甘い生活苦タイトル画
タイトル画:武川雅寛・白井良明(ムーンライダーズ)

 2002年10月 第10回

 私的偏見で大変申し訳ないのだが、俗に言う天然パーマ・太毛・くせ毛の人ってのは、何故か融通きかない堅物、その上ラーメン好きというキャラが異常に多い様におもう。当然、例外もあろうが、私の周りに限って言えば、実に、パーフェクトにあてはまっている。

 この「チキン・ハート」。映画の中に登場する天パー&太毛の三人も、同じ解釈で描かれている。三人揃って一人前。人生に立ちはだかる障害を、頑なに回避続ける日々。そんな中、主演・池内博之の天パー加減はハンパではない。剛毛の域まで達した、そのチリチリは、照明のあたり具合によっては、放射能をたっぷり浴びたブロッコリーにも、見えなくない。

 ストーリーを構成するのに、これら人生の負け組三人に絡むアイテム。殴られ屋。通販生活。合コン。ゆで卵。ファッションヘルス。カツラ。小型船舶免許。尾美としのり。そして燃えよドラゴン。映画は現時点で、イケてないモチーフを東京モーターショーばりに羅列していく。

 しかし、かっこ悪いことはなんてかっこいいんだろう。流行最先端と言われるモノより、一周遅れでこれらが最先端に輝いて見える。三人がイケメンに見えてくる。これぞ映画のマジックに違いない。

 ホントは「アサ芸」を買うつもりが、店員しだいで「文春」を差し出している私にとって、秋本番、妙にしっくりくる小さなシャングリラを、この作品内に見つけた気がする。

←と、いう筆者も実は天パー。過去の九州旅行時、博多ラーメンを三日間、延べ九食、食べ続けた結果チリチリ髪質になってしまった、ウソの様なホントの話。

葛城より:で、今から15年前の長髪時代、風になびくサラサラに憧れ、ストレートパーマをあてたこともあった。現在でこそ笑いばなしだが、当時は「髪に祈る様な気持ち」だった事を思い出した。


(レーコより)ふへへへ。実は私も天然パー子なんです。今でこそ、「あててるみたい!」「いいね〜、パーマ代いらなくて」なんて、うらやましがられたりしてますが、幼稚園の頃は、まわりはみんなサラサラまっすぐの髪の毛の子ばかり。「どうして私だけ?」と親を恨んだものでした。ところで、葛城さんのロン毛時代を私は知っています。たしかにサラサラ系でした。天然パーとは、今までぜんぜん知らんかったわ。だけど、天パーでもサラサラでも、これから先は「髪の存在」が一番重要やね。葛城さんは心配なさそーですな。

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※「シネマックスモナムール」(全12回)は、2001年に葛城さんに連載していただいた、熱く濃ゆ〜い、日本映画コラムです。読みたい方は下記バナ−をクリックして、ご覧ください。


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