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『2番目の彼女』 井上陽水の歌で「人生が2度あれば」がある。この映画は若くして人生を2度生きることができた幸福な男の物語である。実は、幸福な監督自身(女性)の物語である。 2番目の彼女を獲得した自称小説家(テレビのシナリオも書いている)が、1番目の彼女と別れて2番目の彼となるまでの話である。見かけは幸福な男の物語だが、主人公は自称小説家で、TVのシナリオも書き、TVのプロット会議にも出席しているので、彼は監督その人であり、舞台は監督が生きている日常の範囲内である。そのせいか登場人物は典型的なキャラクターばかりである。先輩のシナリオライター、その妻の元アイドル、TV局のディレクター、これから世に出る役者等々。1番目の彼女の世界と2番目の彼女の世界、同様に証券マンだった時の世界と自称小説家になってからの世界、1番目の彼だった時と2番目の彼としての世界、その差異は1人称でありながら歴然である。監督は映画の中でその差異を現実のように楽しみ、現実の中でもようやく自分自身の落し所を見つけたようである。2番目の彼女とは2番目の人生であり、2番目の人生とは、実と虚のように、1番目の彼女の世界と、2番目の彼女の世界を混在させた世相であり希望である。 台詞が過剰である点がいかにもシナリオライターの監督作品であり、自分自身の世界を映画として成立させたことを評価したい。 公開は11月27日。 |
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●市井義久の近況● その34 12月 夏、かつて住人でいた所を何ヶ所かたずねて回った。今回はそれと同じくかつて働いていた所を回る。働き出して31年会社は5つ目、勤務地は、阿佐ヶ谷、成増、東長崎、高田馬場、池袋、京橋、六本木、麹町、追浜、早稲田、京橋、麻布十番の12ヶ所である。奇しくも引っ越した回数とほぼイコールである。おそらく、12ヶ所すべて建物が建て替っていることは無い。しかしそこに職場があることでよく通った。飯屋、飲み屋は、6回目の京橋くらいまではほとんど無い。シネセゾンにいた時の京橋では、野菜いための中華屋と魚屋そして飲み屋この3軒を回っていたがすべて無い。中華屋は野菜いためとラーメンとシウマイの店。しかし今の消息はまったくわからない。魚屋、何年後かに銀座に復活したが飲み屋になっていた。そして木造2階建の飲み屋、昼も夜もよく通ったが、京橋で木造2階建ではその頃から消える運命だったのかもしれない。勤務地でもなければ、食事にしろ酒にしろ、わざわざおとずれることはあまりないが、他のかつて勤務地であった所でも同様と思う。働き出したのが1973年でかつて会社だった建物はそのまま存在しているが、食事にしろ、酒にしろ通ったお店は、建物と人と味と価格、それらのどれか1つが欠けても、元の店でもなければ、存続も危うい。したがって木造建築と同じように、現代での寿命は短そうである。木造建築そのものは東大寺のように永遠であるが、人間の意志が破壊を続けてそれはこれからますます加速されるであろう。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
市井義久(映画宣伝プロデューサー) 1950年新潟県に生まれる。 1973年成蹊大学卒業、同年株式会社西友入社。 8年間店舗にて販売員として勤務。1981年株式会社シネセゾン出向。 『火まつり』製作宣伝。 キネカ大森番組担当「人魚伝説よ もう一度」「カムバックスーン泰」 などの企画実現。買付担当として『狂気の愛』『溝の中の月』など買付け。 宣伝担当として『バタアシ金魚』『ドグラ・マグラ』。 1989年西友映画事業部へ『橋のない川』製作事務。 『乳房』『クレープ』製作宣伝。「さっぽろ映像セミナー」企画運営。 真辺克彦と出会う。1995年西友退社。1996年「映画芸術」副編集長。 1997年株式会社メディアボックス宣伝担当『愛する』『ガラスの脳』他。 2000年有限会社ライスタウンカンパニー設立。同社代表。 ●2001年 宣伝 パブリシティ作品 3月24日『火垂』 (配給:サンセントシネマワークス 興行:テアトル新宿) 6月16日『天国からきた男たち』 (配給:日活 興行:渋谷シネパレス 他) 7月7日『姉のいた夏、いない夏』 (配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:有楽町スバル座 他) 8月4日『風と共に去りぬ』 (配給:ヘラルド映画 興行:シネ・リーブル池袋) 11月3日『赤い橋の下のぬるい水』 (配給:日活 興行:渋谷東急3 他) 12月1日『クライム アンド パニッシュメント』 (配給:アミューズピクチャーズ 興行:シネ・リーブル池袋) ●2002年 1月26日『プリティ・プリンセス』 (配給:ブエナビスタ 興行:日比谷みゆき座 他) 5月25日『冷戦』 6月15日『重装警察』 (配給:グルーヴコーポレーション 興行:キネカ大森) 6月22日『es』 (配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:シネセゾン渋谷) 7月6日『シックス・エンジェルズ』 8月10日『ゼビウス』 8月17日『ガイスターズ』 (配給:グルーヴコーポレーション 興行:テアトル池袋) 11月2日『国姓爺合戦』 (配給:日活 興行:シネ・リーブル池袋 他) ヨコハマ映画祭審査員。日本映画プロフェッショナル大賞審査員。 |
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