KimsCinematicKitchen
テキスト&フォト&イラスト by キム・パプコ

第32回8月号  1m39cmの目線から


 男はみかけじゃなくて中身だってことを、10歳の女の子にわからせるにはどうしたらいいんだろ?って真剣に悩むセザールくんに会いたくて『ぼくセザール10歳半1m39cm』を観てきました。題名どおり、10歳の男の子セザールくんが主人公ですが、『ベイビー・トーク』の少年版か、などとあなどってはなりません。けして、可愛い子供映画が観たい!症候群に対処するだけでは終わってないのですから。

 セザールは10歳半。パン屋さんへおつかいに行ってお菓子を眺める(>食べる)ことだけが楽しみだけど、他にも考えることは山ほどあるのです。パパは仕事の相棒が亡くなってから、どうも雲行きが怪しい。なんの仕事をしてるかわからないけど、相当危ない橋を渡ってるらしい。転校してきたサラって女の子に片想い中なのに、勉強もスポーツも万能のモルガンには負けちゃいそう。そうこうするうち、仲良しになった3人は、モルガンの実の父を探しに行く旅に出ることになり・・・。

 全編、セザールくんと同じ1m39cmの目線で撮影された映像は、すごく新鮮!あれれ、私ったら、一体いつの間にあっち側からこっち側へ来てしまったのだろう?と、かつて自分も1m39cmから物を見てた頃の感覚がよみがえってきました。子供の頃、大人は別の世界に住んでいて、わからない言葉をしゃべっているように思えたっけ。常に頭の上の方で会話が交わされ、なにか置いてきぼりくったような感覚。そう、体は小さくとも、子供だって一人前に人生いろいろ考えているのです。大人は何で子供にタメ語でしゃべるな?と不思議がるセザールを見て、幼児語でしゃべる大人を不気味に思った頃を思い出しました。「いらっちゃ〜い。いくつでちゅか〜?」と話しかけてくるオバチャンには、どう対処してよいかわからず困ったものです(笑)。

演じた子供たちにも「なんでここまでキモチがわかるの?」って思わせたリシャール・ベリ監督、なんてセンスいいんでしょ。子供だって精一杯頑張ってる!でも、やっぱり子供は子供なんだっけ。なんて思いが錯綜するうちに、その繰返しで自分も大きくなったことを思い出すのでした。

●Kim's近況●

通販というものは時折利用するのですが、先日はAVキャビネットを購入。大きさも価格も手頃だわー、と気軽に申し込んだのですが、到着したのがうすっぺら〜いパッケージだったの見て愕然。ええーっ、一から自分で組み立てるのー?改めてカタログ見ましたが、どこにも“組み立て家具”の文字などなし。シテヤラレました。しかし、小さな引出しから1つ、また1つと出来あがる様子に、妙に愛着がわいてしまいました。とにもかくにも、AVラックのフリして2年を経たアイロン台には、ようやく本来の用途に専念していただけることとなったのです。お疲れさまー。



Kim's Cinematic Kitchen バックナンバー
1月号 2月号 3月号
4月号「春一番」 5月号「5月です」 6月号「少林サッカー」
7月号「髪を切る人」 8月号「夏が来た!」 9月号「シネコン大好き」
10月号「秋の夕日に・・・♪」 11月号「厨房にて」 12月号「冬もいよいよ」
2003年1月号
「羊といえば・・・」
2月号
「猟奇的な季節!?」
3月号
「ピアノのおけいこ」
4月号
「できれば僕をつかまえて」
5月号
「いつかあなたも六本人」
6月号
「雨の日に六月の蛇を見たか?」
7月号
「CANDYアイ・ラブ・ユー」
8月号
「8月の風に吹かれたい!」
9月号
「762平方キロメートルのギャラリー」
10月号
「秋の山形〜女囚たちの映画ざんまい」
11・12月号
「遅れ馳せながら秋の便り」
2004年1月号
「愛しかない それが世界を動かしている」
2月号
「走る馬を見たくて」
3月号
「犬が吠える村にて」
4月号
「象をさわってみたら」
5月号
「異邦人のススメ」
6月号
「湿度60の向こう側」
7月号
「関東の中心でロリータは叫ぶ」



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