甘い生活苦タイトル画
タイトル画:武川雅寛・白井良明(ムーンライダーズ)

 2007年6月 第24回「アルコール」

 r-GTP 27(IU/I)。
 先月受けた健康診断での、我が肝臓の数値である。アルコールによる障害があると、 数値は跳ね上がるが、一般的に55以内なら正常とされる。
 ほぼ連日の深酒により、この正常値を余裕で超えているであろうと、落胆していたが、 (あくまでも、肝臓より、酒を控えなくてはならない、という事に対しての落胆である。念の為。)はっきり言って、拍子抜けした。
 その晩、この数値をネタに、とことん祝杯をあげたのは、言うまでもない。

 今は日本酒にはまっている。しかも一年中、冷酒。家では質より量、長持ち優先で、2P紙パックを、常時冷やしている。でも日本酒だけだと、その味に飽きてくるので、口直しにビールを置く事も忘れない。あてが切れた時、ビールを肴に飲む、と言う事もたまにする。

 で、学生の時から、本格的に飲み始めたが、飲み方は全く上手くなっていない。失敗を糧にすればいいものの、向上心ゼロ。学習機能が欠如している様に思う。
 4回生の冬、大阪で飲倒し、1人京都に戻る電車の中。暖房と人ごみの熱気に、気分が悪くなってきた。京都までは、どう考えてもムリ。途中の駅まで持ちこたえる様、自身を励まし続けた。脂汗にじむ中、駅に着いた。が、トイレにはまず間に合わない。扉が開いたと同時に、ホームの向こう側に駆け走り、線路めがけて吐き出した。少し遠慮すべきだろうが、パズスの悪魔が憑いたと思う程、全て何も残らず吐いた。車中のカタストロフィーという、最悪の事態は避けられた。肩を震わせ、安堵しながら顔を上げると、対岸の火事を眺める様な人々の顔が、線路を挟みまた向こうのホームにあった。突然の事態に、驚きの表情を、皆隠せない様子である。そんな彼らに、口元を汚したまま、今出来る思いっきりの微笑みを返してやった・・・、とそんな低レベルなところを、この齢になっても右往左往している。しかし、現在は吐くという、ブレーキは壊れてしまい、いくらでも飲めるストッパーがかからない状態である。体を中心に考えると、良くない事は判っている。同時に頭では理解できても、やめられないものがある、という事も・・・。

 関西出身の、ある酔いどれ作家が所有していたアダルトビデオが、私の手元にある。

 そのパッケージに、何故か作家の住所と名前が貼られていた。シールから本名が「裕之」、と初めて知った。大胆と繊細。その作家に対するイメージが、アダルトビデオのパッケージから、やはり間違いない、と確信できた。「本気でアルコール語るんやったら、アル中ぐらいなってからでないとなぁ・・・。」 酒臭い意見があの世から、聞こえてきそうである。

 来月7月に命日をまた迎える、その酔いどれ作家に、この駄文を捧げる。

 レーコより:う〜ん、らもさんのことは、今でもこうして何か書こうとすると涙が出そうになります。FMラジオ「月光通信」で初めて声を聴いた時、「この人、女か男かどっちやろ?」て思ったのが最初。それから、リリパの芝居とかまぼこ投げ、ブルースライブ、落語、小説にエッセイにコラムに。。。NHKの9時のニュースで訃報を知った夜、大阪の友達にメールしまくって、泣いて泣いて泣いてたら、蜜柑がヤモリをつかまえてきてくれたこと、これからも忘れることはないやろなあ。7月26日が命日です。

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※「シネマックスモナムール」(全12回)は、2001年に葛城さんに連載していただいた、熱く濃ゆ〜い、日本映画コラムです。読みたい方は下記バナ−をクリックして、ご覧ください。


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