毎回友人たちに登場してもらい、エッセイを書いてもらうコーナーです。 今年のお題は「影響をうけたモノ」。

第14回は、掲示板でもおなじみスエさんです。「本」の話が出て来るのは第1回のよねおさん以来で〜す!
●●スエさん自己紹介●●

締め切り1ヶ月遅れのスエです。
海と酒をこよなく愛しています。
大統領のように働くのは王様のように遊ぶため。
「人生に取り返しのつかないことはそれほどない」が座右の銘です。
こう見えて(→)、
案外気遣いやさんとの評判です。

第14回 『自信過剰のススメ』 text by スエ

読書感想文を書くのが好きという人にお目にかかったことはないが、学生時代に誰もが通るイバラ道で、ご多分にもれず私も苦手なクチだった。

ただ小学校のとき、私の感想文が学校で話題になったことが一度だけある。別に出来が良かったからではなく、題材が「古典落語」だったからだ。講談社刊・神津要編の分厚い文庫本。それがその当時の一番の愛読書だった。

なにゆえ落語?どうやって書いた?なんて覚えてもいないが、その頃「首ったけ」「馬のす」「妾馬」「あたま山」などなど百以上は「読んだ」。小学2年のバス旅行の帰り、延々と「寿限無」を演ったこともある。同級生には悪いことをした…。今でも落語は好きで飛行機の中では必ず聞くが、高座を見たことはまだない。

これで落語好きと言えるかは知らず、落語の何がいいって「世界でもこんな下らないことを言ってお金貰っているのはあたしらだけ」「高いところからではすみません」とへり下りつつ卑屈じゃないのがいい。あれが「軽み」だね。必要なのは羽織と扇子、舌先三寸の世渡りが理想と一時は本気で落語家に憧れたが、早々にあれは男のものと諦めた。私の最初で最後の高座は小学2年のバス旅行。

そんな反則「読む落語」を皮切りに、今でも割と本を読む。ジャンルは何でも良いらしい。

余談だが古本屋で棚を上から下、右から左となめるように見る客を、店は「プロの読み手」とみなして緊張すると何かの本にあった。無意識にそれを実践していた自分に軽く酔っていたのは内密に。

では読書にどんな影響を受けたかというと、これが悪影響だけなのだ。書くのも恥ずかしいが、小林信彦の「オヨヨ大統領」シリーズを読んだ小学生の私は「こんなん私でも書ける」とコクヨのノート一冊に書いたのだ小説を。分かっている勘違いは重々承知、でもその頃は小林信彦の「軽み」が技術と知識に裏付けされていることが分からないのがかわいいところだ。で、その間違いに気付くでもなく、清水義範を読んでは「この文体は真似できる」などと思う無謀さ加減がいっそ見事。加えて救いようがないのは「やっぱりそりゃ無理だよ」と得心いった後でも諦めてないところで、コクヨのノートはワープロに、そしてパソコンに変わったけれど、私はいまだに文章を書いているわけだ。でもラブレターは夜書いちゃダメの喩え、翌朝しらふでそいつを読むたびに割腹したくなる。でも社会人をやっている以上はどうしても夜書く他なく、というか書かなくてもいいじゃないかという意見は聞かない方向で。

まぁ悪いことばかりでもなく、その恥ずかしい文章もファンレターなら熱烈で、ときには返事を貰えるからいいのだ。

それでもたくさん本を読んだおかげでおしゃべりのネタには事欠かなくなった。関西人のレーコさんほどではないが、会話には必ず落ちを求めるタチだから、常に小ネタは仕入れておきたい。で、今日もBook Offに行くわけだが、この文章にはオチがないな。

(了)


(第15回の執筆者は未定ですが、お楽しみに〜)

本当は「秘湯中の秘湯」を載せたかったのですが、画像が見つかりませんでした。〜スエ
★前回執筆者Q平さんへのメッセージ★

Q平さん!初めまして。しかしアルファロメオと言えば四つ葉のクローバー。
四つ葉のクローバーグッズ好きとしましては見逃せないアイテムが
てんこもりです。車は買えないから、車以外。
そういえば知り合いの知り合いのホストに、客からアルファロメオを貰ったという
ヤツがおりましたが、古き佳きバブル時代の逸話ですなぁ…
いつかアルファロメオをポンとプレゼントできるような人間になりたい。
いや別になりたくはない。


(レーコより)スエさん、執筆ありがとうございました!そして、スエさんの作品を楽しみに待っていただいたみなさま、いかがでしたか?自己紹介で「海が好き」と書いているだけあって、気付くとスエさんは沖縄へ、小笠原へ、としょっちゅう海にもぐりに出かけています。当然、海の生き物や自然にも詳しいし、映画や漫画やら小説やら、バレエやらプロレスやら音楽やらなんやらかんやらと、「一体この人、引き出しいくつあるねん!?」というほどいろんなこと知ってる。そして今回は「落語」も。スエさんの話っていつも面白い上にディープ。それも、これだけ引き出しがあるからなんだろうなー。

「オヨヨ大統領」シリーズ、私も持ってましたよ!小学生の時に読んでたんだけど、ストーリーってもう思い出せない。面白かったーっ!ていう記憶だけ残ってます。清水義範は、ウチの母がけっこう好きで、最初に読んだ「江勢物語」は母から借りました。この本の中にある「スノー・カントリー」、めちゃくちゃ笑いました。
えっと、今回は本人のお許しをいただいて、この連載「初」の執筆者顔出しをいたしました!インパクトのある写真がちょうどあったことを思い出したからなんですねー。このアニメ、どーですか?スエさんらしい動きでしょ?

ところで、今年の5月現在、スエさんの目下の楽しみのひとつは「マトリックス・リローデッド」の鑑賞でしょうか?主演のキアヌ・リーブスが日本にやってきた時に(5月23日)更新したのも、何か縁でもあったのかなあー。なんてことはあるわけないか(笑)。感想はカキコしてくださいまし!


→「読本 十人十色」バックナンバー
1「筒井康隆礼賛」by よねお
2「デス・スターの溝」by KITT
3「恋い焦がれる」by マサコ
4「おれがすき。」by こばやし
5「奥の奥の感覚」by トヨダ
6「こちらヒューストン」by テラケン
7「ドラッグのすすめ」by イロミ
8「Hello Kitty」by イザベル
9「BLUES SESSION の入り口」by けーこ
10「じかんのかんかく」 by もんち
11 by ヨシミ
12「All that you can leave behind」by かんば
13「デザインな生活」by Q平


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