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テキスト&フォト&イラスト by キム・パプコ |
第29回5月号 異邦人のススメ |
管理人のレーコさんもやけに旅行づいてる今日この頃のようですが、海外へ少し長めに滞在して帰ってきたとき、東京が違う風景に見える経験てありません?なんで日本人がこんなに多いの!?キモチわるい…なんて、耐えられなくなった経験、私にはあります。繁華街に出ても人混みに突入する前にエイヤッと気合を入れ、なるべく人が視野に入らないように、空を見上げながら、あるいはひたすら地面を見つめて歩いたり。自分だけ、そこには属さない他の人種のような振りをして、しばらくは微妙な距離感をぬぐえない日々がつづくのです。そんな時期、カメラを持ち歩いたら意外と面白い写真が撮れた、なんてこともありましたが(笑)。 『ロスト・イン・トランスレーション』を観ている間、そんな東京に対して感じた異邦人気分がよみがえってきました。というか、考えたら今だって、たとえば渋谷を歩く自分が、街に溶け込んでいると思う瞬間などないのですけどね。タイトルは、「翻訳されて、失われて(しまったもの)」という意味だって、どこかで言われてたけど、”lost”には「迷子になって」とか「当惑して」なんて意味も含まれてるはず。ボブ(ビル・マーレイ)は終始、途方にくれた迷子の子羊のような表情だし、シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)は雨にぬれた捨て犬のような風情。結婚して2年、夫の仕事について来たものの置き去りにされた気分、ってとこはソフィア・コッポラの私生活(スパイク・ジョーンズとの結婚→離婚)を想像させます。ピーター・ジャクソンが『キング・コング』にジャック・ブラックを抜擢したように、ソフィアもヨハンソンに自分を投影したんでしょうか。ちなみに、オープニングでヨハンソンが身につけてる女っ気のない下着も(イラスト参照)、ソフィア愛用の製品だとか。まあ、はきやすそうではありますけど(笑)。 CM撮影現場には通訳も出てきますが、ハッキリ言ってあまり役にたってない(笑)。これがまんざら誇張とも取れないのが怖いとこ。だからって、何かが“失われちゃった”のは彼女のせいばかりではなく、通訳がいようといまいと、異邦人がその地と折り合いをつける術などないのです。ホテルのバーに入り浸り(一度はやってみたいけど)というのが、最も破綻ない過ごし方であるわけで、シャーロットは外界との糸口を知ってただけラッキーといえるかも知れません。でも、どんなに夜遊び楽しんでも、帰り着けばパークハイアットの整然とした廊下にかすかに空調の音だけが聞こえ、人工的な静寂からは、人間なんて所詮一人、みたいな逃れられない空気が押し寄せるのでした。プロモーションで来日するハリウッド・スターなどは、人一倍こんな場面を「わかる、わかる〜」なんて思ってるんじゃないでしょか。客席に潜んでいるとおぼしき異邦人たちからも、前半は爆笑、やがてしんみりという気配が伝わってきました。 ハチ公前からスクランブル交差点渡って、シネマライズ@渋谷のレイトで観てほしいです(まだまだ盛況)。 http://www.lit-movie.com/ |
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●Kim's近況● 今年に入って、デジカメ、パソコンに続き、ついに携帯も買い替えました。なんていうと、やけにバブリー(死語?)な感じですが、単にどれもこれも前の機種に寿命がきて必要に迫られたせいで、けして贅沢してるわけじゃないんですー。なにかが必要になると、きまって一つじゃ済まないのはなぜ?というわけで、「話せればええやん」ってポリシーを貫けませんでした。なんか弱体化した気がしてます…(笑)。 |
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