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『赤目四十八瀧心中未遂』 (あかめしじゅうやたきしんじゅうみすい) 主演は寺島しのぶ、同じく彼女が主演の『ヴァイブレータ』を宣伝していたので、見ようと思えば、去年の夏には見られた作品である。それを今年の春、桜が咲く頃になってようやく見た。9月23日(土)の初日より半年、堂々のロングラン作品である。2時間39分、水曜日で1,000円とはいえ、テアトル新宿218席、満席であった。『ヴァイブレータ』も12月6日(土)より、今だに上映している。賞の力ということであろうか。 『赤目四十八瀧心中未遂』、原作があるとは言え、このまがまがしいタイトルから始まり、この映画を取り巻くものすべてが、30年以上の時を経て現代に舞い降りて来たような装いである。シネマスコープ、荒戸源次郎、沖山秀子、絵沢萌子、肉体がけん引する物語、満席。すべて現代の映画とは思えぬ様相である。さらに売春婦、刺青師、やくざ、やくざに金で売られる女、焼き鳥刺し職人。『赤目四十八瀧心中未遂』という映画を見ていると同時に、60年代あるいは70年代の映画とは関わりのない世相を、二重映しで見ているような錯覚に陥る。映画は1970年、万博の年に生まれた若者が主人公であるから90年代後半の物語である。しかし何よりも、心中物だからではなく性が導く物語であることが、かつての世相、かつての仮想現実を見ているような気がした。現代では性も消費されているそうであるから。 スクリーンの上で『赤目四十八瀧心中未遂』という映画と、かつて私が生きた世相を二重映しで見ているような映画体験であった。世相をさえ見れるというのなら、2時間39分どころか、もっと長くてさえ私はスクリーンを見つめたであろう。まして満席の中とあっては60年代、70年代の映画館に、テアトル新宿の装飾も含め、タイムスリップしたような気がした。不思議な映画体験であった。 ここの近くには蠍座という映画館もあった。 |
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●市井義久の近況● その26 4月 4月17日(土)初日『ワイルド・フラワーズ』という映画を宣伝している。この作品がきっかけで女子プロレスを初めて見た。昨年は『能楽師』を宣伝したことで能を初めて見た。私は『ワイルド・フラワーズ』が無ければ女子プロを見ることも無く、『能楽師』が無ければ能を見ることも無かった。その理由が女子プロを見て、能を見て初めてわかった。客層のどこにも私がいない。演技者、客、会場、その3つがつくりだす空間に、私が存在しない。疎外感、私のような人がどこにもいない。女子プロレス、観客は連続ドラマの何回目かを見るように、ストーリーを追い、前回を反復し、次回を期待する。その予想が今見ている回の歓声となって、リングにこだまし極めて自己参加色の強いショーが展開する。その観客の参加に対応するように、プロレスラーもリングのみならず、観客席へ乱入という型で参加する。その相互交通が、双方向性が女子プロレスであり、観客は独自に創作したストーリーに基づいて参加する極めて想像性の高い参加型スポーツが女子プロレスである。 写真(↓)は『ワイルド・フラワーズ』4月17日(土)よりテアトル池袋にて公開。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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市井義久(映画宣伝プロデューサー) 1950年新潟県に生まれる。 1973年成蹊大学卒業、同年株式会社西友入社。 8年間店舗にて販売員として勤務。1981年株式会社シネセゾン出向。 『火まつり』製作宣伝。 キネカ大森番組担当「人魚伝説よ もう一度」「カムバックスーン泰」 などの企画実現。買付担当として『狂気の愛』『溝の中の月』など買付け。 宣伝担当として『バタアシ金魚』『ドグラ・マグラ』。 1989年西友映画事業部へ『橋のない川』製作事務。 『乳房』『クレープ』製作宣伝。「さっぽろ映像セミナー」企画運営。 真辺克彦と出会う。1995年西友退社。1996年「映画芸術」副編集長。 1997年株式会社メディアボックス宣伝担当『愛する』『ガラスの脳』他。 2000年有限会社ライスタウンカンパニー設立。同社代表。 ●2001年 宣伝 パブリシティ作品 3月24日『火垂』 (配給:サンセントシネマワークス 興行:テアトル新宿) 6月16日『天国からきた男たち』 (配給:日活 興行:渋谷シネパレス 他) 7月7日『姉のいた夏、いない夏』 (配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:有楽町スバル座 他) 8月4日『風と共に去りぬ』 (配給:ヘラルド映画 興行:シネ・リーブル池袋) 11月3日『赤い橋の下のぬるい水』 (配給:日活 興行:渋谷東急3 他) 12月1日『クライム アンド パニッシュメント』 (配給:アミューズピクチャーズ 興行:シネ・リーブル池袋) ●2002年 1月26日『プリティ・プリンセス』 (配給:ブエナビスタ 興行:日比谷みゆき座 他) 5月25日『冷戦』 6月15日『重装警察』 (配給:グルーヴコーポレーション 興行:キネカ大森) 6月22日『es』 (配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:シネセゾン渋谷) 7月6日『シックス・エンジェルズ』 8月10日『ゼビウス』 8月17日『ガイスターズ』 (配給:グルーヴコーポレーション 興行:テアトル池袋) 11月2日『国姓爺合戦』 (配給:日活 興行:シネ・リーブル池袋 他) ヨコハマ映画祭審査員。日本映画プロフェッショナル大賞審査員。 |
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