KimsCinematicKitchen

第１１回　厨房にて

　天高く馬肥ゆる秋、もアッという間に飛び越して、今年は冬が来るのが早いですね。肌寒さを打ち消そうとするように食欲が増してます。春先から食生活の充実をめざしてきたはずなのですが、料理のレパートリーは一向に増えず、そのかわり体重だけが増えたような…。と考えていてハタと気づいたんですけど、"Kitchen"と名のつくこのページで、ほとんど食について語っていなかったではないですかー！失礼しました。

　そんな気持ちを後押しするように、最近、グルメ映画づいてます。といっても、料理自体が映画の主役ってわけじゃないんですが、やはり美味しい物を見ると心がなごみますー。先月公開された『ディナー・ラッシュ』は、ＮＹのトライベッカ地区にあるトレンディなイタリアン・レストランが舞台。戦場のような厨房の様子と文化人を気取るスノッブなお客の顔ぶれから、ニューヨークという街の活気も伝わってきました。監督が実際にオーナーをつとめる店を使ったということなので、臨場感があるのは当然かもしれません。その上、映画の中で店のオーナーであり、若手シェフのパパ役を演じているのがダニー・アイエロ。話がただで済むわけないですよねー。息子は野心あふれるスター・シェフゆえ、挑戦的なヌーヴェル・キュイジーヌが続々と出来あがり、まるでモダン・アートみたい。大体、パスタが“立つ”（！）ってどういうこと？？←みなさん、このなぞなぞ解いてみてくださいね。

　今月公開される『マーサの幸せレシピ』もグルメ好きがそそられそうなタイトル。マーサが主役なのはタイトルを見ても明らかだけど、実はドイツ映画なのでよくよく聞くと “マルタ”と呼ばれてます。確かに「マーサ」の方が親しみはもてるかもしれないけど。っていうか、狙ってるな、っていうタイトルですけどね。主人公は鼻っぱしらの強い女性シェフで、味がわからん客は帰れ！って勢いなので、なるほどドイツ語発音の方がイメージ近いかも。主演のマルティナ・ゲデックは、ホリー・ハンターの目鼻立ちを柔らかくした感じで、なかなかの美人。そのマーサがひょんなことから預かることになった姪っ子リナは相当ガンコ者で、仕事に精出すマーサをなにかと困らすのですが、いつの間にかリナも厨房とパスタの魅力にクギ付けに。でも、いいよ、君は学校行かなくても、って許してあげたくなるのでした。だって、イタリア人シェフが賄い食としてチャチャッと作るトマトソースのスパゲッティなんか超美味しそーなんですよ。思わずスクリーンに向かって「ひ、ひとくち！」と懇願してました（心の中で）。

　他にも、ジャック・レモンがゆでたスパゲッティをほいほいテニス・ラケットですくってた『アパートの鍵貸します』とか、大きなお皿に盛られたトマトソースのパスタに心奪われ、お腹がグーと鳴った『時計じかけのオレンジ』とか、イタリア映画でなくってもパスタで思い出す映画って結構ありますねー。あー、今日の夕食もパスタに決まりかな（簡単だし）。

●Kim's 近況

　シネスイッチ銀座で『ディナー・ラッシュ』を観た帰りには、もう早速、有楽町のＭＵＪＩへ直行してジェノベーゼ・ペーストとアマトリチャーナ・ソースの瓶詰めを購入。速攻で家に着くなり、これまで15分のゆで時間を辛抱できないために出番のなかったシェル・マカロニをゆでました。うーん、でも何かが違うのよねー。因みに、ジェノベーゼ・ソースなら、やはりタリアッテレ（きしめんみたいの）が合うみたい。その場合、アルデンテじゃなくて、芯がなくなった直後ぐらいの食感が私は好きです。その後、レーコさんちで夕食にスパゲッティとマカロニをごちそうになったりもして、妙にパスタづいてる最近。前に作ってもらったサーモン・クリームソースも美味しかったですー。と言いつつ、『マーサ～』の試写会帰りには日本そば食べてました。なんでだ？？

ディナー・ラッシュ→http://www.cinemaparisien.com/dinner_rush/
マーサの幸せレシピ→http://www.martha.jp/martha/index.html

（レーコより）今月のキムさんの文章もイラストも、おいしそう。ホカホカ感が出てますねー。そうだ、ホカホカ感といえば、真夏にガラガラ＆冷房きき過ぎのイタリアンレストランに行って、せっかくの料理が冷房のせいで、驚くほど早く冷めていったことがあるんですよ。食べるのが早い私でも追い付かないぐらい・・・。冷えたパスタやピザって悲哀がありました、見た目も味も。以来、その店はもちろん、「夏にイタリアンレストラン」は避けるようになってしまいました。やっぱりイタリアンはホカホカでなくちゃいけません。
　キムさんが「私の家でパスタを食べた」って書いてるけど、あれはイタリアの某パスタメーカーのソースを使っただけなんですよ。へへへ、お恥ずかしい・・・。ところで、映画の中に登場する料理のレシピを紹介してるサイト、探したらけっこうあったので２つ紹介します。『シネマ厨房の鍵貸します』って前に本が出てたよねー。私もひとつ何か作ってみようかな？

シネマ厨房の鍵貸しますオフィシャルホームページ→
http://www.inet.or.jp/cookbook/
シネマキッチン web→
http://www.funfan.jp/cinemakitchen/index2.html

●Kim's Cinematic Kitchen バックナンバー●

1月号	2月号	3月号

4月号「春一番」	5月号「５月です」	6月号「少林サッカー」

7月号「髪を切る人」	8月号「夏が来た！」	9月号「シネコン大好き」

10月号「秋の夕日に・・・♪」