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Top Ten 2013
2014/01/01
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)

2013年に音盤雑記帖 (Cahiers des Disques) で取り上げた最近2〜3年の新録リリースの中から選んだ10枚+α。 展覧会・ダンス演劇等の公演の10選もあります: 2013年公演・展覧会等 Top 10

#1
Oval
Calidostópia!
(self-release, no cat. no., 2013, DL)
ゲスト歌手たちのちょっと憂いを感じる情感が籠った歌声や少々アトモスフェリックになった歌声が Markus Popp による断片化された音響に微かに残る感傷と響き合った作品。 ドラムスのサンプリングの切り込みも強い歌い方の間合いと合っており生の掛け合いのようであり、 弾けるような音の断片もギターの爪弾きのようだ。
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#2
Archie Pelago
RA Podcast: RA.370 Archie Pelago
(Resident Advisor, RA.370, 2013-07-01 , DL)
ダンス・ミュージックと機能するだけのビート感もあれば、 サックスやチェロのフレーズも断片的ながらキャッチのある旋律を持ち、 ライヴ・エレクトロニクスを駆使したジャズ/即興としては抽象度は低い。 そんなセンスの良いジャズ/即興的な生演奏のダンス・ミュージックの展開を楽しむなら、 一連のシングルも良いのだけれども、 この Resident Advisor での1時間半のセッションがうってつけだ。
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#3
Houria Aïchi
Renayate
(Accords Croisés, AC 148, 2013, CD)
ウードやネイ、ダルブッカやフレーム・ドラムからなるアンサンブルは伝統的なものだが、 キレよい演奏による音数を抑えた伴奏をクリアに録音した現代的な制作で、 ウードとユニゾンでピアノを弾いているところなど違和感無く馴染んでいる。 この演奏が、多様なアルジェリアの曲を取り上げながらアルバム全体として統一感を作り出している。
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#4
Various Artists
Mulheres De Péricles
(Joia Moderna, no cat. no., 2012, CD)
2000年代以降に注目されるようになった若い世代の女性歌手たちによる Péricles Cavalcanti の曲のカバーを集めたコンピレーション。 Nina Becker らサンパウロのレーベル yb music やその周辺で活動しているような女性歌手たちが顔を揃えており、 サンパウロを中心に盛り上がるインデペンデントなロック/ポップ・シーンの女性歌手のコンピレーションとしても充分に楽しめる内容になっている。
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#5
Cecilia Zabala
Violeta
(Cecilia Zabala / Site Music Distribition, STM113, 2013, CD)
エレクトロニクス等のギミックも無し、技巧をことさら強調するようなこともなく、 ナイロン弦7弦アコースティック・ギターの澄んだ美しい響きで聴かせる Violeta Parra カバー集。 “Que Dirá El Santo Padre” のような知る歌はもちろん、 聴いたことが無い曲でも、Parra の歌を思い出させるような少々寂しげな可愛らしい旋律が耳を捉える。 歌無しでも Parra の音楽は充分に楽しめるものだと、このアルバムで気付かされた。
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#6
Maria Pia De Vito & Huw Warren
'O Pata Pata
(Parco Della Musica, MPR030CD, 2011, CD)
ジャズやブラジルの音楽の影響を強く感じる、 Huw Warren のピアノと Maria Pia De Vito のスキャットが明るくリズミカルに絡む展開も楽しい作品だ。 この作品をきっかけに、Huw Warren が June Tabor との活動だけでなく、 Hermeto+ という Hermeto Pascoal トリビュートのプロジェクトをやったりしていたことにも気付かされもした。
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#7
Pantha du Prince & The Bell Laboratory
Elements Of Light
(Rough Trade, RTRADCD654, 2013, CD)
Pantha du Prince こと Hendrik Weber と Lars Petter Hagen 率いるカリヨン (釣り鐘) を中心とする打楽器アンサンブル The Bell Laboratory と組んでの生演奏ミニマル・プロジェクト。 展開は反復中心だけれども少々メロディアスな展開もあり、 ダンスフロア仕様のような低音強調はされていないため鐘の音のテクスチャも生きた音作りだ。 しかし、写真を観ると高さ1m近い大きな鐘も使われているようで、 ライブではもっと迫力のある音の響きが聴かれるのかもしれない。
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#8
Ron Miles
Quiver
(enja / yellowbird, yeb7728, 2013, CD)
ベースを抜いた自由度のある空間に、トランペットとギターが自在に絡むだけでなく、ドラムスすら自由に歌うよう。 かといって、完全に踏外すことはない。 強すぎず弱すぎず奇麗に鳴る Miles のトランペットといい、Frisell のエフェクト控えめのギターといい、ぎりぎりの所で歌心を離していない。
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#9
Kamilya Jubran / Sarah Murcia
Nhaoul'
(Accords Croisés, AC 147, 2013, CD)
女性歌手/ウード奏者 Kamilya Jubran のクラシカルな弦楽四重奏団との共演プロジェクト。 といっても、Jubran は相変わらず、音数控えめにウードを弾きつつ、強く通る憂いのある歌声で、微分音を含むアラブの旋法の歌を歌う。 ベースはピチカートを多用し、時にウードの音と一体化するかのように、時にモーダルなフレーズで Jubran の歌声に絡む。 音数少なく低く落ち着いた中に、強い緊張を感じる作品だ。
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#10
Henning Sieverts
Symmethree
(Pirouet, PIT3061, 2012, CD)
Sieverts の刻むベースのピチカートのリズムに Ronny Graupe のギターと Nils Wogram のトロンボーンが絡む展開は Jimmy Giuffre 3 での Jim Hall と Bob Brookmeyer のよう。 Messiaen に捧げられた2曲にしても、イデオムはジャズ的で、むしろその複雑なフレーズの掛け合いも楽しい。 ベース、ギター、トロンボーンの優しい音色でゆったりと、しかしその中に一筋の緊張感を残したような展開が気持ち良いアルバムだ。
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次点
Simone Guiducci
Django New Directions
(Simpaty / TRJ, TRJ-2010-0028, 2010, CD)
ヴァイオリンやチューバ/ユーフォニウムをフィーチャーした変則的な編成に Guiducci の弾くギターもエレクトリックで少々歪み気味な音色を多用している。 そんな楽器たちによる少々ギクシャクした無国籍フォーク・ジャズだ。 Django Reinhardt の曲がこういう演奏になるのか、というのも感慨深い。
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番外特選
Marco Cappelli
Extended Meetings II
live @ 公園通りクラシックス, 渋谷, 2013/03/24.
明確な旋律やリズムの無い即興演奏のライブになるのだろうと予想していたし、実際後半はそうだった。 しかし、意外にも、前半はナポリの民謡などを取り上げたフォーク色濃いジャズ/即興。 強面な改造ギターも駆使しつつ、ときにフォーキーで繊細な演奏も聴かせる、その振れ幅も楽しめたライブだった。
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