第62

4月号


シネマ ファシスト 第62回 2007年4月号
『恋する日曜日 私。恋した』


 いわゆる難病物である。しかし他の同種の作品と異なるのは、愁嘆場がなく、主人公の女子高校生にとっては未だ愛も始まっていないことである。自分の余命が3ヶ月と診断され、好きな人の住む街へ。しかし相手はいとこでしかない女子高校生に対して何も感じないどころか、自ら不倫の真っ最中。したがって間もなく死ぬとか、好きだとか言い出せるはずもなく、しかし言い出せないことを前提とした出色のシーンが演出される。死を意識した女子高校生が、日常に埋没しているいとこ、その不倫相手の主婦、未来を担うその主婦の子供とともに、短い人生の最期の数日間を共有し、それぞれの人に感銘を与える。ラスト10分好かれていることを意識していないいとこに向けて、最初で最後の最高のパフォーマンスを披露する。17年間の思いの丈をたった1人の乗客であるいとこに向けてバスガイドとして語る。その時、ようやく女子高校生は初めて「私。恋した」。彼女は一生懸命気持ちの通じていない目の前のいとこに対して、気持ちを伝えた。しかし彼がたとえ受け取ったとしても、彼女は死んでゆかざるを得ない。その切なさに目が潤む。余命3ヶ月。好きな人にだけ、自分の存在しない未来を託して死んだ二宮なぎさ、享年17才。  

 6月9日(土)より新宿トーア他にて。

オフィシャルサイト:http://www.bs-i.co.jp/jbreak/koisuru/watakoi/

2007恋する日曜日 私。恋した 製作委員会

●市井義久の近況● その62 2007年4月 

 ひょんなことからリフレッツ草津というリゾートホテル?へ行くことになった。1泊2食付きで1人8,925円、もちろん価格で決めた。往復はバスを使えば5,600円、1泊2日14,525円で草津の湯である。あくまでもサラサラとサラサラとこぼれ落ちる玉の湯と喜久屋旅館、あるいはハダにまとわりつく観音温泉、それに対し草津はハダを刺しハダに痛く、鼻腔を刺激するリフレッツ草津。玉の湯、喜久屋旅館3万、観音温泉2万、リフレッツ草津1万。日本は人間が一様なのと比較し、その他は多様性に満ちている。草津までの道、3年後にはダムの底に沈む集落を通る、今時にである。草津では新潟でも東京でも見られなかった初雪を見た。積雪も10cm。

 どうせ8,925円と思っていたホテルが、これがまた素晴らしい、現代美術館のような建物、12部屋の静かな館内、窓からはつららの風景、家庭料理のような食事、そしてイオウのお風呂。この値段なのだからという価格ゆえに、あきらめてしまう要素が一つもない。

 不思議。


市井義久(映画宣伝プロデューサー)

1950年新潟県に生まれる。 1973年成蹊大学卒業、同年株式会社西友入社。 8年間店舗にて販売員として勤務。1981年株式会社シネセゾン出向。 『火まつり』製作宣伝。
キネカ大森番組担当「人魚伝説よ もう一度」「カムバックスーン泰」 などの企画実現。買付担当として『狂気の愛』『溝の中の月』など買付け。 宣伝担当として『バタアシ金魚』『ドグラ・マグラ』。
1989年西友映画事業部へ『橋のない川』製作事務。 『乳房』『クレープ』製作宣伝。「さっぽろ映像セミナー」企画運営。 真辺克彦と出会う。1995年西友退社。1996年「映画芸術」副編集長。 1997年株式会社メディアボックス宣伝担当『愛する』『ガラスの脳』他。

2000年有限会社ライスタウンカンパニー設立。同社代表。

●2001年 宣伝 パブリシティ作品

3月24日『火垂』
(配給:サンセントシネマワークス 興行:テアトル新宿)
6月16日『天国からきた男たち』
(配給:日活 興行:渋谷シネパレス 他)
7月7日『姉のいた夏、いない夏』
(配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:有楽町スバル座 他)
8月4日『風と共に去りぬ』
(配給:ヘラルド映画  興行:シネ・リーブル池袋)
11月3日『赤い橋の下のぬるい水』
(配給:日活 興行:渋谷東急3 他)
12月1日『クライム アンド パニッシュメント』
(配給:アミューズピクチャーズ 興行:シネ・リーブル池袋)


●2002年

1月26日『プリティ・プリンセス』
(配給:ブエナビスタ 興行:日比谷みゆき座 他)
5月25日『冷戦』
6月15日『重装警察』
(配給:グルーヴコーポレーション 興行:キネカ大森)
6月22日『es』 
(配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:シネセゾン渋谷)
7月6日『シックス・エンジェルズ』
8月10日『ゼビウス』
8月17日『ガイスターズ』
(配給:グルーヴコーポレーション 興行:テアトル池袋)
11月2日『国姓爺合戦』
(配給:日活 興行:シネ・リーブル池袋 他)

ヨコハマ映画祭審査員。日本映画プロフェッショナル大賞審査員。

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