KimsCinematicKitchen
テキスト&フォト&イラスト by キム・パプコ

第34回11月号  後悔しない!土曜の夜の過ごし方


 CM界にディスコ・ブームが吹き荒れる今、な、なんと『サタデーナイト・フィーバー』(‘77)が、パパイヤ鈴木の字幕監修、“デジタルリマスター版”で甦ったというのですから、これはもう無視できないわけですねー。回転扉が撤去されたヴァージンシネマズ六本木では、等身大のジョン・トラボルタがにこやかにお出迎えまでしてくれました。この映画、辛口批評家ロジャー・エバートも認め、今は亡き相棒のジーン・シスケルは生涯に17回(!)観たというくらいですから、あなどるなかれです。

 元々の印象としては、たとえば“住む世界が違う歳の差カップルのダンス映画”などと一言で片付ける程度でしたが、改めて観るとそう単純でもなかった。当時23才のトラボルタは、まだあどけなさの残る眼差し。ダンス・パートナーとして選んだお姉さま、ステファニーは、知的な大人の女性というはずでしたが、なぜか今観ると「マンハッタンに住むのよ〜」と都会へばかり憧れる、ええかっこしーのキャリアウーマンにすぎず、中年男の影がチラホラするわ、トニー(トラボルタ)との約束はすっぽかすわ、相手の迷惑顧みず引越し屋として利用するわで、包容力のかけらもないではないですかっ!と観ながら激怒してしまいました(笑)。大体、有名人と会うたびに誰かれなく自慢しまくるような女はイヤだわー。一方のトニーは、週末には仲間と集い踊りまくるのも、ただ青春を精一杯楽しんで後悔したくないだけ、という純粋さ。ごく庶民的な愛すべきイタリア系家族の中に育ちながらも、牧師を辞めた兄が帰ってきたり、周囲の人々の微妙な変化や葛藤を知るにつけ、自らの生き方も漠然と考え始めるようになるのです。意外と真面目な映画だったんだなあ。

 とはいえ、ダンスシーンはやっぱり凄い!トラボルタのソロはブレークダンスばりで、そのキレのよいステップがスクリーン狭しと披露されると、『パルプ・フィクション』以降の見事な復活ぶりと共に現在のお腹の出具合がフラッシュバックし、“お宝映像を拝ませていただく”という心境に。そして、今となっては’70年代ファッションなんて古臭くもなんともない!という事実にも、ちょっぴり感動した夜でした。

●Kim's近況●

引っ越して2年半。狭いながらも住み慣れてきた我が家に、ある夜ササ〜と動く物が。ヒエ〜、と思わず悲鳴をあげた目の端に見えたのは小さなヤモリ。階下の大家さんちは庭木が植わっているし、壁にヤモリが這っても不思議はないけど、部屋へお招きした覚えはないぞ!しかもかなり苦手な部類…。しばらくは、毎夜出会うたびに悲鳴をあげてたので、隣家の人はなにごとかと思ってたはず。よっぽど猫の蜜柑を派遣してもらおうか、あるいはレーコさんに素足でつかまえてもらおうか(違った?)と思ったけど、どうやら新聞紙のスキ間が好きみたいなので、部屋にあった新聞紙の束を恐る恐る何度かバルコニーに出したら、ようやくお会いしなくなりました。ほっ。こんな秋の夜長を感じた日々はなかったです。

●レーコより● ヤモリってちゃんと姿を見て触ったりしたのは東京に来てからです。実家はマンションの最上階だったので、せいぜいゴキブリぐらい(別に遊んでないけど)。東京のアパート暮しを始めてからの方が、虫でも鳥でもは虫類?でも、目にしたり鳴き声を聞いたりする機会が増えました。自然も今の近所の方が多いし、東京に来て自然暮らしに近付いたなんて、面白い。。。


Kim's Cinematic Kitchen バックナンバー
1月号 2月号 3月号
4月号「春一番」 5月号「5月です」 6月号「少林サッカー」
7月号「髪を切る人」 8月号「夏が来た!」 9月号「シネコン大好き」
10月号「秋の夕日に・・・♪」 11月号「厨房にて」 12月号「冬もいよいよ」
2003年1月号
「羊といえば・・・」
2月号
「猟奇的な季節!?」
3月号
「ピアノのおけいこ」
4月号
「できれば僕をつかまえて」
5月号
「いつかあなたも六本人」
6月号
「雨の日に六月の蛇を見たか?」
7月号
「CANDYアイ・ラブ・ユー」
8月号
「8月の風に吹かれたい!」
9月号
「762平方キロメートルのギャラリー」
10月号
「秋の山形〜女囚たちの映画ざんまい」
11・12月号
「遅れ馳せながら秋の便り」
2004年1月号
「愛しかない それが世界を動かしている」
2月号
「走る馬を見たくて」
3月号
「犬が吠える村にて」
4月号
「象をさわってみたら」
5月号
「異邦人のススメ」
6月号
「湿度60の向こう側」
7月号
「関東の中心でロリータは叫ぶ」
8月号
「1m39cmの目線から」
すでに10月号
「トロント国際映画祭に行ってみました」



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