KimsCinematicKitchen
第7回 髪を切る人
大興奮のW杯も祭りのあと、戸田も髪を切って一段落という感じがする7月です。なんだか、例年は鬱陶しく感じる梅雨も一瞬にして走り抜けた気がするから不思議ですー。で、気がつけば夏は近く、普通なら、そろそろ髪を切ろう!と思い立つ時期なんですが、今年は髪を伸ばしている真っ最中。ちょうど毛先が肩にかかるようになり、ここが辛抱のしどころ、というフェーズに入っております。

ところで、髪を切りに行くたびに思うけど、一対一でお世話してる上、世間話までしてお客さんに関わってくる職業の人って他にないですよね(ウチの美容師さんは倉持陽一(YO-KING)をジャニーズ系にしたような風貌のせいか、わるい気はしないですけどね)。なぜこういう話になったかというと、最近観た2本の映画のせいなのですが…その一つは『バーバー』。もしもビリー・ボブ・ソーントンのこと知らなければ、「本当の床屋さんじゃないの?」って思っただろーに、というなり切りぶり。絶対オスカー獲れると思って演ってるでしょ!実際、撮影中もすっかり床屋さん気取りで、ひたすら喋りつづけながら髪を切りまくったそうで、実験台にされるエキストラは毎日、戦々恐々としてたとか。映画の中ではごくごく淡々と仕事をこなすビリー・ボブ。その生業を誇りに思うかのような日常を送りながら、原題(挿し絵参照)が暗に示すように「心ここにあらず」という彼の心情の裏腹さもちらついて、興味をそそられるものがありました。しかし、刃物持ったままウワの空っていうのは困りますー(笑)。

もう一本の映画は、5月の「シネマファシスト」でも紹介された『青い春』。こちらは普通の高校生同士という一般人の構図。主人公の九條(松田龍平)がクラスメートの青木(新井浩文)の髪を切るという場面があるんですが、日曜の昼下がりを思わせる、のどかな風情で行われます(実は授業中に屋上でなんだけど)。ぱちッ、ぱちッというはさみの音が響く中、二人の男の子の親密感というか、ゆるやかに流れる友情関係が見えてくる。一体、髪を切ってくれる友達なんて、いたろうか??「髪を切る」作業自体はそう複雑ではないけど、友達に頼むとなると覚悟が必要。ある程度の信頼関係を量る鍵でもありますね。この屋上のシーンは、妙に見ててシアワセ感じました。で、その成果はどうかというと…サブタイトルは『髪型に見る第二性徴期の心境の変化』としてもいいんじゃないかなー?

なお、この夏は髪切らないぞ!という私の決心はこれらの映画を観た結果ではありませんので、お間違いなく。

●Kim's 近況
最近すっかりトークライブづいてて、 『青い春』@シネマライズ上映後にもその機会が。映画が終わると、 豊田監督、青木役の新井浩文、 EITAの3人が登場し、喋り始めてまもなく、 「実は友達が遊びに来てましてー」と呼ばれてフワリフワリと壇上に 上がってきたのは松田龍平!と見る間に、他の出演者たちもそこかしこから。 もう客席の女の子たちはヒーヒー言ってました。 そして、帰りには気軽に握手に答える龍平クンの華奢な ウナジが私の目の前に!! 映画の方は抱えきれない青春の傷みが突き刺さってくる感じだったけど、 出演者は今や仲良しモード全開で、 密かにホッと胸を撫でおろしたのでした。


(レーコより) 留学してた頃は、自分で自分の髪を切ったり、人の髪を切ったりしたこと、よくありました。髪を切るのが上手だったから、という訳ではなく、美容院に行くのは面倒だし、お金ももったいなかったから(笑)。髪を切る場所はバスルームで。一般的なイギリスのフラットのバスルームは洗面所も一緒で、日本のユニットバスのように狭くなく、椅子を置くぐらいのスペースは十分ありました。好きな音楽をラジカセ(!)で聴きながら、「ちょっと右短くない?」「あ、今度は左が!」なんて騒いでるうちに、髪はどんどん短くなっていくという・・・ただ水平に切るだけのことがこれほど大変だとは思わなかったなあ。確かに、髪を切ってる間って、なんだかんだとおしゃべりしてました。楽しかった。小さい頃はずっと母に髪を切ってもらってました。ちゃんと散髪用のはさみやバリカンみたいなものが家にあって、当時男の子に間違われるほど短い髪にされてた私、散髪の儀式はしょっちゅう。今でも、耳の後ろや首筋に残った髪のチクチクした感触、良くおぼえてます。「バーバー」も「青い春」も未見ですが、この映画見て、髪を切りたくなった人も案外いるかもしれないね。
余談だけど、先週遊びに来ていた大阪の友人は、新宿のルミネよしもと2じ4じを見に行き、そこに出てた若手の芸人(名前忘れた)が「ぼくら「青い春」出てます」と聞いて、その後すぐ「青い春」観てました。Kimさん、よしもとチックな登場人物いた??

●Kim's Cinematic Kitchen バックナンバー
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