- 若林, 東京, Mon Oct 18 23:45:24 2004

週末恒例ですが、音盤雑記帖を更新しました。

レビューした La Talvera, Pòble Mon Pòble (Cordae La Talvera, TAL10, 2003, CD) は、今年の頭くらいには出回っていたものですが、 もっと辛気臭い伝承曲再現物かと思い手を出し損ねていたのでした。しかし、最近になって Massilia Sound Systems が参加していることに気付いて、手を出してみたところ、 期待以上に良かったのでした。最近のヘビーローテーションです。

その Massilia Sound System もライブ盤の新作 Massilia Fait Tourner (Adam, 3091472, 2004, CD+DVD(PAL/0)) をリリースしていて、もちろん入手済みなのですが、こちらはこんなものかしらん。 Gacha Empega, Polyphonies Marseillaises (L'Empreinte Digitale, ED13080, 1998, CD) (レビュー) とか、オック語圏というかオクシタン (Occitan) 地方のバンドの音弄りで とても良い仕事をしているわけですが、 単独ではイマイチ決め手に欠けるんですよね……。

この界隈といえば、 Fabulous Trobadors, Duels De Tchatche (Tôt Ou Tard, 8345 10513 2, 2003, CD) のコーラスとしても活躍していた女性5人男性1人編成のバンド Bombes 2 Bal のデビュー作 Danse Avec Ta Grand-Mère (Tôt Ou Tard, 8345 10520 2, 2004, CD) が出ています。ざっと聴いたかぎりとても楽しい仕上がりですが、 ちゃんと聴いてから、Fabulous Trobadors と併せてレビューしたいと思っています。

オクシタン物のリリースが増えてるのか、単に自分の注意がそちらに向いているのか、 いまいちよく判りませんが、オクシタン物がマイブームという感じではあります。

さて、La Talvera, Pòble Mon Pòble の話に戻りますが、 レビューにも少し書きましたが、これを聴いていて思い出したのが、 1980年代後半の Mekons (レビュー) と Edward II & The Red Hot Polkas (レビュー)。 今でも愛聴していますが、この頃の Mekons は本当に旬だったんだなぁ、とつくづく思います。

- 若林, 東京, Mon Nov 15 1:26:57 2004

あっというまに約一ヶ月ぶりになってしまいましたが、 音盤雑記帖の更新をしました。 ネタが無いわけじゃないのですが、 なかなか書けなくなってしまっています……。

ギリシャ (Greece) 物というか、地中海物というか、 最近絶好調のレーベル L'Empreinte Digitale 物というか、 Ross Daly, Microkosmos (L'Empreinte Digitale, ED13162, 2004, CD)、 Stelios Petrakis, Akri Tou Dounia (L'Empreinte Digitale, ED13169, 2003, CD)、 Ross Daly with Chemirani Trio, Archives 11.06.2003 (Théâtre De La Ville / Naïve, TH360102, 2004, CD) の3枚を併せてレビューしました。 ま、最近、東地中海物がマイブームってこともあるのですが、 去年に Bijan Chemirani, Eos (L'Empreinte Digitale, ED13147, 2002, CD) を聴いて以来、すっかりハマってしまっています。というわけで、 参考までに関連レビュー 1, 2

そういえば、以前の Chemirani 関連盤の レビューで言及した Cie Montanero, Messatge (Daquí, 332013, 2002, CD) ですが、遅ればせながら入手してみました。 2002年のリリースですが録音は1997年7月、 南仏オクシタン (Occitania) の大西洋側 アキテーヌ (Aquitaine) のランゴン (Langon) で 毎年夏に開催されている音楽祭 Nuits Atypiques de Langon でのライブ録音でした。 オクシタン, イタリア (Italy), ハンガリー (Hungary), イラン (Iran), ブルキナファソ (Burkina Faso)ガボン (Gabon), ジャマイカ (Jamaica) という多国籍編成です。フェスティバルに集まったミュージシャンたちによる スペシャルセッションという感じで、お祭りっぽい雑多さは楽しめるのですが、 音楽的に凄いとかそういう類の録音ではありませんでした……。

ちなみに、Messatge をリリースしているレーベル Daquí は、 フェスティバル Nuits Atypiques de Langon のレーベルで、 フェスティバルのライブ音源や出演ミュージシャンの音源をリリースしています。 ちなみに、"Daquí" とはオック (Oc) 語で "from here" の意のこと。 好編集盤 Instants d'Années 2: Occitania Qu'Es Aquò (Daquí, 332023, 2004, CD) を見ても、オクシタンから世界に向けてリリースしようという意気ごみを感じます。

そんな Daquí からのリリースでアタリだったのが、 L'Occidentale De Fanfare, Hopopop (Daquí, 332021, 2004, CD)。 というわけで、レビューを書いてしまいました。 bagad meets jazz なわけですが、 ブルターニュ (Bretagne)ガスコーニュ (Gascogne) 混成というのが、地中海側ではなく大西洋側のオック語圏のレーベルらしいです。 bagad meets jazz 関連盤として、このバンドの先駆ともいえる、 Bagad Kamperle, Kejadenn (Silex, Y225023, 1993, CD) についても軽く紹介してます。

あと、L'Occidentale De Fanfare を聴いていて連想したのが、 Une Anche Passe, Entre Tarentelle Et Sardane (Silex, Y225032, 1993, CD)。 こちらは大西洋側ではなく地中海側ですが、 副題が "Traditional oboes and brass instruments of the Mediterranean" ってことで、 ラングドック (Languedoc) の oboe は bombarde (あと、トルコ (Turkey) の zurna とか) に似た甲高い音なので、 それと brass との掛け合いといい、 音色的に L'Occidentale De Fanfare と共通する所が多いです。 Michel Portal の曲を1曲やってますが全体としては jazz っぽさはあまりなく、 けっこう室内楽っぽいのですが。

しかし、Bagad Kamperle, Kejadenn といい Une Anche Passe, Entre Tarentelle Et Sardane といい、 1990年代前半の Silex には、 今から振り返っても重要なリリースが多いように思います。 今やほとんど廃盤で入手困難になってしまっているのが残念です。

- 若林, 東京, Tue Nov 23 23:48:26 2004

音盤雑記帖の更新をしました。1ヵ月前に La Talvera, Pòble Mon Pòbleレビューした時に談話室で軽く触れたきりになっていた Bombes 2 Bal, Danse Avec Ta Grand-Mère (Tôt Ou Tard, 8345 10520 2, 2004, CD) と Fabulous Trobadors, Duels De Tchatche Et Autres Trucs Du Folklore Toulousain (Tôt Ou Tard, 8345 10513 2, 2003, CD) のレビューをやっと書きました……。 先日も L'Occidentale De Fanfare をレビューした ばかりですし (関連発言)、 オクシタン (Occitania) 物が続きますね。 そういえば、 Femmouzes T.好きだったんですけどねー、 今はどうしてるんでしょう。 片割れの Rita Macedo は Bombes 2 Bal にゲスト参加してましたが。

しかし、Danse Avec Ta Grand-Mère ってタイトル、いいですね。 このタイトルを見たときに連想したのは、 バルカン (Balkan) のジプシー (Gypsy) 音楽をクラブ感覚で編集した Shantel, Bucovina Club (Essay Recordsings, AYCD1, 2003, CD)。 レビューを書いた時に 触れましたが このライナーノーツに Shantel にとってはバルカンのジブシー音楽は 祖父母のレコードで聴いていた音楽だったという話が出て来るのです。 Shantel と Bombes 2 Bal とでは音楽性はかなり違いますが、 最近の若い世代のヨーロッパの folk-oriented な音楽の担い手の間に、 「祖父母の音楽で踊ろう」という共通する感覚があるのかなぁ、と。 この「祖父母」というあたりが、「地域・国・民族の伝統」と微妙に違い、 もっと私的な感じがするのも興味深いです。 Harald Szeeman が Blood & Honey --- Future's In The Balkans 展で取り上げた Balkan のアートに対して見出した "roots" (関連発言) も、民族意識とかそういうものではなく、昔ながらのコミュニティとかそういうもの を意味していたような感じでしたし。 Fabulous Trobadors, Duels De Tchatche Et Autres Trucs Du Folklore Toulousain のジャケット裏に書かれたスローガン "Une Autre France, Une Autre Civilisation" というのも、なかなかアレではありますが。 これで、歌詞が判ればもっと興味深いものがいろいろ出て来そうな気がするのですが、 フランス語ですら厳しいのに、オック語は……。

- 若林, 東京, Thu Dec 23 22:37:06 2004

最近、オクシタン (Occitania) づいているような気もしますが、 プロヴァンスはマルセイユ (Marceilles, Provence) のポリフォニーの作品、 Lo Còr De La Plana, Es Lo Titre (Nord Sud, NSCD1121, 2003, CD) のレビュー音盤雑記帖に載せました。 Gacha Empega, Polyphonies Marseillaises (L'Empreinte Digitale, ED13080, 1998, CD) がとても気に入っていたので、 このような続編ともいえるような作品が出てきて、とても嬉しいです。く〜。

しかし、この作品、アレンジに Fabulous Trobadors の Jean Marc Enjalbert が参加しているし、 La Talvera のサンプルを使って La Phocéenne De Dub のミックス、と、 オクシタン人脈ど真中の割りには扱いが地味のような気がします。 ポリフォニーというのは伝承曲臭さすぎるのかもしれません。うーむ。 けど、今の僕にとっては、 Fabulous Trobadors や Massilia Sound System は ragga / rap 方面に行き過ぎで、 La Talvera や Lo Còr De La Plana くらいの方が面白いように感じます。

Gacha Empega その後というと、 Sam Karpiénia の Dupain も 大好き (レビュー 1, 2) です。 そろそろ新譜が出てもいい気がするのですが、どうなっているのでしょうか。 メジャー Virgin から切られたという噂も耳にしますが、未確認です。うーむ。 Dupain といえば、1年余り前に 1st アルバム L'Usina (Virgin, 2000) の リミックス盤 L'Usina Remix (Virgin, 7243 810110 2, 2001, CD) というのを入手しました。Luc Sky や La Phocéenne De Dub など、 地元マルセイユのDJによるリミックスです。 リミックスした方がいかにもダンスフロア仕様なのかもしれないですが、 リミックス前の方がトランス音楽という感じがします。うーむ。 ま、そんな予感がしたので、手を出すのが遅れてたんですが……。

Manu Théron の Lo Còr De La Plana、 Sam Karpiénia の Dupain、とくると、 3人組 Gacha Empega の紅一点 Barbara Ugo のその後が気になります。 検索しても Gacha Empega 以外の情報がみつけられないのですが、 そのまま活動を止めてしまったのでしょうか……。うーむ。