by マサコ
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5「奥の奥の感覚」by トヨダ
6「こちらヒューストン」by テラケン
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