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Top Ten 2008
2009/01/01
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)

2008年に音盤雑記帖 (Cahiers des Disques) で取り上げた最近2〜3年の新録リリースの中から選んだ10枚。 展覧会・ダンス演劇等の公演の10選もあります: 2008年公演・展覧会等 Top 10

#1
Burnt Friedman & Jaki Liebezeit
Secret Rhythms 3
(Nonplace, NON25, 2008, CD)
drums と rhythm guitar が刻む 3拍子と4拍子が並行して 変則的なアクセントで走るような6/8のリズムに、 fuzz の効いた guitar や clarinet の回転するようなフレーズが舞う。 それは krautrock を思わせる所もあるし、 回転するようなグルーヴ感が気持ち良い作品だ。
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#2
Carl Craig & Moritz von Oswald
ReComposed
(Deutsche Grammophon, 00289 478 6912 8, 2008, CD)
Herbert von Karajan 指揮 Berliner Philharniker の響きをブレイクとして使用し、 その脈動するような反覆でグルーヴを作り出す、 classical な音源ならではの華やかで美しい音色も楽しめる minimal techno だ。
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#3
Steve Lehman Quintet
On Meaning
(Pi Recordsing, PI25, 2008, CD)
vibes - bass - drums のリズム隊の繰り出すIDM的なギクシャクしたリズムと多層的な展開と、 フロント2管 saxophone - trumpet の jazz 的なニュアンスがうまく融合した作品だ。
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#4
Deadbeat
Roots And Wire
(Wagon Repair, WAG046CD, 2008, CD)
変則的に飛び交うリズムも dubstep 色濃いトラックに deep で minimal なトラックも交えた、 dubwise な minimal techno からの dubstep へのレスポンス。 Paul St. Hilaire の sleepy な歌声は dubstep 風のトラックにも合っている。
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#5
2562
Aerial
(Tectonic, TECCD004, 2008, CD)
dubstep らしいエコー控えめに低音を突出させた低中速の breakbeats という音構成だが、 硬質で乾いた音のテクスチャが dubwise な click/minimal に通じる音世界を作り出している。
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#6
Meredith Monk
Impermanence
(ECM, ECM New Series 2026, 2008, CD)
抽象的なヴォイシングの反覆でテクスチャを作り出す minimal music 的な曲の中、 民謡か童謡のようなメロディが使われた "Skelton Lines" と "Mieke's Melody #5" が耳を捉えた。
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#7
Bognár Szilvia, Herczku Ágnes, Szalóki Ági
Szájról Szájra
(FolkEurópa, FECD035, 2007, CD)
ハンガリーの folk/roots の女性歌手3人組だが、 その声はビブラートをあまり効かせずハイトーンですっきり伸びやか。 そういう歌声を重ねた明るい華やかさが、小編成ならではの小回りの良さで楽しめる。
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#8
Amir ElSaffar
Two Rivers
(Pi Recordings, PI24, 2007, CD)
四分音も含まれるイラクの maqam の音階を、17拍子や13拍子のリズムに乗って、 trumpet や saxophone の勢いを感じさせる吹きっぷりを聴かせる。 技巧を強調することなく自然に maqam と融合した mode 的な jazz だ。
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#9
Hugo Fattoruso y Ray Tambor
Emotivo
(Los Años Luz, LAL071, 2007, CD)
4人の tambor 奏者によるウルグアイの candombe のリズムに乗って、 パーカッシブで明るい音色の piano を Fattoruso が弾きまくる、 その piano と tambor のリズムの掛け合いがかスリリングで楽しい。
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#10
Setsubun Bean Unit
Setsubun Bean Unit
(Accidental, AC27CD, 2007, CD)
郡上踊りの「げんげんばらばら」や「秋田音頭」、「津軽甚句」の唄や囃子声を生かしつつ、 少し electronics 入った free/jam 的な jazz の演奏で料理している。 特に tuba によるベースラインが良い。
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次点
Keyvan Chemirani / Pandit Anindo Chatterjee
Battements Au Cœur De L'Orient
(Accords Croisés, AC121, 2008, CD)
イランの zarb 奏者とインドの tabla 奏者2人の打楽器奏者の共演だが、 ベルシャ音楽とヒンドゥースターニー音楽の単なる出合いではなく 東地中海から北インドまでの広がりを感じる。
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番外特選
Michiyo Yagi, Ingebrigt Håker Flaten, Paal Nilssen-Love, Ken Vandermark, Peter Brötzmann, Mats Gustafsson
Tokyo Conflux 2008
live @ 公園通りクラシックス, 渋谷, 2008/09/21 & Pit Inn, 新宿, 2008/09/22.
歪むほど激しく強い音で reeds を吹く爆音3人を並べてライヴで観ることで、 3人の資質の違いと、その組み合わせを楽しむことができた。 特に Vandermark の魅力を再発見できたのが良かった。
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