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シネマ ファシスト 第66回 2007年8月号 『14歳』 現在の中学生、あるいはその親たちのことは全くわからないが、この映画は極めて映画的リアリティに満ちている。今の時代映画で中学生を描くとこのようになるよいうことを映画として納得させる。親も教師も生徒も酷薄な日常である。欲望が現象が歯止めが外れて、剥き出しで襲い掛かってくる。黒板に精神病と書かれる教師、ピアノの個人指導の時突然笑い出す男、好きと打ち明けたら、「お前は臭い」と言われる美少女。現実が社会が会社が否応なく中学校を侵食している。やがては社会が待ち受けているとは言え、14歳で、それらにさらされるのはあまりに過酷ではないか。この映画では描かれていないが、現実では性さえも中学生を侵食している。それが今日の映画的な有様である。親も含めた大人の日常と中学校あるいは中学生は無縁でなはいことをきちんと描いている。 唯一の救いは、私がこの映画を見に行った時、出演していた女子中学生4人が見に来ていて、2回見たけれどよくわからないと言っていたことである。現実で彼女らを取り巻く情況は映画とは少し異なるのだ、それが救いであった。 ちょうどその日1年半ぶりで電話をくれた知り合いの女性に「お子さんは今年おいくつですか」と聞いたら「14歳、卓球に夢中です」ということであった。 知り合いの31歳が自殺した。代用教員を長く勤め、今年の4月から中学校に正規採用されたその直後のことである。 『14歳』を見てから4ヶ月、この映画は今もはっきりと覚えている。 | ||
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●市井義久の近況● その66 2007年8月 友人の犬が死んだ。午前8時死去、死後9時間、ずいぶんと小さくなっていた。16歳、人間だとするともう80歳以上だそうである。犬は死後どこへ行くのだろう。犬は死後も犬なのだろうか。あと20年経ったら私も行くから待っていてくれと伝えたが、果たして判別できるだろうか。 友人は16年間ともに暮らしたそうである。もう少し生きていれば、私とは異なり平穏が訪れたのであろうが・・・。2年前満開の桜の青山墓地を一緒に散歩して以来、あまり一緒にいることもなく旅立ってしまった。 私は子供の頃飼っていた犬と猫が、どちらも悲惨な死を遂げたので、それ以来一切動物は飼わないと決めた。だから友人の犬、ポメラニアンが、私が唯一識別できる犬の種類である。だから犬のお通夜は初めてであった。目は開け舌も出していたが、立って歩くことのできないポメラニアンを、ただなで続けるだけであった。 | ||
市井義久(映画宣伝プロデューサー) 1950年新潟県に生まれる。 1973年成蹊大学卒業、同年株式会社西友入社。 8年間店舗にて販売員として勤務。1981年株式会社シネセゾン出向。 『火まつり』製作宣伝。 キネカ大森番組担当「人魚伝説よ もう一度」「カムバックスーン泰」 などの企画実現。買付担当として『狂気の愛』『溝の中の月』など買付け。 宣伝担当として『バタアシ金魚』『ドグラ・マグラ』。 1989年西友映画事業部へ『橋のない川』製作事務。 『乳房』『クレープ』製作宣伝。「さっぽろ映像セミナー」企画運営。 真辺克彦と出会う。1995年西友退社。1996年「映画芸術」副編集長。 1997年株式会社メディアボックス宣伝担当『愛する』『ガラスの脳』他。 2000年有限会社ライスタウンカンパニー設立。同社代表。 ●2001年 宣伝 パブリシティ作品 3月24日『火垂』 (配給:サンセントシネマワークス 興行:テアトル新宿) 6月16日『天国からきた男たち』 (配給:日活 興行:渋谷シネパレス 他) 7月7日『姉のいた夏、いない夏』 (配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:有楽町スバル座 他) 8月4日『風と共に去りぬ』 (配給:ヘラルド映画 興行:シネ・リーブル池袋) 11月3日『赤い橋の下のぬるい水』 (配給:日活 興行:渋谷東急3 他) 12月1日『クライム アンド パニッシュメント』 (配給:アミューズピクチャーズ 興行:シネ・リーブル池袋) ●2002年 1月26日『プリティ・プリンセス』 (配給:ブエナビスタ 興行:日比谷みゆき座 他) 5月25日『冷戦』 6月15日『重装警察』 (配給:グルーヴコーポレーション 興行:キネカ大森) 6月22日『es』 (配給:ギャガコミュニケーションズ 興行:シネセゾン渋谷) 7月6日『シックス・エンジェルズ』 8月10日『ゼビウス』 8月17日『ガイスターズ』 (配給:グルーヴコーポレーション 興行:テアトル池袋) 11月2日『国姓爺合戦』 (配給:日活 興行:シネ・リーブル池袋 他) ヨコハマ映画祭審査員。日本映画プロフェッショナル大賞審査員。 |
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