十条に出頭を命じられたアフガン人難民7名、即時仮放免 2002年6月10日、東京高等裁判所は、牛久収容所に収容されていたアフガン人難民7名の収容を停止し、身柄を解放することを命じた3月1日の東京地方裁判所の決定を取り消しました。法務省・東京入国管理局は、高裁の決定後、退去強制手続に則ってこれら7名の再収容に乗り出しました。
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東京でも大阪と同じ日に開催決定! 大阪で「難民を受け入れよう たそがれパレード」が開催されることは、本コーナーでもすでに告知していますが、東京でもパレードが開催されることになりました!7月27日(土)に大阪と東京で、難民の受入れを求めるパレードを同時に開催します。 【東京パレード趣旨】 日本にも難民の人たちが来ていることをご存知でしょうか? |
「7・27難民を受け入れよう たそがれパレードin大阪」に参加してください!
先日の「世界難民の日」シンポジウムにご参加いただきありがとうございました。政府内でもすでに難民認定制度の検討が始まっていますが、7月6日付け朝日新聞朝刊・社説には、公明党が「難民認定のための第三者機関新設や、60日以内という難民申請機関の延長」などを骨子とした提言をまとめた、と報じられています。民主党でも難民認定制度の改正を目指してプロジェクトチームが検討を行っています。 ●日時:7月27日4時より(3時半集合) |
広島地方裁判所、アフガン難民アブドゥル・アジズさんに刑免除の画期的判決 広島地方裁判所は2002年6月20日、「不法入国」の容疑で起訴されていた山口県在住のアフガン難民、アブドゥル・アジズ氏について、難民と認め、不法入国に関する刑を免除する画期的な判決を下しました。 |
アフガン難民7名に再収容の危機 東京高等裁判所(民事第15部、赤塚信雄裁判長)は6月10日、東京地方裁判所民事第3部の画期的決定により強制収容所から身柄を解放されていたアフガン人難民7名(10月3日に拘束・収容された9名のうちの5名と、それ以前から収容されていた2名)の収容停止決定を取り消す決定を行いました。理由は、「収容は肉体的・精神的被害を生じさせていない」という理解しがたいものです。 (関連記事)2002年6月10日 朝日新聞 アフガニスタン国籍の男性らが難民認定申請中に収容され、退去強制手続きが始まっている問題で、東京高裁の赤塚信雄裁判長は10日、7人について、今年3月に東京地裁が認めた収容の執行停止を取り消し、7人の申し立てを却下する決定をした。 関連記事:毎日新聞6月10日 東京入国管理局に不法入国・残留の疑いで摘発されたアフガニスタン人7人について、東京高裁(赤塚信雄裁判長)は10日、退去強制令書に基づく収容処分の執行停止を命じた東京地裁決定を取り消した。これを受け法務省入国管理局は、再収容するかどうか検討している。 |
「世界難民の日」大阪シンポジウム、400人の参加で成功 6月22日、大阪で「世界難民の日」大阪シンポジウムが開催されました。会場のカトリック大阪教区聖マリア大聖堂は400人の参加者で盛況。会場には、東京からバスでかけつけた十数人を始め、アフガン難民たちも25人の大集合。この大聖堂、正面にはマリア像、左側には、江戸時代初頭のキリスト者に対する迫害により、当時スペイン領だったフィリピンのマニラに亡命した「日本最初の亡命者」高山右近像が描かれており、「難民問題」を考える会場としても非常に適切な場所です。 2002年6月23日 朝日新聞
2002年6月23日 毎日新聞
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長野県知事・田中康夫氏が6月22日の 田中康夫氏(長野県知事)が、週刊SPA!に連載中の「愛の大目玉」にて、このたび6月22日に開催される「世界難民の日・大阪シンポジウム」にエールを送ってくれました。田中氏は今回の集会の賛同人に名前を連ねており、折しもシェンヤン事件が勃発したことから、このコラムになったもの。シェンヤン事件に触発されての、「主権が侵された」「外務省しっかりしろ」の大合唱に、田中氏らしい皮肉を効かせてのコメントです。
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「難民・亡命者問題を考える院内集会」130名の参加で成功! 牛久収容所に収容されていたアフガニスタン難民23名の解放を祝うとともに、シェンヤン事件なども受けてこれからの難民・亡命者政策のあり方を考える目的で、6月11日に開催された「難民・亡命者問題を考える院内集会」は、参加者130名を数え、150名収容の衆議院第2議員会館の会議室がいっぱいになるほどの盛況でした。 2002年6月13日 毎日新聞 中国・瀋陽の日本総領事館内連行事件を機に、難民認定の見直しを求める声が高まる中、アフガニスタン人の難民申請問題を考える集会がこのほど、衆院第2議員会館(東京都千代田区)で開かれた。参加者からは「難民認定制度は抜本的に見直すべきだ」と法改正を求める意見が相次いだ。支援者でつくる「難民・亡命問題を考える緊急院内集会実行委員会」が主催。約100人が参加した。 2002年6月13日 共同通信 中国・瀋陽の亡命者連行事件で問われた日本の難民政策を考える緊急集会が十一日、東京都千代田区で開かれ、難民認定を申請中のアフガニスタン人らが現行制度の改正を訴えた。 |
6月22日 大阪で難民法改正に向けたシンポジウム開催! 昨年10月以降、日本に庇護を求めてきたアフガニスタン難民の問題が注目を集めるに従って、日本の難民鎖国政策と、それを可能にしている日本の入管・難民法体系の問題点が大きく焦点化されてきました。 <本集会に関する問い合わせは>
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ターリバーンと闘い続けたハザラ人に 牛久収容所に収容されていたアフガン人たちは、4月27日までに全員仮放免をかちとり、取り組みの場は司法に移ってきていますが、西日本では、まだ数名のアフガン人たちが茨木収容所(法務省入国者収容所西日本入国管理センター)および地方入管、拘置所、警察署などに収容されています。 |
「ターリバーン政権は崩壊した」を理由に ハザラ人を難民不認定にした大阪入管 2002年4月10日と17日、法務省大阪入国管理局は4名のハザラ人難民申請者に対して難民不認定の決定を行いました。難民不認定処分に関しては、具体的な理由が示されることは珍しいのですが、大阪入管は今回、不認定処分の理由として、ある程度具体的な事実を示しました。 |
5000名近くの署名集まる!ご協力ありがとうございました!
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2002年4月29日
アムネスティ・インターナショナルが緊急行動を呼びかけ!! 法務省にFAX・メールをおくろう! 3月1日、東京地方裁判所民事第三部は、民事第三部の審理の対象となっていた7名のアフガン人難民の収容を停止する決定を行い、7名は即時解放。3月7日には、体調が悪化していたアフガン人難民1名が収容所から「仮放免」を受けて解放されました。しかし、牛久収容所をはじめとする全国の入管収容施設には、少なくとも19名のアフガン人難民がいまだに閉じこめられています。 収容所に残されたアフガン人難民の状況は、日に日に深刻さを増しています。毎日新聞3月14日朝刊は、収容所に残されたアフガン人たちのうち6名が自傷行為に及んだことを報道しました。 この問題について、アムネスティ・インターナショナル国際事務局(在ロンドン)が3月12日、全世界に向けて緊急行動を呼びかけました。全世界から、森山法務大臣・川口外務大臣に対して、彼らを釈放せよとの呼びかけを行うものです。 以下、アムネスティ・インターナショナル国際事務局からの呼びかけをお送りいたします。アムネスティの緊急行動に協力し、森山法務大臣・川口外務大臣に彼らの釈放を要求するメッセージをFAX・メールで送りましょう!
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2002年4月29日
すばらしいニュースです。 現在までに牛久収容所から仮放免された人数と収容期間は以下の通りです。
アフガン難民全員の身柄解放に関する新聞記事 |
2002年4月16日
2002年4月16日
〜収容・退去強制の是非を問う裁判が本格化〜 4月11日午前11時、東京地方裁判所第606号法廷に、3人のアフガン人難民申請者のダリー語のアピールが響きわたりました。法廷は、裁判所による執行停止や仮放免を受けたアフガン人たち14名を含め、数多くの支援者で満員。アフガン人たちの意見陳述は40分に及び、裁判長は神妙な面持ちで彼らの訴えに耳を傾けました。 この裁判は、法務省のアフガン人難民申請者に対する難民不認定処分や退去強制令書の発付処分を取り消すことを求めるもので、提訴されたのは昨年ですが、今年になって本格化してきました。彼らの裁判を担当するのは、彼らの収容を停止し、身柄を解放した裁判長である藤山雅行氏。噂に違わず、一般の裁判官にありがちな尊大・傲慢な態度がみじんも感じられない、希有な人物です。陳述は長引けば、裁判官はふつう「早くしなさい」「時間がないので」などと言い出すものですが、藤山氏はじっくりと、彼らの陳述に耳を傾け続けました。 同じ趣旨の裁判を行うアフガン難民は数十人にわたっており、裁判所は審理の期間を短縮するため、一人の原告にこれを代表させて集中的に審理を行う方式を採用しました。これにより、本来一審だけで2〜3年かかる裁判が、1年程度に短縮される可能性が出てきています。これは、彼らの利益にもかなうことです。今後、裁判の行方に注目していきたいと思います。 |
難民問題についての質問が活発に 2002年1月に招集された通常国会でも、日本のアフガニスタン難民問題や難民認定制度について、2001年の臨時国会に負けず劣らず活発な議論が闘わされています。 2月27日の衆議院法務委員会で、植田至紀議員(社民党)は、主に牛久収容所(東日本入国管理センター)の処遇問題について質問。牛久収容所で、他人の名前が入った心電図が患者に交付された問題や、牛久収容所の「保護室」の実態などを暴きました。 また、3月19日の参議院法務委員会では、まず公明党の浜四津敏子議員が難民制度の改革について質問。60日条項や、難民申請者に不認定の詳細な理由が開示されないことなどについて問題提起し、難民認定制度に関する第三者機関の設立なども提言しました。つぎに社民党の福島瑞穂議員がアフガニスタン難民申請者の処遇について質問、法務省は、アフガニスタン難民申請者を強制送還するという方針を変えていないこと、場合によってはパキスタンに送り返すことも考えていることなどを明らかにしました。ぜひ、詳しい内容を議事録でご覧下さい。 2002年2月27日 衆議院法務委員会 植田至紀議員の質問 2002年3月19日 参議院法務委員会 浜四津敏子議員の質問 2002年3月19日 参議院法務委員会 福島瑞穂議員の質問 |
2002年4月1日
2002年4月1日
逆に疑心暗鬼と失望感を深める残った被収容者たち 牛久収容所(法務省入国者収容所東日本入国管理センター)長は3月29日、7ヶ月以上にもわたって収容されていたアフガニスタン難民申請者1名を仮放免しました。3月1日に東京地方裁判所民事第三部が7名の被収容者を解放する決定を行って以降、牛久収容所が仮放免した人はこれで合計4名になりました。
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2002年3月20日
難民性を否定することはできない 2002年3月6日、在京各紙が「法務省・東京入国管理局がアフガン人と偽って難民申請したパキスタン人を収容」という報道を行いました。一番詳細に報道したのは朝日新聞で、問題のポイントは、(1)「パキスタン人」が「アフガン人」と偽って難民申請をした、(2)その背後には、ブローカーがおり、その身柄についての情報が特定されている、(3)このブローカーらが、不法就労目的のパキスタン人(やアフガン人)に、組織的に虚偽の難民申請をそそのかしている可能性がある、というものです。虚偽の難民申請のためのマニュアルも押収されたと述べられています。 しかし、この記事、じっくり読むとおかしなところがあります。「パキスタン人」5名のうち2名は2001年10月に強制送還されているとのことで、2002年3月の記事としては時間がたちすぎています。のこり3名にしても2002年の2月の収容で、速報性を持った報道ではありません。 また、パキスタンやアフガニスタンの場合、単に国籍を云々するだけでは、これらの人々の申請が本当に「虚偽」であったのかわかりません。パキスタン・アフガニスタンの国境周辺での人口移動は複雑であり、パキスタン国籍の人の中にも、ターリバーン政権やこれに近いパキスタンのイスラーム原理主義者との関係で十分に理由のある迫害の恐れを持つ人がいないとも限りません。メディア側も、もし「虚偽」と決めつける報道をするなら、単に「国籍」だけで終わらせず、彼らが「どんな」パキスタン人なのかきちんと確認すべきです。 また、「ブローカー」の存在についてですが、日本の難民制度が国際基準に則って適正に行われておらず、また、アフガニスタンから日本への正規の入国が厳しく制限されている状況では、難民性の高い人であっても、自ら日本に難民申請を行うのは容易ではなく、難民申請を行うにおいてこうした第三者に依存せざるを得ない状況が存在しています。 もちろん、「ブローカー」の中に悪質な者が存在することは事実です。しかし、日本の現状では、真に難民性を有する人も、日本に入国して難民申請する上で、「ブローカー」に依存せざるを得ない場合があります。悪質な業者にひっかかってお金を巻き上げられた上、入管には「ブローカーを使ったから虚偽申請だ」と一方的に決めつけられて収容され、強制送還されて本国で迫害を受けるのでは、たまったものではありません。 2002年3月1日に東京地裁民事第三部(藤山雅行裁判長)が出した決定では、ブローカーについて「アフガニスタン人で我が国において難民申請をしたいと望む者の場合には、不法入国をせざるを得ない実情にあることが推認される」のであり、難民申請者が日本への入国の手段として、「組織的背景を有する『ブローカー』を利用して不法入国したとしても」、そのことだけで当該の難民申請者が「不法入国をして難民として在留資格を詐取して本邦で就労」しようとする組織的な活動の「一端を担っていると認めるのは早計」であると述べ、「ブローカーの存在」=「就労目的の不法入国」との決めつけを厳しく戒めています。 今後、法務省は、今回報道された「パキスタン人」のケースだけでなく、現在問題となっているアフガン人の難民認定についても、こうした「ブローカーの存在」をたてにとって、裁判や世論工作に乗り出してくるものと思われます。私たちはともすると「ブローカー」という言葉のもつおどろおどろしさにひきずられて、「やっぱり外国人は恐い」などと引きこもってしまいがちです。先入観や雰囲気で判断するのでなく、アフガン人が日本に難民申請を求めるときに直面する問題についての具体的な事実を直視すべきです。また、メディアは、法務省の発表をただそのままたれ流すのでなく、事実をきちんと検証して報道することを心がけるべきです。 |
アフガニスタン難民申請者の拘束・収容相次ぐ 東京では、東京地裁民事第三部による3月1日の収容停止決定以降、これまで収容されていた8名の身柄が解放され、現在、牛久収容所に収容されているのは十数名となっています。 一方、大阪・西日本では、新たに数名のハザラ人のアフガニスタン難民申請者が難民不認定処分を受け、密入国・不法入国などの容疑で警察に逮捕されたり、入管施設に収容されたりしています。問題は全国に広がっています。 日本政府に対して、難民申請者をただちに解放し、彼らがうけた・今後受ける可能性のある迫害について十分な情報に基づいて難民調査をやり直すことを求めていきましょう。 カトリック大阪国際協力委員会の声明 |
〜高裁での審理に注目を〜 2002年3月1日、東京地裁民事第三部(藤山雅行裁判長)は、民事第三部の審理の対象となっていた7名のアフガン人難民の退去強制令書による収容を停止する決定を行い、7名の身柄は即時解放されました。法務省側のこれへの対応が注目されていましたが、先日、法務省が3月8日の深夜になって、この決定を不服として東京高等裁判所に即時抗告を行ったことが判明しました。即時抗告の締切期限は1週間で、法務省の即時抗告は締切期限からわずか40分前に行われたことになります。 <前回の高裁決定に数多くの初歩的なミス> 東京地裁民事第三部は、昨年11月6日にも収容令書の執行停止決定を行い、審理の対象になっていたアフガン難民5名の身柄を解放したことがあります。しかし、このときも法務省が東京高裁に即時抗告を行い、東京高裁(雛形要松裁判長)が12月19日に執行停止の取り消し決定を行って、5名は再び収容されてしまいました。 東京高裁のこの決定は、5名のアフガン難民がATSD(急性心的外傷後トラウマ障害)であるとの専門医の診断を理由なく退け、「収容しても大丈夫」との法務省側の主張をこれまた理由なく認容するというものでしたが、この決定に数多くの誤りがあったことが明らかになりました(→朝日新聞2002年1月19日付記事)。たとえば、決定には次のような記述があります。 ○「パキスタンの公用語であるダリ語」:ダリー語はペルシア語の古語であり、アフガニスタン北部でタジク人とハザラ人によって話されているアフガニスタンの公用語の一つです。パキスタンの公用語ではありません。 ○「アラビア語(ペルシャ語)を理解することができる」:アラビア語とペルシア語は同じアラビア文字であらわされますが、アラビア語はセム・ハム語族、ペルシア語はインド・ヨーロッパ語族であり、全く別個の言語です。 これらは、法務省側の提出書類をそのまま引き写したもので、法務省側の主張のずさんさと、誤りを問いたださないどころか、決定にそのまま引用してしまう東京高裁のでたらめさを二つながら明らかにしています。 前回、新聞沙汰にもなった以上、今回も同じようなずさんなやり方で決定を行うことは許されません。東京高裁での審理を監視していきたいと思います。 一方、アフガン難民たちが提起している退去強制令書の取消訴訟(彼らの強制送還命令(退去強制令書)の発付を違法として取り消しを求める訴訟)の第一回口頭弁論の日程なども決まり、司法の場での闘いが本格化しつつあります。こちらの方にも注目していきたいと思います。
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の調査団が在日アフガニスタン難民の実態調査のために来日、 法務省と交渉を実現 アフガニスタン・ターリバーン前政権の迫害を逃れて来日し、日本で強制退去の命令を受けて無期限収容にさらされてきたアフガニスタン難民たちは、合計30人以上にのぼります。3月1日、東京地方裁判所民事第三部の画期的決定により、このうち7名が収容の執行停止処分を受けて身柄を解放され、また、体調を崩していた一名が3月7日に収容所から仮放免されましたが、いまだに十数名の人が収容されています。また、西日本で新たに難民申請を不認定とされた挙げ句に逮捕された人もおり、アフガニスタン難民の問題は深刻さを増しています。 そんな中、キリスト教の世界教会協議会(WCC)の国際問題担当幹事クレメント=ジョン氏、アジア・キリスト教協議会(CCA)の総幹事アン=ジェウオン氏が来日し、在日アフガニスタン難民に対する収容と迫害の実態調査を行いました。調査団は、先日身柄を解放された難民数人から聞き取り調査を行うとともに、法務省入国管理局に対しても調査を行い、難民の収容などについて問いただしました。また、市民との交流の場として、3月11日午後4時より衆議院第一議員会館で市民集会「在日アフガニスタン難民はいまーWCC/CCA調査団を迎えて」を開催、WCC・CCAとして声明を発表しました。 <のらりくらりと逃げる法務省> 集会では、法務省への調査でWCC・CCA調査団の通訳を務めた土井香苗弁護士から、法務省入国管理局が調査団の追及に対してどのように答弁したか細かく報告がありました。法務省は、いつものようにのらりくらりで形式的合法性に逃げる答弁をくり返し、調査団メンバーをあきれさせたようです。例えば…… ○アフガン難民は収容所で期限を定めない収容に直面し、それが難民たちをますます精神的に追い込んでいます。これについて調査団が聞いたところ、法務省は…… 「収容が終わるのは、彼らを国に『送還する日』と決まっている。だから、期限を定めない収容ではない」。 ○出入国管理法には「特別放免」という制度があり、送還が不可能な場合は収容所から放免する、と書かれています(第52条6項)。アフガニスタンは現在、送還が不可能であり、これにあたるのではないかと調査団が聞いたところ、法務省は…… 「特別放免は極めて特殊で例外的な制度なので、慎重に考えなければならない。原則として、彼らは送還可能になるまで収容するつもりである」。 ○収容所には、刑事犯罪を犯した人もそうでない人も同じ部屋に入れられています。これについて「犯罪を犯していない人を犯罪者扱いしているのではないか」と調査団が聞いたところ、法務省は…… 「彼らを刑事手続きに問うたわけではなく、犯罪者として扱っているつもりはない」。 法務省の役人たちが自己完結した形式的合法性に逃げれば逃げるほど、外国からの調査団の目には、日本の入管制度が奇異に映ります。調査団の団員たちには、法務省の役人たちは、「NO(ニェット)」を連発する一昔前のソ連の官僚のように見えたことでしょう。 <多くの議員も参加した市民集会> 衆議院第一議員会館で開かれた市民集会には、社民党や民主党から、多くの国会議員さんや議員秘書さんが参加していました。一部のアフガン難民たちの解放により、問題は一見、鎮静化したかのように見えていますが、短期的な状況に惑わされることなく、問題の本質を見据えてことにあたっている議員さんたちもたくさんいるようです。 集会の後段の議員さんたちのアピールでは、社民党が調査団を編成して牛久収容所(東日本入国管、理センター)を視察したこと、民主党が入管法と難民に関する議員プロジェクトチームを発足させ、千葉景子・参議院議員が座長に就任したことなどについての説明もありました。問題の根源は、法務省の「難民鎖国」政策を許すもととなっている「出入国管理および難民認定法」にあります。難民政策を国際水準まで引き上げるためには、立法府を舞台にした努力が必要です。国会議員と共同しての入管・難民制度の研究と政策立案が重要です。 集会には、議員さんをあわせて約80人の市民が参加しました。WCC・CCA調査団の来日は、在日アフガン人難民問題が国際問題として注目を集めるきっかけになる可能性があります。アフガン人難民の身柄解放・難民認定に向けて、国際的な関心を集めていきたいと思います。 |
クルド人難民への不認定処分を取り消す画期的決定 〜司法の果敢な挑戦により岐路に立つ入管・難民行政〜 3月1日、東京地方裁判所の民事第三部(藤山雅行裁判長)が、アフガニスタン難民7名の退去強制令書による収容を違法として収容の執行停止を決定するという画期的な決定を行いましたが、今度は3月8日、東京地方裁判所のもう一つの行政部である民事第二部(市村陽典裁判長)が、トルコ国籍のクルド人男性に対する難民不認定処分を取り消す判決を出しました。 東京地裁の判決は、この男性が以前からクルド人の民族運動に参加していることから、トルコ共和国政府による迫害を受ける恐れを十分に理由のあるものとして持つ難民に該当するとした上、法務大臣による難民不認定決定は誤りであるとしてこれを取り消したものです。難民認定手続の不備ではなく、「不認定」という結論自体が誤りであり、原告が難民であることを認定して不認定取り消しの判決を出したのは、これが二回目であり、この判決は極めて画期的なものです。 また、日本にはトルコでクルド人の民族運動に参加していたクルド人たちが多く難民申請を行っていますが、今まで行政手続きで難民認定を認められた人は1人もいません。日本の難民認定・不認定は、実際には法務省・外務省など関連省庁の幹部級が集まる委員会で全員一致で決められるといわれており、クルド人に対する徹底した難民不認定政策は、難民の人権よりも、親米政策をとり中近東における米国の拠点の一つともいわれるトルコ政府との政治的な関係を優先させる日本の歪んだ難民政策を率直に反映したものであると言われていました。この判決は、そうした日本政府の難民政策に対する、司法からの厳しい批判を内包するものでもあります。 この判決は、東京地裁民事第三部だけでなく、民事第二部も、日本の劣悪な入管・難民行政に見て見ぬふりができなくなっているということを示したものです。司法の果敢な挑戦を受け、法務省にも自己の入管・難民行政の問題点を率直に見直すべきときが来ています。 本判決関連記事 |
アフガン人難民申請者7名、牛久収容所から 即時解放される 2002年3月1日、アフガン人難民申請者7名の退去強制令書による収容の執行停止申立を審理していた東京地方裁判所民事第三部(藤山雅行裁判長)は、これら7名の収容の執行を停止する画期的な決定を行い、7名はその場で牛久収容所から解放されました。7名の中には、長期にわたる収容で体調を崩していた人々や、来日の段階で空港で拘束され、これまで収容所以外に「日本の土」を踏んだことのない人々も含まれています。 東京地裁民事第三部による7名の解放の決定は、彼らを日本の入国管理体制による迫害から救出したという点に加え、その内容においても、高く評価されるべき点が数多く含まれています。 とくに高く評価できる点は、現在のアフガン情勢に照らして、7名が難民としての要件を満たしていることを認めている点です。この決定では、アフガニスタンのハザラ人たちが、人種的・宗教的(シーア派イスラーム)な理由により、ターリバーン政権の存立していた時点では難民条約にいう難民に該当していたことを認めた上、現暫定政権においても民族間・軍閥間の争闘戦が続いていること、ハザラ人は現暫定政権を構成する主要民族であるタジク人からも迫害されてきたことに照らして、人種・宗教により迫害を受ける十分に理由のある恐れを払拭できない状況であることをはっきりと認めています。 また、ブローカーの手を借りて入国したから「就労目的」だとする国側の主張に対しても、日本がアフガン人への門戸を閉ざしている現状において、第三者の手を借りて入国したことをもって「就労目的」と決めつけることはできない、との趣旨で、はっきりと国側の主張を否定しています。 このように、民事第三部の決定は極めて画期的なものです。日本の司法にも正義が厳然と存在し続けていることを祝福したいと思います。 また、この決定までには、アフガン弁護団や支援者たちによる、様々な努力の積み重ねがありました。この決定は、弁護団を初めとする、アフガン難民申請者たちを支援する多くの関係者の努力によって、みんなでかちとったものであるということができます。 牛久収容所を始め、各収容施設には、まだ十数名のアフガン難民申請者たちが収容されています。また、この決定について、法務省が東京高裁に対して「即時抗告」を行う可能性もあります。気をゆるめることはできません。司法の場でのたたかいに、今後も注目していきたいと思います。 |