甘い生活苦タイトル画
タイトル画:武川雅寛・白井良明(ムーンライダーズ)

 2007年11月 第29回「ラブゾンビーズ」

 タイトルは、大好きなモノクロームセットのアルバムから。
 ゴブリンの音楽冴える、ダリオ・アルジェント編集「ドーン・オブ・ザ・デッド」に洗礼を受け、大槻ケンジ「ステーシー」が、最近読んで涙した一冊。バンド名に惹かれるのは、「ふたりのシーズン」で知られる、あの・・・、という風に全てを語らずとも、「甘い生活苦」を続けて読んでいただいている皆さんは、うすうすお気づきだと思う。
 そうです。そうなんです。
 「サンゲリア」みたいに、眼球をくり抜かれたわけではないが、私くしゾンビものに目が無いのです。

 噛まれれば、信じてた誰もがゾンビ、という大前提が、裏切られ人間不信に陥る事も、少なくない自身とダブり、それが共感おぼえる理由だと思う。
 そんなゾンビ化の残酷なルールをつくったのが、御大ジョージ・A・ロメロ。
 記念すべき第一作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は、ベトナム戦争で混沌とするアメリカを、その後の作品も、消費社会、核、格差、という問題をゾンビを通し描き続ける。今後もこの勢いでもって、狂牛病、温暖化、サブプライム等々、アメリカが抱える病を取り上げ、スクリーン狭しゾンビを大暴れさせて欲しい。このあたりの発想、定期的に男女の絡みを挿入すれば、どんなテーマも撮りあげる事ができた、日活ロマンポルノとあまり変わらない。

 生身の人間求め、優劣なく均等にさまよい続けるゾンビたちの姿は、間違った民主である、我が国の風潮に思えてならない。不運にもスキャンダルなんかで、民から頭ひとつ出てしまう事あれば、メッキで塗り固められた正義をたてに、その者を吊るし上げ、再起不能になるまでダメージを与え続ける。出た釘が打たれるその原動力は、ひがみ根性他ならない。メディアが量産した、ゾンビの如く卑屈な世論に、沢尻エリカも亀田興毅も格好の餌食にされたクチである。

 さきの「ドーン・オブ・ザ・デッド」劇中、「地獄がいっぱいになると、あふれた亡者が地上をさまよい歩く」、と神父が説く印象的なシーンがある。
 これだけ地獄に落ちそうな奴らが、のさばっているこの世の中。ゾンビが街を埋め尽くす日も、そう遠くない気がする。すでに、目的無く生気が感じられない若者にまぎれ、フラフラさまよっているのかもしれない。


 レーコより:前回の笑えるゾンビ写真@電車とはうって変わって。。。のゾンビ話。70年代に登場したゾンビ映画が当時のアメリカ社会への痛烈な風刺でもあった、ということを知ったのは「アメリカンナイトメア」というドキュメンタリー映画を観た時でした。そして21世紀。リアルな描写の「痛そうな」ホラー映画や、人を死なせて泣かせる恋愛映画がやけに増えてるのって。。。どうなのかねえ。

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※「シネマックスモナムール」(全12回)は、2001年に葛城さんに連載していただいた、熱く濃ゆ〜い、日本映画コラムです。読みたい方は下記バナ−をクリックして、ご覧ください。


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