ちゃんとしたCDレビューを書く気力が出ないので、簡単なメモ。主に postpunk ネタ。
The Durutti Column, Live In Bruxelles 13.8.1981 (LTM Publishing, LTMCD2499, 2008, CD)。 最初期のライヴ音源ということで期待してたんだけど (以下略)。 結局、これをきっかけに、 The Return Of Durutti Column (Factory, 1979)、 LC (Factory, 1981)、 Another Setting (Factory, 1982) (レビュー: 1, 2) がヘビーローテーション中。 晩に、部屋の灯を落として、窓を開けて、涼しい風にあたりながら聴く、というのがベスト。
Weekend, Live At Ronnie Scotts (Cherry Red, CDMRED344, 2008, CD)。 Rough Trade のオリジナル・アナログ盤を持っているし、ボーナストラックも Archive (Vinyl Japan, ASKCD124, 2003, CD) 収録のものが過半なのに、 "taken from live pirate recording" な3曲目当てに買ってしまいました(敗)。 もしかしたら、なんて淡い期待もありましたが (以下略)。 結局、La Varieté (Rough Trade, 1982) と Rough Trade のシングル3タイトルがヘビーローテーション中。 この季節の天気の良い朝ののんびり目覚しやお散歩の B.G.M. に Weekend はうってつけ。
Joy Division の リマスタ再発 (Collecter's Edition) にいまいち食指が伸びないのも、 アナログもCDも Factory 盤で持っているということもあるけど、 ボーナス盤の未発表ライヴ音源もそれだけのために買うほどのものなのかと……。 2000年前後にCDリリースされたライブ音源2タイトルも全然聴いてないもんなぁ。 今でも好きで Closer (Factory, 1980) とかよく聴くけど、自分の中では、 Heart And Soul (London, 828 968-2, 1997, 4CD+Book) (レビュー) で整理が付いてしまったのかも。 それにしても、Joy Division / Ian Curtis 関連の映画が2本公開されたり、 「ロック」的な伝説化ばかり進む昨今、肝腎のライヴ・ヴィデオ Here Are The Young Men (Ikon F.L.C., IKON2 / Factory, FACT37, 1982, VHS) が未だにDVD化されないというのは、いかがなものかと。
Various Artists, Rough Trade Shops: Counter Culture 07 (Counter Culture, CC07, 2008, 2CD)。 昨年、いろいろあったわけですが、 結局、Mute でも V2 でもなく、Counter Culture という このためのレーベルを立ち上げてのリリースになりました。 もはや alt/avant rock 方面は追いきれてないので、重宝してます。 今年のも、The Wire 誌の 2007 Rewind でも top 10 入りしてた Panda Bear や Om をチェックできたのが収穫。 ちなみに、次のジャンル別2枚組コンピレーションは、 "Mai 68" 40周年を記念して Protest とのこと。 5月のリリースされるのかな、と思いきや、その気配がありません。
再発アンソロジーシリーズ London Is The Place For Me も素晴らしかった Honest Jon's から、 戦前録音アンソロジー Living Is Hard: West African Music In Britain, 1927-1929 (Honest Jon's, HJRCD33, 2008, CD) なんていう凄いものが。 って、買ってませんが、ウェブサイトで全曲mp3試聴できるというのが素晴らしい。とりあえず聴くべし。 The Wire 誌 Issue 291 (May 2008) にさっそくレビューが載ってますが、 それによると、恐ろしいことに、 この EMI's Hayes Archive 音源シリーズはこの先10タイトル予定されているという。 それもイラク、ギリシャ、グルジア等の録音だそう。ど、どうしよう……。 こういう分野まで手を伸ばす余裕はあまり無いんですけど。
リイシューといえば、 Analog Africa のとか、 Soundway の Nigeria Special! シリーズとか、 アフリカの面白そうなリイシューが続いてますが、 手を出し始めると深みにはまりそうなので、躊躇中。ううう。 志向性が逆ですが、Stern's の Authenticité: The Syliphone Years シリーズとかも。
さて、 [Yazoo: In Your Room のレビューと] 関連する postpunk 小ネタをいくつか。
Depeche Mode や Seft Cell を送り出したコンピレーション Various Artists, Some Bizzare Album (Some Bizzare, BIZLP01, 1981, LP) が ボーナストラック入りでCD化されました (Some Bizzare, SBZ101CD, 2008, CD)。 ボーナストラックはなぜか Mute 音源。 The Normal や Fad Gadget はいいとして、The Residents は文脈違い過ぎな気も……。 lo fi な synth pop でいかにもインディらしい、というか。 1980年前後の postpunk なインディのドキュメントとして貴重とは思いますが、 Some Bizzare 入門ということであれば、 Redefining The Prologue: 1981-2006 (Some Bizzare / Universal (UK), 1707688, 2006, CD; レビュー) がお薦め。 しかし、Some Bizzare Double Album (Some Bizzare, SBZ099CD, 2008, 2CD) なんていうのもリリースの予定。 こちらは、新録のコンピレーションの模様。 本格的に活動再会、といった所でしょうか。
中古で安く出ていた勢いで、なんとなく Various Artists, Black Box: WaxTrax! Records: The First 13 Years (TVT, TVT7227-2, 1994, 3CD box set) をゲット。 Ministry などの industrial 〜 EBM (electric body music) なレーベルカラーで知られた シカゴ (Chicago, IL, USA) のインディ・レーベル WaxTrax! の 設立から破産してNYのレーベル TVT に吸収合併されるまでの13年間 (1980-1992) のアンソロジーです。 ブックレットのテキストが、1980年前後に登場したUSインディ (関連発言) の一つのドキュメントとしてとても興味深く読めました。 第一弾シングルの曲 Strike Under, "Elephant Graveyard" が punk 風味の rock で微笑ましかったり。 Al Jourgensen (Ministry) と Ian MacKaye (Fugazi) によるプロジェクト Pailhead を聴きながら、 USインディのDIYネットワークはこうやって繋がっていたんだよなあ、とか。 The KLF, "What Time Is Love?" を聴きながら、 アメリカではこういう文脈から受容されたんだなあ、とか。 いろいろ感慨に浸ってしまいました。
Hector Zazou RIP。 昨晩届いた The Wire 誌の最新号 (Issue 296, Oct 2008) の soundcheck (新譜レビュー) のコーナーで Hector Zazou & Swara, In The House Of Mirrors (CramWorld, CRAW47, 2008, CD) が取り上げられていたので、新譜が出たんだと Crammed のサイトへチェックに行ったら、 訃報が……orz。 RFI Musique にも訃報記事が出ています: Bertrand Dicale. "Adieu Hector Zazou!". RFI Musique, 2008-09-11。 死因は伝えられていませんが、9月8日にパリ (Paris, FR) で亡くなったとのこと。享年60。
Hector Zazou は大好きという程ではなかったものの、 postpunk から world music への興味の入口となったミュージシャン/プロデューサーとして、 1980年代から今に至るまでフォローし続けてきた人でした。 Zazou / Bikaye / CY1, Noir Et Blanc (Crammed Discs, CRAM025, 1983, LP)、 に収録された "Eh! Yaye" を FM Transmission Barricade で聴いて気に入って、 M'Pasi Ya M'Pamba (Crammed Discs, CRAM034, 1984, 12″) を買ったのでした。 当時まだ高校生だったのでLPは図書館で借りて済ませました。 一方、Barricade (関連発言) や ZNR (関連発言) のことを知ったのは、しばらく経ってから (1990年前後) のように思います。 Noir Et Blanc も思い入れ深いのですが、Zazou のアルバムで最も好きなのは Hector Zazou, Sahara Blue (Crammed Discs / Made To Measure, MTM32, 1993, CD; レビュー)、 ベストトラックは Khaled と Malka Spiegel のデュエット "Amdyaz"。 Zazou 制作のアルバムで最も好きなのは、 ウズベキスタン (Uzbekistan) の女性歌手 Sevara Nazarkhan の Yol Bolsin (Real World, CDRW109, 2003, CD; レビュー)、 このアルバムでの揺らめくようなコブシの Nazarkhan の歌声が大好きです。
さて、The Wire 誌最新号の話に戻って、 カバーストーリーは Richie Hawtin。 最近の動向の話を期待したけど、少々後向きな感じ……。 M-nus レーベル設立十周年記念記事なので、ま、仕方無いか。 といっても、M-nus どころかデトロイトの話が多いのですが。 十周年記念のリリースとか無いのかなあ、と、検索したところ、 XLR8R 誌が "Minus 10-Year Anniversary" (2008-06-12) ということで、 M-nus 音源のDJ mix、 Ambivalent + JPLS, M-nus 10-Year Anniversary Mix を Podcast/download 配信していることに気付きました。をを。 約70分という長さはCD化も想定しているのかなあ、と思ったり。 Richie Hawtin 自身の DJ mix ではないのはちょっと残念ですが、 minimal/click な M-nus の雰囲気を楽しめる DJ mix です。 無料で聴かれますし、入門としてどうぞ。