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『蛇イチゴ』 人間の感情がきちんと描かれている映画である。大谷の笑福亭に対する。つみきの宮迫に対する。平泉の家族に対するそれぞれの感情が、画面から伝わって来る。いや感情だけではなく、それぞれの人生を映してもいる。特に大泉、大谷、宮迫、絵沢。大泉の脇腹、大谷の片頬、宮迫の腹、絵沢の胸、決して肉体をさらさない抽象的なつみきと比較し、それらの肉体は具体的なそれぞれの人生をそれだけで表わしている。 笑福亭のアルツハイマーからそして死、大泉のリストラから借金、つみきの愛から別れ、絵沢と大泉の不和、誰でもが生きている限り体験するであろうその時、その時の出来事が、それらを体験したすべての人々にとって違和感なく物語られている。私の父の死は3年前、叔父の死は2週間前、アルツハイマーの母を施設へ入れたのが1年前、リストラは8年前、借金は増殖中と、妹の下着を販売した事は無いが、妹からいいかげんと言われる長兄の私が見ても、違和感は無く、違和感どころか、5人の家族1人1人と絵沢を、私の周囲にいる1人1人の目に見えない感情をさぐるように画面を熱心に見つめていた。そしてラスト蛇イチゴを初めて、目にしたつみきみほは、この物語では隠蔽された肉体同様矢面に立つ事はなかったが、これからの人生においては残された3人の家族とともに、肉体をさらして、生きてゆくであろうことを予感させる映画である。 公開は8月渋谷シネ・アミューズにて。 |
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●市井義久の近況● その19 7月 6月7日(土)午後5時36分、叔父が急性心筋梗塞で亡くなった。享年79才、父の死から3年、父の享年は78才であった。翌日6月8日私は奇遇にも逗子の1つ手前の駅、鎌倉へと向っていた。その途中妹からのケイタイ電話で知り、鎌倉での用を済ませ、そのまま叔父の逗子の家へと向った。叔父は私に2つの大きな影響をもたらした。1つは1990年から5年間私が逗子に住んだ事、もう1つは1980年から毎年夏、逗子の海で泳ぐようになった事。この2つは、もし叔父が存在していなかったら、私が決して体験しなかったであろう事実である。8才から15才くらいまでの間、毎年夏、私は、逗子の叔父の家で過ごした。そこで逗子という街の存在と、海で泳ぐ事をおぼえた。その叔父が死者となった。 父の兄弟は7人、男性が4人、女性が3人その男性のうち、女性3人は96才であっても生者であるが、男性4人のうち、3人はすでに死者となった。私も男性ゆえ、妹2人にさきがけてはやばやと死者となるのであろう。叔父もその日その時まで元気で、突然倒れて2時間後には死者であったそうだが、私も、何年後かにそうなりたいものと思う。 |
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市井義久(映画宣伝プロデューサー) 1950年新潟県に生まれる。 1973年成蹊大学卒業、同年株式会社西友入社。 8年間店舗にて販売員として勤務。1981年株式会社シネセゾン出向。 『火まつり』製作宣伝。 キネカ大森番組担当「人魚伝説よ もう一度」「カムバックスーン泰」 などの企画実現。買付担当として『狂気の愛』『溝の中の月』など買付け。 宣伝担当として『バタアシ金魚』『ドグラ・マグラ』。 1989年西友映画事業部へ『橋のない川』製作事務。 『乳房』『クレープ』製作宣伝。「さっぽろ映像セミナー」企画運営。 真辺克彦と出会う。1995年西友退社。1996年「映画芸術」副編集長。 1997年株式会社メディアボックス宣伝担当『愛する』『ガラスの脳』他。 2000年有限会社ライスタウンカンパニー設立。同社代表。 ●2001年 宣伝 パブリシティ作品 3月24日『火垂』 (配給:サンセントシネマワークス 興行:テアトル新宿) 6月16日『天国からきた男たち』 (配給:日活 興行:渋谷シネパレス 他) 7月7日『姉のいた夏、いない夏』 (配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:有楽町スバル座 他) 8月4日『風と共に去りぬ』 (配給:ヘラルド映画 興行:シネ・リーブル池袋) 11月3日『赤い橋の下のぬるい水』 (配給:日活 興行:渋谷東急3 他) 12月1日『クライム アンド パニッシュメント』 (配給:アミューズピクチャーズ 興行:シネ・リーブル池袋) ●2002年 1月26日『プリティ・プリンセス』 (配給:ブエナビスタ 興行:日比谷みゆき座 他) 5月25日『冷戦』 6月15日『重装警察』 (配給:グルーヴコーポレーション 興行:キネカ大森) 6月22日『es』 (配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:シネセゾン渋谷) 7月6日『シックス・エンジェルズ』 8月10日『ゼビウス』 8月17日『ガイスターズ』 (配給:グルーヴコーポレーション 興行:テアトル池袋) 11月2日『国姓爺合戦』 (配給:日活 興行:シネ・リーブル池袋 他) ヨコハマ映画祭審査員。日本映画プロフェッショナル大賞審査員。 |
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