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Top Ten 2013
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/01/01

2013年に歴史の塵捨場 (Dustbin Of History)で レビューした展覧会やダンス演劇等の公演の中から選んだ10選。 音楽関連 (レコード/ライブ) は別に選んでいます: Records Top Ten 2013

第一位
Andreas Gursky @ 国立新美術館 企画展示室IE (写真展)
国立新美術館 企画展示室IE, 2013/07/03-09/16.
カメラを据えてかっちり構図を決めてパンフォーカスで撮影された抽象絵画のような作風の Becher Schule の作家。 制作年代順でもなく、似たような構図の写真を集めることもなく、 むしろ、似たような構図のものが一カ所に集まることをあえて避けるかように並べられていた。 そんな作りが、自分の頭の中で制作年順に並べ替えたり似た構図でグルーピングをすることを促されるよう。 そこにバズルのようなものを読み解く面白さがあった。
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第二位
Volksbühne am Rosa-Luxemburg-Platz / Herbert Fritsch: Die (s)panische Fliege @ 静岡芸術劇場 (演劇)
静岡芸術劇場, 2013/06/08.
ドイツ・ベルリンの劇団による1913年作の笑劇に基づく舞台。 大道具を排した奥行きのある舞台を使い、造形や色彩を際立たせた衣装・髪型とし、身振りや表情を中心に置いた演出は、 演劇というより、コメディ的な身体表現で構成したコンテンポラリー・ダンス、もしくはフィジカル・シアターを観るよう。 そして、そんな所が楽しい舞台だった。
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第三位
『現代への扉 実験工房展 戦後芸術を切り拓く』 (美術展)
神奈川県立近代美術館 鎌倉・鎌倉別館, 2013/01/12-2013/03/24.
大辻 清司 の展覧会等でその活動についてある程度知っていたが、 これだけ総合的にまとまった形で 実験工房 の資料を観るのは初めて。 第二次世界大戦直後、GHQの占領が終る (1952) か終らないかの頃から、これだけの活動をしていたのかと。 今まで 大辻 清司 経由で見てきただけに、舞台関連の活動など、あまり気付くことが出来なかった 実験工房 の異なる面を堪能できた展覧会だった。
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第四位
『タイポグラフィ 2つの潮流 —— 20世紀欧文タイポグラフィの展開を俯瞰する』 @ 武蔵野美術大学美術館 展示室3 (デザイン展)
武蔵野美術大学美術館 展示室3, 2013/05/20-08/18.
19世紀末から20世紀半ば1960年代頃にかけての欧文タイポグラフィの展開を 国際様式と伝統様式の二つを軸にその展開を追う展覧会。 自分のタイポグラフィと書体の知識が国際様式に偏向してることを痛感しつつ、 国際様式と伝統様式の2つの流れは独立したものではなく、 Eric Gill や Jan Tschichold の仕事はそれを繋ぐものといえるのかもしれないと気付かされた展覧会だった。
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第五位
坂 茂 『建築の考え方と作り方』 @ 水戸芸術館現代美術ギャラリー+水戸芸術館敷地内 (建築展)
水戸芸術館現代美術ギャラリー+水戸芸術館敷地内, 2013/03/02-05/12.
紙の家などで知られる建築家の展覧会。 空間構成というより、紙管や大量生産品である家具、コンテナの類をディテールだけでなく構造としても使うのが巧く、 そしてその得意な面がうまく難民支援や東日本大震災の女川町仮設住宅といった活動にはまったのだな、 と、そんなことを改めて思った展覧会だった。
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第六位
Mathilde Monnier et Jean-François Duroure: Pudique Acide / Extasis @ 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール (ダンス)
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール, 2013/11/09.
Nouvelle Danse 興隆期の1980s前半に活動を開始した振付家/ダンサーが当時の作品を 若い男女のダンサーに振り付けての再制作。 半ばダンス史のお勉強気分でその日本公演に足を運んでみたのだが、シンプルな演出構成ながら美しさとユーモアを感じるダンスに、 動き踊る姿を観ることの楽しさを久々に思い出させされた。
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第七位
田口 行弘 in collaboration with Chiara Ciccarello 『MAKEOVER』 @ 無人島プロダクション (美術展)
無人島プロダクション / SNAC, 2013/08/17-09/14.
空間インスタレーションやパフォーマンスからなる work in progress のプロジェクト作品を制作しつつ、 そのプロセスの記録をユーモラスなストップモーション・アニメーション化するという作風で知られる作家の新作展。 最近はストップモーションのみではなく物が落ちたり倒れたりして物音たてる数秒の動画も使っており、 ストップモーションの単調な早送り時間に実時間進行の映像が挟まることにより、 映像内の時間展開に緩急のリズムが生じるような面白さがあった。
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第八位
The Love Show: Nutcracker: Rated R (ダンス)
Super-Deluxe, 2012/04/30.
クラシック・バレエの名作の舞台を今現在のNYとして翻案し、ヒップホップ・ダンスやバーレクスの要素を織り交ぜたショーに。 新しい表現を観たという感じではないが、解りやすいとは言い難いネタ満載の要文化資本なエンタテインメントというあたりは、NYらしいのかもしれない。 特に1980s前半ネタは、おそらく自分と同世代の大人を主要な客層として狙って制作された作品なのではないかと思われ、 それを羨ましくも感じた。
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第九位
Ilotopie: Fous de Bassin (野外パフォーマンス)
清水マリンパーク イベント広場 (清水港), 2013/06/29.
フランスの野外劇・パフォーマンスを得意とするカンパニーによる演劇がかった水上花火ショー。 冒頭で示されたエンジンルームが火を吹くイメージが悪夢的にエスカレートしていくようでもあり、 にもかかわらず祝祭的に盛り上がって行くようでもあった。
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第十位
Josef Koudelka: Retrospective @ 東京国立近代美術館 (写真展)
東京国立近代美術館企画展ギャラリー, 2013/11/06-2014/01/13.
「プラハの春」の写真で知られるチェコスロバキア出身の写真家の回顧展。 しかし、その写真は彼の作品としては少々例外的で、実験的でグラフィカルな作風であることに気付かされた。 特に、1980年代後半から撮っている 荒廃感のある風景を1:3のパノラマサイズにグラフィカルに切り取るシリーズ Chaos の 構図に流れを感じる細長い画面が圧倒的に格好良かった。
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番外特選
Stuart Baker (dir.): Mirror to the Soul: A Documentary film about British Pathé in the Caribbean 1920-1970 (映画)
2012 / Soul Jazz Films / 1h52min / B&W/colour.
Mirror To The Soul: Music, Culture and Identity in the Caribbean 1920-1972 (Soul Jazz, SJR CDDVD263, 2013, 2CD+DVD[0/PAL]) のDVDに収録された、British Pathé が1920年から1972年にかけて制作したニュース映画を約2時間にまとめたドキュメンタリー映画。 イギリスへのカリブ移民を乗せた第一号船 The Empire Windrush に乗った Lord Kitchener に calypso の名曲 “London Is The Place For Me” を歌わせる映像など、見所満載。 収録されている映像のほとんどがカウンターカルチャー/ポストモダンな文化が席巻する以前で、 良くも悪くも100〜50年前のモダンな雰囲気 (植民地主義的な視線を含め) が堪能できる映画でもあった。
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