KimsCinematicKitchen
テキスト&フォト&イラスト by キム・パプコ

第16回4月号  できれば僕をつかまえて

 先日、久々に夜桜見物なんてものをしてきました。六本木の小さな公園には、枝振りのよい桜の木々がそびえ立ち、満開でなかなか壮観。都会の真ん中にしては、上々の花見なんじゃないでしょか。でも、まだまだ寒すぎ!隣りではコンロ持ちこんで、大きな鍋から湯気が上がってたりするのに、ウチのグループは震えながらビール飲んだり、冷え切った鶏唐揚げ食べたりしてたので、ほとんどガマン大会みたい(笑)。いや、それでも春ならではの行事と思うと、ついつい浮かれてしまいました。その上、翌日いい気になって室内プールに出かけたせいか、ノドの調子がおかしくなってきました(とりあえず、SARSじゃなさそーですが)。調子に乗るのは禁物ですー。

 そんなわけで、浮かれついでに『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を観てきました。これって私だけか知らないけど、なんだか前売券(パンナム・バッジ付き)買う時点で、既に浮かれてたんですよ。なんでだろ?因みに、私はとりたててレオ・ファンでもスピルバーグ・ファンでもなく、トム・ハンクス全出演作を観ようという執着もないんですが。高校生ぐらいの頃、映画の封切りを待ち望んでた気持ちに近いものがありました。ノスタルジックな予告編のせいなのかな?なんて言いつつ、実は横浜そごうの『ドラえもん展』行ったついでに観たんですけどね(笑)。

 とにかく、オープニング・クレジットが始まるや、待ち望んでた興奮がよみがえり、ソウル・バス(ヒッチコックの『めまい』や、『ウエストサイド物語』のオリジナル・ポスター手がけた人)を彷彿とさせる切り絵のようなイラストが動き出すと、あっという間に引きずり込まれて…拍手!ポップで軽やか、懐かしいけど新鮮なイメージが駆け巡るオープニングには、この映画の持ち味が集約されてる感じ。大体、パイロットにまんまとなりすましてる少年なんか、誰が信じるんだろ?って今なら思うけど、それが'60年代だとしたら有り得たかもしれない、と簡単に思わせてくれるのも、このオープニング効果かも。
 そして、パイロット・スーツを着て羨望のまなざしを浴びるディカプリオって、大胆さが板についてます。さらに着る服が変わるにつれ、少年らしい無邪気さや内面の葛藤も繊細に見せてくれたりして飽きない。『タイタニック』以降、大物感が漂いすぎてるように思ってたけど、『ギルバート・グレイプ』の弟役みたいに、元々、等身大でリアルに演じるのが得意だったってこと、思い出しました。この映画、コミカルで軽〜い作品だと思ってる人も多いと思うけど、いい意味で全然違う方向に行ってる気がします。コメディと青春ドラマ(シリアス路線)とサスペンスの中間あたりをうまい具合に泳いでくれてる。そういえば、"Catch me if you can."っていうの、ヴェルサーチを撃ち殺したゲイ青年が現場に残した落書きと同じフレーズなんですよね。「やれるもんなら捕まえてみろ」って。映画観た印象では、表題の感じなんですけど。同じ言葉でも、全然趣きが違うもんですねー。

 *『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を味見してみたら・・・→高級ホテルで朝食を食べた気分。素材はいたってシンプルで親しみあるものなのに、卵の調理法を尋ねられたり、好きな飲み物も選ばせてくれたりと、細部まで行き届いたサービスで心地よい高級感を味合わせてもらったのでしたー。


『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』→http://www.uipjapan.com/catchthem/jump002.html

『ソウル・バス』→http://www.saulbass.net/

●Kim's 近況

 最近、映画のお供に桜おこわのおむすびが気に入っています。モチロンお花見用のおむすび弁当として売ってたのですが、一度映画館入る前に買って以来、病みつきです。最初は『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』、次は『エルミタージュ幻想』を観るときに食べました。映画館の暗闇の中で手探りで口に運ぶと、ほんのり桜の香りがして…美味!刻んだ桜の花漬けが混ぜ込まれ、ほどよい塩味とモッチリしたおこわの食感も絶妙です。普段なら、邦画にはおにぎりと緑茶、洋画にはサンドイッチとジュースかコーヒー、中国映画なら肉まんと烏龍茶、『レッド・ドラゴン』にクロワッサンというふうに、一応作品に合ったもの(?)を選ぶんですけどねー。この季節なら、桜おこわがどんな映画にも合う気がするから不思議ですー。まあ、単なる思いこみでしょーけど。

*桜おこわ(おこわの米八)
http://plus1.ctv.co.jp/bangumi/07mon/2003/03/31/01.html



Kim's Cinematic Kitchen バックナンバー
1月号 2月号 3月号
4月号「春一番」 5月号「5月です」 6月号「少林サッカー」
7月号「髪を切る人」 8月号「夏が来た!」 9月号「シネコン大好き」
10月号「秋の夕日に・・・♪」 11月号「厨房にて」 12月号「冬もいよいよ」
2003年1月号
「羊といえば・・・」
2月号
「猟奇的な季節!?」
3月号
「ピアノのおけいこ」


TOP&LINKS | 甘い生活苦 | Kim's Cinematic Kitchen | シネマ ファシスト | wann tongue | 読本 十人十色 | 映画館ウロウロ話 | 映画館イロイロ話 | GO!GO!映画館 | CAFE | BBS | ABOUT ME