甘い生活苦タイトル画
タイトル画:武川雅寛・白井良明(ムーンライダーズ)

 2003年1月 第13回

 ここ数か月、全く映画を観ていない。その代わり、ビデオ・DVDかといえば、これもしばらくご無沙汰。部屋のビデオデッキは、今や時計と化している。ピーク時、全ての封切りを観てまわった筆者にとって、現在180度違う環境の中にいる。

 「乳吸えー!」と、「黒い家」の大竹しのぶが、禁断症状として現れてくれないか、ワクワクしていたが、当然何も起こらなかった。こずかいの使い道が、唯一映画だったので、金と時間を持て余した小金持ちに化ける、と思いきや、そんな事もない。振り返ってみると、金はアルコールに、時間は睡眠に取って代わっている。映画から離れたとたん、リンクする様に睡眠時間が増えた。妻曰く、2歳の3男坊より、よく寝ているそうだ。酔って気がつけば朝、というのが、最近のパターンである。

 邦画でいう馬場康夫作品、洋画ではジョン・ヒューズあたりの作品だろうか。ピーク時、タイトル内容さえも忘れてしまった、薬にも毒にもならない映画を観ようと、一人で入館した時、ロビーに居た女の子が近寄り声を掛けてきた。

 「私と一緒に、映画を観ていただけません?」

 もう少しかわいければなぁ、とその女の子に注文をつける以前に、目が完全にイッていたため、関わったら大変という安全装置が働き、お断り申し出た。目がイッてるから不細工に見えたのか、目がイッてる上に不細工だったのか。

 最後列に座り、暗転したガラガラの劇場内。その不細工な「私と一緒に、映画を観ていただけません?」女は、一人で来ている男性に目を付け、片っ端から声を掛けているのが、シルエットでわかった。手で追い払う者。自ら席を立ち、不細工な「私と一緒に、映画をみていただけません?」女から逃げる者。静かなパニック状態と化した劇場を、最後列から傍観していた。言うまでもなく、上映されていた作品以上に、その様子の方が面白かった。やはり生(なま)には、勝てないのである。

 昨年末から、仕事に忙殺されていた、自身へのお年玉は「カラー16ページ 水沢アキ フルヌード全軌跡」が載った週刊ポストだった。「レオよ!おまえだけじゃないぜ!」。新春特大号をあらわに飾る、その肉弾を前にしては、もはや理性なんか存在しない事を、実によく証明してみせてくれた。


葛城より:新春。室温を快適温度22度に設定し、ミカンをセッティングして、こたつにもぐりこみながら、「九死に一生スペシャル」を見ている妻を前に、こいつには勝てない、一生ついて行こうと思った。寒中見舞い申し上げます。


(レーコより)「このイラストにコメントは不要」とメールしてきた葛城さんのために、いつもより大きめにイラストを表示してみました。やっぱり女優。いい感じの曲線です。たまたま昨日、映画「水の女」の中で、UAのバランスのとれたきれいな裸体、小川真由美の大理石のように白いすべすべの女優背中、銭湯のシーンで溢れていたやけに若めのつるっとした女性達の体など、私も女性のヌードを大量に見たばかりです。で、「現実って残酷やな〜」とつくづく思いました。だって、私銭湯通ってるけど、けっこうグロテスクですよ。ある年齢を過ぎた女性の体って。小川真由美の目映い背中はふつうのおばちゃんにはない。そう思ったら「水の女」がつまんなく思えてしようがなかったです。

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※「シネマックスモナムール」(全12回)は、2001年に葛城さんに連載していただいた、熱く濃ゆ〜い、日本映画コラムです。読みたい方は下記バナ−をクリックして、ご覧ください。


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