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談話室 / Conversation Room

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[3563] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 23 20:54:54 2017

今週末、土曜は久々に劇場へ。この公演を観てきました。

ヨルグ・ミュレール 『モビール』
座・高円寺 1
2017/07/22, 13:00-13:20.
Avec: Jörg Müller
Conception, Écriture, Création musicale, Mise en scène, création d’objet: Jörg Müller. Création lumière: Jérémie Cusenier
Création: 1994.

Jörg Müller はドイツ・バイエルン出身ながらフランスを拠点に活動するジャグリングを得意技とするサーカス・パフォーマー。 Mobile は1994年 CNAC (Centre national des arts du cirque) の卒業制作として作ったソロの作品。 円形の舞台の中央に、5本の金属パイプがそれぞれ天井から長く黒い紐で高さ1mほどの所に吊り下げられている。 この吊り下げられた5本のパイプを使ったジャグリングだ。 音楽は一切使わず、金属パイプも彩色などさえれず銀色の金属の質感がむき出しのもの。 シンプルな白い照明でパイプを浮き上がらせるだけ。 はじめは無音で、パイプの間をすり抜けつつ、パイプを揺り回していく。 もちろん、金属パイプ同士がぶつかったり、紐が絡んだりすることはなく、動きは滑らかに。 はじめのうちは小さく、しかし、やがて大きく、観客の頭上まで振り上げていく。 頭上を金属パイプが飛び交うよう。 やがて、人差指に付けた硬質のキャップを使ってパイプを打ち鳴らしたり、息でパイプを吹き鳴らしつつ、ジャグリング。 異なる長さの5本のパイプはチューニングされており、パイプの響きも美しかった。 ミニマルで静謐、そんな中にダイナミックな迫力も感じられる、美しいパフォーマンスだった。

この公演は、座・高円寺の夏の子供向けプログラム『世界をみよう!』の一つだったのだが、 同じプログラムの公演を続けて見た。

シアター・ノーアクラフト 『フォークがおどる』
座・高円寺 阿波おどりホール
2017/07/22, 15:00-15:40.
Producent/produced by: Teater Nordkraft, Claus Carlsen, Lisa Becker, Cathrine Sombsthay (Compagnie Mediane)
Medvirkende/on stage: Claus Carlsen, Lisa Becker
Instruktør/director: Cathrine sombsthay

デンマークの劇団による、子供向けの作品の公演。 セリフは一切使わず、セミアコスティックギターやソプラノサックス、ひょうたん笛を演奏しつつ、 フォークやペットボトルの立てる物音やシンプルな光と影を楽しむような作品。 ファンシーなビジュアルを用いることもなければ、おどけた仕草をすることも無い、シンプルな演出だったが、 可愛らしさを感じる雰囲気のパフォーマンスだった。

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現代サーカスの公演に注意が行きがちなけですが、 今週末、ボリショイサーカスの東京公演があったことに、いまさらながら気づきました。 毎年のように来日していますが、今年は、 『ロシアの季節 日本2017』 のプログラムということもあるのか、例年より評判良さげ。 しばらく東京近郊でやっているようですが、どうしようかなぁ……。

[3562] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Jul 17 22:22:36 2017

梅雨明け宣言の無いまま、外出する気力を削がれるような暑さが続いています。 そんなわけで、日曜の昼は家でのんびり、このストリーミング・ビデオを観ました。

Cirque Phénix, Paris
ART Concert, Dernière actualisation 16.03.2017
Filmé le 28.01.2017 - (130 minutes)
Akorearco [France], AcroArno - Arnaud Caizergues [France] (cerceau aérien et sangles), Baltic Seamen [Suède] (mât chinois), Masha Terentieva [Canada] (acrobaties aériennes), Troupe Acrobatique de Zhejiang [China] (icariens et équilibres de tête), Incredible Mallakhamb [Inde] (mallakhamb), Chih-Han Chao [Taiwan] (diabolo), Compania Havana [Cuba] (cadre volant), Alejandro Escobedo [Chili] (jonglerie), Marco Motta [Brésil et Espagne] (contorsion sur sangles), Kerol [Espagne] (jonglerie et beatbox), DanyzoO [Espagne] (equilibre et danse), Cirque "La Compagnie" [France et Suisse] (mât chinois et planche coréenne).

フランスのパリで開催されているアニュアルの国際的なサーカスの競技会 (コンペティション) Festival Mondial du Cirque de Demain『大道芸ワールドカップ in 静岡』のワールドカップ部門に招聘されるパフォーマーが出演していることが多く、その名は知っていましたが、断片的な動画でしか見たことがありませんでした。 しかし、今年1月に開催された第38回は、仏独共同出資の公共放送 ARTE の 音楽や演劇・ダンスのヴィデオ・ストリーミング・サイト ARTE Concert でストリーミングされました。 ストリーミング公開されていました。 そのビデオをやっと観ることができました。

ある程度予想していましたが、 派手な音楽で注意を引きつつ高度な技を見せつけるようなパフォーマンスが中心。 作品として一つの世界を作り出しているというより、 サーカスやキャバレーのショーの1プログラムに組み込まれることを前提としている構成が多いです。 といっても、現代サーカスの影響でしょうか、短い時間ながら一つの世界を作り出し道具や技にアイデアを感じるものもありました。

もっとも気に入ったのは、ロシア出身でカナダで活動する Masha TerentievaAerial Hotel Cart。 ホテルにあるバゲージ用のカートを使って器械体操というかコントーション・アクロバットのようなパフォーマンスを見せたかとおもいきや、カートを釣り上げてのエアリアルに。 シンプルなリングとは異なるカートの形を生かした動き、 そして、最後はドアボーイに戻ってカートを押して去っていくという演出が気に入りました。 音楽は Jacques Brel 晩年の曲 “Les Marquises” 「マルキーズ諸島」。 派手ではなく落ち着いた少々ミステリアスな雰囲気が良いです。

フランス/スイス混成のサーカス・カンパニー Cirque La CompagniePlanche/Mât は、 男性4人による、シーソー (コリアン・プレート) とチャイニーズ・ポールを組み合わせてのパフォーマンス。 シーソーでのダイナミックに走り回り飛び上がる動きと、 チャイニーズ・ポールでのスタティックながら力強い動きという、異質な2つの動きを巧みに組み合わせていました。 Noir Desir “Le Grand Incendie” のノイジーな alt-rock なビートに乗って力強く技を見るパフォーマンスですが、 音楽無しで始まり、最後も一人外れたまま終わってしまうなど、単に派手に見せるだけではない演出も気に入りました。

オープニング (ouverture) は、コンペティション参加ではなく招待による フランスのカンパニー Akoreacro によるパフォーマンス。 Kraxon からの抜粋だったようで、少々断片的に感じられましたが、 音楽は生演奏ですし、エアリアル、アクロバットなどの技の組み合わせ方にアイデアが感じられました。 一つの現代サーカスの作品として見たかったものです。

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1月のライブ・ストリーミング時には気付いていたのですが、年度末やら引越しやらでまとまった時間が取れず、結局今まで観ていませんでした。 土曜は盆墓参などで出歩いていたこともあり、日曜は家でゆっくり。そんなとき、ふと思い出したのでした。 こうも暑いときは、無理に美術館・ギャラリー巡りなどせずに、家でゆっくりこういうビデオを観て過ごすというのも、悪くないですね。

ちなみに、Festival Mondial du Cirque de Demain のストリーミングに気づいたのは Prix de Lausanne のストリーミングのおかげですが、 久々に ARTE Concert の Arts de la Scene をチェックしたら、 "Fractus V" de Sidi Larbi Cherkaoui à la Maison de la danse de Lyon"FLA.CO.MEN" d'Israel Galván à la Biennale de la Danse de Lyon が上がっていることに気付きました。 これも観たいものです。

現代サーカスといえば、来週末は座・高円寺で Jörg Müller: Mobile [公演情報]、 再来週末は東京芸術劇場で Martin Zimmerman: Hello の公演があります [公演情報]。 イベント・シネマは観てますが生の舞台も2ヶ月余りご無沙汰ですし、どちらも観るのが楽しみです。 夏休み中は子供向け公演として現代サーカスの公演があちこちで観られるものなのですが、 今年は現代サーカスの公演が少なめのように感じます。うーむ。

それにしても、まだまだ慣れ無い遠距離通勤疲れに、夏バテもあって、ぐったりです。 公演を観に行く予定のある来週末再来週末には、暑さが和らいでくれていたらいいのですが……。

[3561] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 9 21:34:54 2017

今週末は猛暑に近い真夏日。 歩き回る気にもなれない暑さに、土曜は映画館に篭ろうと決めて、昼には恵比寿へ。 このイベント・シネマを観てきました。

上映: 東京都写真美術館ホール, 2017-07-09.
Teatro Real de Madrid
Inspirado en la obra de Prosper Merimée.
Argumento, coreografía y dirección Antonio Gades y Carlos Saura. Escenografía Antonio Saura.
Música: Antonio Gades, Antonio Solera, Ricardo Freire. Música grabada: Georges Bizet “Carmen”, M. Penella “El gato Montes” y José Ortega Heredia/Federico Garcia Lorca “Verde que te quiero verde”, Orchestra della Suisse Romande dirigida por Thomas Schippers, con Regina Resnik, Mario del Monaco, Tom Krause.
Solistas: Vanesa Vento (Carmen), Ángel Gil (Don José), Jairo Rodríguez (Torero), Joaquín Mulero (Marido)
Grabado en vivo en el Teatro Real de Madrid el 6 de mayo de 2011.
Estreno absoluto en el Théâtre de Paris el 17 de mayo de 1983
Teatro Real de Madrid
Ballet en seis escenas inspirado en la obra “Bodas de sangre” de Federico García Lorca.
Coreografía e iluminación: Antonio Gades. Adaptación para ballet Alfredo Mañas. Espacio escénico y vestuario Francisco Nieva.
Música: Emilio De Diego, ¡Ay, Mi Sombrero!, Ramon Perelló y Renato Monreal, Rumba Felipe Campuzano
Cristina Carnero (La novia), Ángel Gil (Leonardo), Vanesa Vento (La madre), Joaquín Mulero (El novio), Maite Chico (La mujer), etc.
Grabado en vivo en el Teatro Real de Madrid el 9 de mayo de 2011.
Estreno absoluto en el Teatro Olímpico de Roma el 2 de abril de 1974.
Teatro Real de Madrid
Coreografía: Antonio Gades. Coreografía Soleá por Bulerías y Tanguillos: Cristina Hoyos Diseño de luces: Antonio Gades
Música: Antonio Gades, Antonio Solera y Ricardo Freire
Solistas: Stella Arauzo, Miguel Lara.
Grabado en vivo en el Teatro Real de Madrid el 9 de mayo de 2011.

フラメンコなどスペイン舞踊の舞踊団 Compañía Antonio Gades が 創設者 Gades 生誕75年を記念して行った Teatro Real de Madrid (マドリード王立劇場)での2011年5月の公演が、 『アントニオ・ガデス舞踊団inシネマ』と題して東京都写真美術館ホールで上映されています。 フラメンコには疎く、去年の同演目での日本公演は観ていません。 フラメンコを基調とした民族舞踊団の作品を知る良い機会かと、観てきました。

Carmen は Antonio Gades が映画監督 Antonio Saura と1983年に制作した映画を舞台作品化したものです。 映画は Bizet のオペラで有名な物語に基づく作品を上演する舞踊団の物語という形式を取っているようですが、 舞台作品ではそのメタフィクションの構造を利用しているわけではありません。 ナラティブに物語を丁寧に表現するような場面はほとんど無く、 Carmen の物語の枠組みを利用しての、約1時間半のフラメンコ・ショーでした。 ソロ、デュオ、群舞などフラメンコがドラマチックに繰り広げられました。

Bodas de sangre は Gades が1974年に自身のカンパニーを設立して最初の作品です。 フラメンコのイデオムもかなり使われていますが、まるでフラメンコ・ショーかのような CarmenSuite Flamenca とは違い、 ミニマルな演出にマイム的な演技の多用もあって、 抽象的な動きやダンスで象徴的に物語るフラメンコ色濃いダンスシアターを観るよう。 今回観た3作品の中で最も楽しめました。 Carmen に先立つ1981年に Antonio Saura によって映画化されたそうですが、 そちらではやはりメタフィクションの形式を取っているようです。

Suite FlamencoBodas de sangre と合わせて上演される演目。 Carmen のような物語の枠組みはなく、生演奏のギターと歌に合わせ、ソロに群舞にデュオと、様々な形式のフラメンコが次々と繰り広げられました。 特に群舞には華やかさも感じられました。

フラメンコは Ketama や Pata Negra などの1980年代以降の伝統的ではない演奏でのレコード/CDを数枚持っている程度ですが、舞踊団の踊り付きで大きな音で聴くと、パーカッシヴな響きが印象的。 拍手やタップのように足を踏み鳴らす音の重要性に気づかされました。 早い8分の6拍子のポリリズム感も堪能しました。 そのキレのいい速く細かい足捌きやスピンは確かに素晴らしいのですし、 フラメンコでは脚を大きく振り上げたり、ジャンプしたり、リフトしたりすることは無いので 空間的に広がりを感じる動きがあまり無い点が、無いものねだりではありますが、物足りないところでしょうか。 Bodas de sangre が楽しめたのは、フラメンコだけでなくそういう動きも取り入れていたからかもしれません。

バレエ、オペラに演劇とイベント・シネマを楽しんできているわけですが、それ以外の作品にも少しは手を広げていきたいな、と。 といっても、今回は、オペラ・バレエ劇場でのフラメンコとはいえバレエに近い公演なので、大ハズレすることはないだろうというのもありましたが。 バレエ以外のダンス作品のイベント・シネマがもっと広がって欲しいものです。

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しかし、イベント・シネマは当日に思い立っても気楽に観に行けて、いいなあ、とつくづく。 映画よりは高いですが、公演のチケットに比べれば格段に安く、 普段自分がよく観ているものからちょっと外れているものでも、試しに観てみようという気になれます。 今週末も、Dreams on Ice (フィギュアスケート) とか English National Ballet (バレエ) とかもあったようですが、 チケット争奪戦を考えただけで腰が引けてしまいます。

といっても、生の舞台は2ヶ月近くご無沙汰で、そろそろ観たいなあと。 7月の後半の Jörg Müller、Teater Nordkraft、Martin Zimmerman を楽しみにしてます。

[3560] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 2 20:29:36 2017

ここに書くのも約1ヶ月ぶりです。今週末の土曜は、この展覧会を観てきました。

Dayanita Singh: Museum Bhavan
東京都写真美術館 2階展示室
2017/05/20-2017/07/17 (月休;7/17開) 10:00-18:00 (木金-20:00)

インド出身で欧米でフォトジャーナリストとして活動し、2000年前後から現代美術の文脈で活動するうになった写真家/現代美術作家の展覧会。 収納部や自立のためのテーブル部も含む折り畳み式パネル状の大形木製の移動式美術館 “Museum Bhavan” の作品を中心に、 フォトジャーナリストから美術作家への転換となった1990年代の作品からほぼ最新の2016年作までを辿る展覧会でした。 インドにおける女性のセクシャルマイノリティの社会的な立場を主題とした初期の作品には、 ストレートにフォトジャーナリストに徹した方が良かったのではないかとも思いつつ、 フォーマルになっていくにつれて良くなっていくよう。 特に、最新の “Museum Bhavan” である Museum of Shedding の静物や人気の無い建築をモノクロで捉えた写真の並びか、 其々異なる様子でまだらに色あせた布の包みが並んだ Time Measures は、 フォーマルな端正さも感じられました。

TOP Collection: Scrolling Through Heisei | Part 1. In the Here and Now
東京都写真美術館 3階展示室
2017/05/13-2017/07/09 (月休) 10:00-18:00 (木金-20:00)

今年度3期に渡って開催される平成年代の作品からなるコレクション展の第1期。 日常を捉えたような作品といっても、私的で物語を感じさせる作風から、もっと即物的で形式的なものまで。やはり、後者の方が好みでしょうか。 松江 泰治 のパンフォーカス空撮カラー写真シリーズ [レビュー] を観て、 やっぱりこういう写真が最も好みだと再確認。 また、日用品を静物画のように、しかし静物画のような陰影の無い影の少ないフラットな照明で、パンフォーカスで撮った 安村 崇 『日常らしさ』シリーズ、特に、「ホッチキス」 (1998) のアクリル画のようなノッペリした色・質感が面白かった。 パンフォーカスで絵画のように撮るというと風景写真が多いわけですが、こういう写真もありだな、と。

[このレビューのパーマリンク]

6月は11日から18日まで海外出張。というわけで、その前後の週末は談話室向けの話題を仕込むことができず。 先週末は土曜に軽く銀座のギャラリー巡りなどしたのですが、どれもイマイチだったり、ということで、ネタが無く。 そんな感じで間が空いてしまったのでした。まあ、そんな時もあるということで。 今週末観た展覧会もアタリという程でもなかったのですが、少しは書くリハビリしておこうか、と。

土曜は昼、写真美術館へ行く前に、中目黒 楽屋でフィンランドの jazz/improv 文脈で活動する drums - electronics のデュオ Olavi Louhivouri - Teemu Korpipää のライブを観ました。 Olavi Louhivouri の参加したアルバムは何枚か聴いているので、それなりに期待していたのですが。 繊細な音が無いわけではないのですが、テクスチャ感が違うというか、electronica 以前のセンスのようにも感じられて、いまいち入り込めませんでした。ふうむ。

[3559] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 4 23:24:15 2017

土曜の晩は、横浜から六本木へ移動。このイベント・シネマを観てきました。

Royal Opera House, 11 April 2017.
Choreography: George Balanchine.
Set Designers: Jean-Marc Puissant; Costume designer: Karinska.
Pavel Sorokin (conductor), Orchestra of the Royal Opera House.
April 13, 1967, New York City Ballet, New York State Theater
上映: TOHOシネマズ六本木, 2017-06-03.
Emeralds.
Music: Pelléas et Mélisande (1898) and Shylock (1889) by Gabriel Urbain Fauré.
Dancners: Beatriz Stix-Brunell, Valeri Hristov, Laura Morera, Ryoichi Hirano, Emma Maguire, Helen Crawford, James Hay, and artists of the Royal Ballet.
Rubies
Music: Capriccio for Piano and Orchestra (1929) by Igor Stravinsky.
Dancners: Sarah Lamb, Steven McRae, Melissa Hamilton, and artists of the Royal Ballet.
Piano: Robert Clark
Diamonds
Music: Symphony No. 3 in D major, Op. 29 (1875) in D major by Peter Ilyitch Tschaikovsky.
Dancners: Marianela Nuñez, Thiago Soares, Claire Calvert, Tierney Heap, Yasmine Naghdi, Beatriz Stix-Brunell, Nicol Edmonds, James Hay, Fernando Montaño, Valentino Zucchetti, and artists of the Royal Ballet.

初演から50周年を記念して再演された George Balanchine の作品が Royal Opera House Cinema Season 2016/17 で上映されたので、観てきました。 振付の型こそ伝統的なものに基づいていますが、物語無く音楽そのものを表現するかのように踊る抽象バレエ (abstract ballet) の作品です。 第1部 Emeralds は19世紀前半フランスのロマンチック・バレエ (音楽は Fauré なので時代は違いますが)、 第2部 Ruby は戦間期アメリカ ジャズ・エイジを、 第3部 Diamonds は19世紀末帝政ロシアの古典バレエと、 3つの異なるスタイルを合わせた作品です。

やはり、最も楽しめたのは、第2部の Rubies。 パーカッシヴな piano をフィーチャーした複雑なリズムの Stravinsky の音楽も良いのですが、 そんな音楽に合わせてシャープに踊る Steven McRae と Sarah Lamb が、実にかっこいい。 この2人の高い身体能力が堪能できました。 それに比べて、EmeraldsDiamonds は少々退屈するときがありましたが、 こうして並べて観ることにより、コスチュームも含めて、ロマンチック・バレエと古典バレエの違いがが際立って見えたように思います。 特に目に付いたのは、ロマンチック・バレエではチュチュではなく膝下丈のシフォンのスカートで、 群舞もきっちりフォーメンションで見せる古典バレエより緩いということでした。 全3部を前菜、メイン、デザートという比喩は言い得て妙とも思いましたが、 Diamonds はデザートにはちょっとゴージャスで重過ぎとも思ってしまいました。

初演から50周年ということで意識したのですが、この作品の初演は1967年。 カウンターカルチャー最盛期で、ロックの名盤が多く生まれた年です。 初演されたニューヨークでは The Velvet Underground が 1stアルバム The Velvet Underground & Nico をリリースした年。 そんなことを思うと、当時のハイカルチャーとカウンターカルチャーのギャップにも感慨深いものがありました。

あまりバレエに詳しくないので、なんとなく Balanchine/Millepied [レビュー] の Balanchine の方と思っていましたが、似て非なる作品でした。 イベント・シネマの中では作品を着想したというニューヨーク五番街の宝石店を紹介していましたが、 Le Palais de Cristal (1947) でも同じような色使いをしていたので、そのエピソードはある種の「伝説」なのでしょう。

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6月は仕事の予定が被る可能性があったので、予定を入れていませんでした。 まあ、新居の整理にでも当てればいいかと思っていたのですが、家にいてもダラダラと過ごしてしまうばかり。 ということで、思い立って出かけることにしました。

この週末は、新国立劇場でカンパニー デラシネラ 『ふしぎの国のアリス』とか 彩の国さいたま芸術劇場で Noism1 ダブルビル公演 とか気になる公演も無いわけじゃなかったのですが、 当日券が厳しそうな人気の公演ということで、諦めてしまいました。 (まあ、チケット争奪戦の激しさは、上野の東京文化会館の Bolshoi Ballet [Балетная труппа Большого театра] と比べたら遥かに甘いですが。) イベント・シネマは、特に上映開始時刻が夕方だと、当日に思い立ってふらりと観に行かれます。 この気楽さ敷居の低さが良いなあ、と、つくづく実感したこの週末でした。

[3558] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 4 21:46:16 2017

土曜は特に予定を入れていなかったのですが、夕方にふと思い立って横浜みなとみらいへ。 この展覧会を観てきました。

The Elegant Other Cross-cultural Encounters in Fashion and Art
横浜美術館
2017/04/15-2017/06/25 (木休;5/4開), 10:00-18:00 (5/17 -20:30).

幕末期の開国をきっかけに活発化した日本と欧米の文化交流を、主にファッションやデザインの面から、 日本における洋装の受容と欧米におけるジャポニズムに焦点を当てて描いた展覧会です。 扱う時代は1950年代から1920s-30s戦間期の Art Deco まで。 『ファッション史の愉しみ−石山彰ブック・コレクションより』 (世田谷美術館, 2016) [レビュー] や 『こどもとファッション ––小さい人たちへの眼差し––』 (東京都庭園美術館, 2016) [レビュー] など、 ここ1年余り、似たようなテーマの展覧会が続いていて、東西交流という視点があるものの新鮮さには欠けましたが、 直前に観た『19世紀パリ時間旅行 -失われた街を求めて-』と被るところもあって、興味深く観ることができました。

展覧会の年表は1850年代から始まり、西洋の事項の最初は、 1857年に Charles Frederick Worth がパリを店を構えてオートクチュール (haute couture) の基礎を築く、というもの。 1853年にパリ改造が始まるので、その後のこととなります。 ちなみに、Worth が Chambre syndicale de la confection et de la couture pour dames et fillettes を設立するのが、 パリ改造が終わる、というか、普仏戦争直前の1868年。 というわけで、パリ改造とオートクチュールの制度の成立は同時代の出来事です。 都市が近代化され、ファッションのあり方が近代化されたのでしょう。 ちなみに、日本の事項の最初は1853年の黒船来航。 黒船来航から明治維新という幕末期は、パリ改造 (というか、フランス第二帝政) と同時代となることにも、気付かされました。

幕末期への目配りはありましたが、資料展示があったのは、実質的に明治維新というか文明開化期以降のもので、 欧米のジャポニズムのドレスも、クリノリンのドレスは1点のみで、バッスル以降のドレス。 装飾品等のデザインも Art Nouveau から Art Deco にかけて。 ジャポニズムが本格化したのも、パリ改造後の第三共和制下のフランス (もしくは南北戦争後のアメリカ) という時代の出来事だったのだなあ、と。

自分の興味関心という点では、やはり戦間期のものの方に惹かれると思いつつ、 『19世紀パリ時間旅行 -失われた街を求めて-』と『ファッションとアート 麗しき東西交流 展』を続けて観て、 19世紀の特に後半の欧米に関して、日本との関係を含めて、今までより具体的なイメージを持てるようになったことが収穫でした。

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[3557] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 4 21:42:18 2017

金曜は朝から人間ドツク。検査項目多めのメニューで臨んだのですが、夕方前には終わったので、 会期末が迫って諦めかけていたこの展覧会を観てきました。

Le Voyage dans le Temps du XIXe sièle - A la recherche des rues perdues
練馬区立美術館
2017/04/16-2017/06/04 (月休), 10:00-18:00.

鹿島 茂 『失われたパリの復元: バルザックの時代の街を歩く』 (新潮社) という大型本が出たことを、 ふとしたきっかけで知ったのですが、買っても持て余しそうと思っていたところ、 この展覧会が開催中と知って、足を運んでみました。 19世紀に発行された近世以前のパリの変遷を描いた2つの古地図の載った本 (『パリの物事的、生活的、精神的歴史』 (Jacques-Antoine Dulaure, Histoire physique, civile et morale de Paris depuis les premiers temps historiques jusqu'à nos jours, c.1830) と 『パリ、時代時代』 (Theodor Josef Hubert Hoffbauer (Illust.): Paris à travers les âges, c.1880)) と、 第二帝政 (1852-1870) 時代、Georges-Eugène Haussmann 知事によるパリ改造 (1953-1970) の最中に出版された それ以前のパリの様子をエッチングで描いた『いにしえのパリ』 (Adolphe Martial Potémont: Ancien Paris, 1962-67) という鹿島 茂 コレクションの3冊を軸に、 当時のタブロー、絵画、風刺画、ファッション、ポスターなど関連資料で、19世紀のパリの様子を浮かび上がらせる展覧会です。

Haussmann によるパリ改造は知っていたものの、19世紀にさほど詳しいわけでなく、 フランス革命以降、第一次世界大戦以前の近代として大雑把にしか理解していなかったので、 この展覧会でパリ改造のインパクトの大きさを実感できました。 フランスのロマンチック・バレエが踊られていた、バッスル以前のロマンチックなドレスが流行していたパリは改造前で、 Impressionism の画家が描いた、もしくは、Art Nouveau の華やかなポスターからイメージされる Belle Époque 期のパリとはかなり違う街だったんだなあ、 などと思いつつ、興味深く観ることができました。

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[3556] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 4 20:57:54 2017

先週末土曜の午後、上野で野外展を観た後は、銀座へ。この展覧会を観てきました。

『ロマン・チェシレヴィッチ 鏡像への狂気』
Roman Cieślewicz: Melting Mirage
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
2017/05/15-2017/06/24 (日祝休), 11:00-19:30.

戦後20世紀後半、共産政権下のポーランド、そしてフランスで活動したポスター作家 Roman Cieślewicz の回顧展。 中央を消失させた左右対象のフォトモンタージュなど、シュールというか魔術的リアリズム的なフォトモンタージュを駆使した、デザインを堪能できました。 このような不気味さ、シュールさはチェコでも見られるもので、共産政権下の東欧らしいなあ、と。 演劇や映画のポスターが多いのも東欧らしいのですが、そんな中、 Paris-Berlin 1900-1933 (1978)、 Paris-Moscou 1900-1930 (1979)、 そして、Paris-Paris 1937-1957 (1981) という一連の展覧会のポスターがあって、 これも Cieślewicz によるものだったのかと気付くことができた展覧会でした。

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銀座に行ったのは、むしろ、会期末になってしまった 資生堂ギャラリーの 『椿会展2017 –初心—』 だったのですが。 畠山 直哉 や 内藤 礼 が参加していましたし。だがしかし……。 ま、Cieślewicz 展が良くてよかった……。 こちらも5月中かと思ってたのですが、6月までやってるんですね。

[3555] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 4 19:57:44 2017

先週末の土曜は初夏の散策日和。 空調更新の手配など実家対応で終わらせてしまうのももったいなかったので、 その後、上野公園へ。この野外展を観てきました。

T3 Photo Festival Tokyo
上野公園 / 上野桜木あたり / 市田邸
2017/05/19-2017/05/28 (5/22休) 10:00-18:00
宇佐美 雅浩, Salvador Vitale, 米田 知子, Maija Tammi, 鈴木 理策, Taiyo Onorato & Nico Krebs, 山本 渉, 武田 慎平, Eva Stenram, Bénédicte Vanderreydt, etc

上野公園から上野桜木にかけて野外展示の写真展。 野外展示のアートフェスは一般的になっているが、 光や水に弱い素材を使うことが多い写真作品をメインに据えたものは多くなく、 この展覧会も「東京初の野外型国際フォトフェスティバル」と謳っていた。 鈴木 理策 [レビュー] や 米田 知子 [レビュー] も参加しており、どういう展示になっているのかという興味もあって、観てきた。 初夏の爽やかな天気に恵まれて、散策のいいネタとして楽しむことができました。

鈴木 理策 は『水鏡』 [レビュー] を 噴水池の水面下に展示するというもの。 本来無い水面が現れるようとも思いつつ、 写真作品での繊細な質感が失われ、『水鏡』のようにして撮影した写真でなくても良かったのではないかと、思ってしまいました。

他に印象に残ったのは、 高電圧・高周波によるコロナ放電を撮るキルリアン写真 (Kirlian photography) で撮った 楠の葉の写真を、東京都美術館脇の楠の林に展示した 山本 渉 『光の葉』。 さりげなさと、木々の合間を縫って歩きながら、木漏れ日の中で写真をみ観るという体験が気持ち良かった。

Eva Stenram の Drape (2011-) は、 ポーズを撮る女性の手足をカーテン越しに撮った作品。 これをのれんにプリントした上、 古民家をリノベーションしてカフェ、雑貨屋やイベントスペースを集めた複合施設 上野桜木あたりの店先などに下げていた。 少々思わせぶりな構図に引かれたが、観光客も多く落ち着いて観られなかったのは残念だった。

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上野桜木まで行ったので、ついでに SCAI The Bathhouse大庭 大介 個展。 偏光パールやホログラム顔料を練り込んだアクリル顔料を大きなパネルに分厚く塗って、 刷毛目を強調したというより、箆の目で幾何学的なパターンを描いた作品。 メタリックに銀色に光るテクスチャと質感を楽しむことができた。

[3554] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 28 23:43:53 2017

木曜は1日都心方面で仕事だったので、仕事帰りに初台へ。毎年恒例のこのコンサートを聴いてきました。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル, 初台
2017/05/25, 19:00-21:30
Heinz Holliger: Scardanelli-Zyklus für Solo-Flöte, kleines Orchester, Tonband und gemischten Chor (1975-1991).
Heinz Holliger (conductor), Felix Renggli (flute), Latvijas Radio Koris [Latvian Radio Choir], Kaspars Putniņš (chorus master), Ensemble NOMAD.

現代音楽 (contemporary classical) の作曲コンペに合わせて開催されるコンサート『コンポージアム』。 今年の審査員は Heinz Holliger。 ECM New Series からリリースがあるので全く馴染みが無かったわけではないものの、 Scardanelli-Zyklus は未聴。 Friedrich Hölderlin の詩に基づく Die Jahrszeiten (1975-1978-1979) の12曲、 Übungen zu Scardanelli (1978-1991) の11曲、 flute ソロの曲 (t)air(e) (1980-1983) の 全24曲を再編したツィクルスです。 (ちなみに、Scardanelli は Hölderlin の筆名の一つ。) CDで聴くよりも集中できるだろうと足を運びましたが、 休憩なしで約2時間半、ここ最近の『コンポージアム』中でも最もハードモードなコンサートでした。

全3部構成の第1部は取り付くしまも無く、仕方なくパンフレットに載った歌詞を読みながら聴くようしたところ、 第1部最後の “Der Winter (III)” 「冬(III)」あたりから合唱が耳に入ってくるようになりました。 それ以降、第2部では合唱が楽しめるようになりました。 特に静かに響き続けるような合唱が良く、“Eisblumen” 「氷の花」など美しく感じる程でした。 このまま最後まで行けるかなと思いきや、第3部で再び捉えどころ無くなってしまいました。 作品全体として微妙な音使いが多いわけですが、 特に第3部では解説読みながら聴いていて、聴こえていないのではないかと思われる音が目立ちました。 例えば、“Ad Miarginem” 「余白に」で使われたテープ音源の低音部や、 “Der Herbst (I)” 「秋(I)」や “Der Winter (II)” 「冬(II)」の合唱での倍音成分など。 ほとんど最後尾という席だったので、音が届かなかったのかもしれません。

『コンポージアム』のコンサートは、 flute / saxophone 200人のオーケストラを使った Salvatore Sciarrino (2011) [鑑賞メモ] や percusshon 奏者のパフォーマンスも楽しかった Peter Eötvös (2014) [鑑賞メモ] など、 良くも悪くも色物っぽいとっつきやすさのあるものが多いわけですが、 たまにはこういうハードモードなのもいいかなと思うくらいには興味深く聴くことができたコンサートでした。

[このレビューのパーマリンク]

2月の 爆クラ!presents とかGWのボンクリ・フェスとか、続けて観た後に、 『コンポージアム』のこういうコンサートを観ると、こちらは妥協無いなあ、と、つくづく。 とっつきやすいように構成演出された現代音楽のコンサートのニーズもあるんでしょうが、 そこまでしなくても、『コンポージアム』のようなコンサートでも普通に楽しめるんではないかと。 自分のような現代音楽の熱心な聴き手では全く無い人でも、毎年の楽しみになってますし。

[3553] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 28 20:48:35 2017

先の週末日曜の晩は、両国から新宿二丁目へ移動。このライヴを観てきました。

Building Instrument & Erlend Apneseth Trio
新宿 Pit Inn
2017/05/21, 20:00-22:20.
Erlend Apneseth Trio: Erlend Apneseth (Hardanger fiddle), Stephan Meidell (acoustic guitar), Øyvind Hegg-Lunde (drums, percussion)
Building Instrument: Mari Kvien Brunvoll (vocals, sampler, zither, percussion), Øyvind Hegg-Lunde (drums, percussion), Åsmund Weltzien (synthesizer, electronics, melodica)

Hubro からリリースのある ノルウェーの jazz/improv に近い文脈で活動する2つのグループのライヴを観てききた。 ちなみに、2グループ共通のメンバー、drums の Øyvind Hegg-Lunde は、 去年、Susanne Abbeuhl のバックで来日している [レビュー]。 途中、セット交換の休憩を挟んで、前半 Erlend Apneseth Trio、後半 Building Instrument、それぞれアンコール込みで約1時間。 folk 的だったり pop 的な面を持ちつつも、Hubro らしい、というか、 ノルウェーの jazz/improv の文脈ならではの、 electronics も駆使した疎な音空間と音のテクスチャを生かした演奏を楽しむことができた。

まずは、Erlend Apneseth Trio をアンコール前を除いて中断無く。 folk の文脈で使われる伝統的な楽器 Hardingfele [Hardanger fiddle] を使うが、 固定ながらマイクを通して深いリヴァーヴをかけ、時には2台持ちでのピチカートしたりする演奏。 対する acoustic guitar も live electronics で音を弄り、 Terje Isungset [レビュー] に師事したという drums も細やかな音出し。 はっきりとしたメロディやリズムを聴かせるというよりテクスチャを作るような音出しだったが、 Hardingfele を弓弾する時、共鳴弦によるさわりのような音がフッとフォーク的な雰囲気と作り出す所も良かった。

後半は Building Instrument では、drums は前半よりもリズムを刻んだが細かく繊細に、synthizer の音はアトモスフェリックに、 Mari Kvien Brunvoll のほとんどテクスチャになった歌声が掻き消されることなく堪能できた。 ほとんど椅子に腰かけたまま、マイクや機材を操作しながら、時に zither を控えめに爪弾きつつ。 通常のマイクからの live electronics によるリヴァーヴやループの音弄りだけでなく、 コンタクトマイクを口に当てて歌うことにより、くぐもった質感の歌声を使ったり。 ほとんど抽象化された歌声ながらもチャーミングさが残っていて、dream pop のようにも聴こえることがあった。 Brunvoll の歌声はCDで聴いてとても気に入っていたが、 生で歌う仕草を見ているとますますチャーミングで、引き込まれたライヴだった。

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[3552] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 28 19:11:11 2017

先の週末、土曜は新居の鍵交換対応もあって、部屋片付け。 日曜は午後に両国へ行って、このイベントを観てきました。

東京都江戸東京博物館ホール
2017/05/21, 13:00-18:00.
第一部: 復活上演!「女軍出征」と浅草オペラ・バラエティ
原案: 伊庭 孝; 企画: 大谷 能生; 監修: 小針 侑起; 演出: 中野 成樹; 音楽 海藻姉妹
出演: 洪 雄大, 福田 毅, 竹田 英司, 鈴鹿 通儀, 斎藤 淳子, 北川 麗, 佐々木 愛, 新藤 みなみ, 涌田 悠, ほか
浅草オペラ・バラエティ
山田 参助, 岸野 雄一, ほか
第二部: シンポジウム・浅草オペラ100年とその演劇性
小針 侑起, 大谷 能生, 中野 成樹, ケラリーノ・サンドロヴィッチ, 毛利 眞人

関東大震災直前の浅草で興隆した浅草オペラ。 その浅草オペラの時代の幕開けとされる浅草常盤座での喜歌劇『女軍出征』の公演 (1917年1月) の成功から100周年ということで、 この『女軍遠征』の再演を含むイベントが開催されたので、観てきました。

第一幕前半は『女軍遠征』の再演。 近年発掘され、去年刊行された小針 侑起 『あゝ浅草オペラ 写真でたどる魅惑の「インチキ」歌劇』 (えにし書房, 2016) に収録された台本に基づく上演。 演出は 台本をほぼ踏襲した上演とのことだったが、衣装や美術はむしろ現代的な日本の小劇場演劇を思わせるのもでした。 演出は 中野茂樹+フランケンズ を主宰する 中野 茂樹。 オペラ作品を上演する際も観客に物語がわかりやすいように歌を台詞に置き換えることが多かったとのことですが、 もしかしたら演出家の癖もあるかもしれませんが、 こうして作品を通した上演を見ると、歌劇というより歌の場面もある演劇に近いものだったのだなあ、と。 音楽は生演奏だったが、clarinet や brass からなる wind 楽団的な編成や編曲は jazz の影響を思わせるもの。 jazz 初録音が1917年と言われており [The Guardian の記事]、 jazz が日本へ入ってくる以前と思われる時期の作品なので、音楽の雰囲気も違うのでしょう。 戦前の大正ロマン〜昭和モダンのデザインなども好きなので、完全再現とまではいかなくても、 その雰囲気を感じられる衣装や美術だったらなあ、と、少々物足りなく感じました。

第一幕後半は、山田 参助 と 岸野 雄一 による、漫談を交えつつの歌唱ショーとでもいったもの。 浅草オペラでは、『女軍遠征』のような演目も、単独公演ではなく、バラエティショーの一演目として上演されていたとのこと。 しかし、マンガ家として知られる 山田 参助 が、その歌に合った素直な歌の旨さで、思わず引き込まれました。

後半はシンポジウム。といっても、ぐらもくらぶ側からの当時の状況の説明と関連する写真や音源の紹介が中心でした。 近日発売予定のCD 『あゝ浅草オペラ 女軍出征100年と魅惑の歌劇』 (ぐらもくらぶ, 2017) に収録されているという『カルメン』の一節を聴くことができたのですが、 その台詞の口調が、日本最初期のトーキー映画『上陸第一歩』 (島津 保次郎 (dir.), 松竹蒲田, 1932) [レビュー] での 水谷 八重子 を連想させるものだったことに興味を引かれました。 おそらく、当時の新派調なのでしょうが、演技も映画の中での水谷 八重子のようだったのかしらん、と。

しかし、シンポジウムで『カルメン』などの音源をかけた時、 会場から失笑が漏れるのはまあ仕方ないかもしれませんが、 それに迎合するかのようにパネリストが「これはマジメですか?」のように笑いを取る言い方をしていたのは、かなり不快でした。 時代や地域など異なる文化的背景・文脈ででなされた表現を、 今の自分を取り巻く表現と異なるからといって、滑稽なものとして扱っているように感じられました。 パネリストには、そこは笑うところではないと、毅然とした態度を取って欲しかったもののです。

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[3551] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Wed May 17 23:50:56 2017

土曜の晩は、丸の内から六本木へ移動。このイベントシリーズのライヴを観てきました。

デンマークとの外交関係樹立150周年を記念して、実験的な音楽をメインに、 アート、デザイン、食などを含めた文化交流イベント Opposite 2017 が、 SuperDeluxe で10日間にわたり開催されています。その3日目のライヴを観てきました。

Simon Toldam Trio
SuperDeluxe (六本木)
2017/05/13, 19:40-20:40.
Simon Toldam (piano), Knut Finsrud (drums), Nils Davidsen (doublebass).

ILK Music からリリースのある デンマーク=ノルウェー混成のピアノトリオ (Finsrud がノルウェー出身)。 リーダーの Simon Toldam は Han Bennink のベースレストリオでも活動している。 Bennink のトリオはCDで聴いたことがあったが、このトリオを聴くのは始めて。 北欧ということで繊細な音使いを予想していたが、意外とオーソドックスな free jazz のトリオだった。 悪くないのだが、Soldam があまり強い音を使わずに他の音に埋もれてしまい、少々物足りなく感じてしまった。

Illdjinn
SuperDeluxe (六本木)
2017/05/13, 20:50-21:30.
Mads Pind Forsby aka Illdjinn (drums, electronics).

Mats Gustafsson / Johan Berthling / Andreas Werlin のトリオ Fire! の拡大編成 Fire! Orchestra へも参加している drums 奏者 Mads Pind Forsby の Illdjinn 名義での drums ソロ。 electronics も使うということだったが、electronica 的なテクスチャを作り出すような使い方はせず。 時間進行が伸縮するような free なソロではなく、techno / electronica 以降の細かく多層的に進行するようなリズムでもなく、 金属音やリムショットの硬い音を多めに交えつつもしっかり刻むようなソロだった。

YARAYAWA
SuperDeluxe (六本木)
2017/05/13, 21:50-22:30.
Anders Lauge Meldgaard (syntheziser, EWI (electric wind instrument)), Mads Pind Forsby (drums), Martin Hoshi Vognsen (guitar, pedals), Iku Sakan (electronics, omnichord), 安藤 暁彦 [Akihiko Ando] (saxophone, electronics).

YARAYAWA は日本=デンマーク混成の4tet。 Meldgaard, Vofnsen, Sakan に drums の Muneomi Senju [千住 宗臣] が通常の編成だが、 今回は、Senju の代わりに Illdjin こと Mads Pind Forsby が入り、 安藤 暁彦 をゲストを迎えての5tetの編成で。 electronics を使うミュージシャンが多いけれども、techno / electronics 以降ならではの (nu jazz 的な) 音使いではなかった。 特に後半になるにつれて、音量の大きさと手数の多さで戦うかのようなフリーな即興になっていった。 最近は electronica 的なセクスチャを意識した繊細な音使いが好みということもあり、すっかり遠ざかっていたが、 1990年代はまだこういうフリーな即興をよく聴く機会があったことを思い出すような演奏だった。

3セットとも electronica 色薄くて意外とオーソドックスな即興のライヴに聴こえた。 1セットが短いショーケース的なライヴということで、さほど期待せずに臨んだせいか、 意外と気楽に楽しめたように思う。

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日曜は朝からキッチンのラックの配送を受け取って組み立て。 これで、キッチン、バス・トイレ周りはほぼ片付いたのですが、本・レコード・CDの整理が遅々として進みません。 量が多すぎてどう手をつけたものかと途方に暮れてしまいます。うーむ。

[3550] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue May 16 0:06:31 2017

土曜は未明から本降りの雨。ということで、ゆっくり過ごして、夕方に丸の内へ。このライヴの観てきました。

Scott Amendola Group
Cotton Club (丸の内)
2017/05/13, 17:00-18:00.
Scott Amendola (drums), Nels Cline (electric guitar, effects), Jeff Parker (electric guitar, effects), Jenny Scheinman (violin), Chris Lightcap (doublebass).

自身のグループはもちろん Nels Cline Singers などのグループに参加し、 Cryptogramophone や Nine Winds など 米国西海岸の独立系レーベルに録音を残してきている サンフランシスコを拠点に活動する drums 奏者 Scott Andromeda が自身のグループで来日。 alt rock/country のグループ Wilco のメンバーとしても活動する Nels Cline と post-rock のグループ Tortoise のメンバーとしても活動する Jeff Parker という jazz/improv 以外での活動も目立つ2人の guitar 奏者に、 Bill Frisell の録音にばしば参加してきている violin 奏者 Jenny Scheinman、 Clean Feed レーベルからリーダー作をリリースしている doublebass 奏者 Chris Lightcap とメンバーも豪華だ。

cymbal などの金属音を使った細かいリズムの上に浮遊するような guitar や violin のフレーズが流れるような techno / electronica 以降ならではの展開になる時もあったが、普通に jazz rock 風のリズムになる時の方がむしろ多かっただろうか。 はっとするような音を繰り出してくるというほどではなかったが、 巧みにリードとリズムを交代するかのよう、時にユニゾンする、Nels Cline と Jeff Parker の guitar、 Nels Cline と Jenny Scheinman の対話するようなやり取り、など、フロントの演奏も良かった。 reggae のリズムの曲や、アンコールで演奏した violin のフレーズも気持ち良い alt country の曲も、リラックスして楽しむことができた。

今回の会場の Collon Club で観たライヴというと、 去年8月の Wolfgang Muthspiel Trio with Brian Blade, Larry Grenadier、 今年3月の Jakob Bro Trio with Thomas Morgan, Joey Baron と 出演ミュージシャンの割にいまいち楽しめなかったものが続いていたので、 イヤな予感がしてたのですが、今回は普通に楽しめて良かった……。

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[3549] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 14 23:00:39 2017

6日の午後、恵比寿で写真展を観た後は神保町へ。 神保町シアターのゴールデンウィーク特別興行 『映画監督・成瀬巳喜男 初期傑作選』から、 この映画を観てきました。

『サーカス五人組』
1935 / PCL / 白黒 / 65min.
監督: 成瀬 巳喜男. 原作: 古川 緑波 『悲しきジンタ』
大川 平八郎 (ジンタ五人組 幸吉), 宇留木 浩 (ジンタ五人組 虎吉), 藤原 釜足 (ジンタ五人組 甚吉), リキー 宮川 (ジンタ五人組 六太), 御橋 公 (ジンタ五人組 清六), 堤 眞佐子 (サーカス娘 千代子), 梅園 龍子 (サーカス娘 澄子), etc

旅回りのジンタ五人組がある町にやってくるが、 その町ではサーカスの一座も公演を打っていた。 サーカスには団長の娘2人が花形として出演していたが、 妹の澄子は団員の一人と密かに思いを寄せあっていた。 そんな中、団長と男性の団員達が仲違いし、団員がボイコットを始めてしまった。 サーカス団は、ちょうど町にいたジンタ五人組に目を付け、代理に出演させることにする。 サーカスの花型の姉の千代子は、ジンタ五人組の一人 幸吉に好意を寄せるようになる。 五人組が出演するサーカスが始まるが、ボイコット中の団員が乱入してくる。 空中ブランコ中の澄子は、その争いを嫌って、ブランコから身投げしてしまう。 澄子は大怪我でなく済み、澄子の思いを知って、団長と団員は和解する。 そしてサーカスを役御免となったジンタ五人組は再び旅回りに出た。

エノケン (榎本 健一) と並ぶ戦間期日本のコメディアン ロッパ (古川 緑波) の原作による、旅回り芸人たちを主人公に据えた映画。 ロッパ原作ということでもっとドタバタの喜劇かと思いきや、 サーカス娘2人をめぐるちょっとウェットな恋話や旅回りの悲哀を、ユーモアを交えつつ描いた、センチメンタルな人情物と言った方が良い内容でした。 といっても、ジンタ五人組のキャラも皆立っていましたし、 戦間期日本のサーカス、ジンタの様子を垣間見るようで、そこは興味深く観れました。

『女人哀愁』 [レビュー] で貧しいながら一途に洋子を愛する益田役を演じていた 大川 平八郎 が、 この映画でもサーカス娘に好意を寄せられるミュージシャン志望のジンタ 幸吉を演じていました。 これが、アメリカで俳優として活動した後、日本にもどってきた、PCL〜東宝のスター男優か、と思いつつ見ていましたが、 いい役なのに映画の中で今ひとつ目立たなく感じられてしまいました。 『女人哀愁』と共通して出演していた俳優というと、堤 真佐子。 いずれも主役に近い役ですが、松竹大船が揃えていた華のある美人とは違い、 ふっくら愛嬌を感じるタイプで、これもプロダクションの色の違いかなあと思いつつ観ていました。

[このレビューのパーマリンク]

最近は、松竹大船だけでなくPCL〜東宝の戦前日本映画も何本か観ていますが、 やはり松竹大船の作風の方が好みだなあ、と。 ま、数を観てそれなりに俳優の個性が把握できるようになれば、もっと楽しめるようになるかしらん、と。

ゴールデンウィーク最終日の日曜はのんびり過ごそうかと思っていたのですが、 ゴールデンウィーク中にやっている特別夜間開館が空いているという噂を目にして、 新国立美術館の 『ミュシャ展』 Alfons Mucha を観てきました。 超大作でチェコ国外に初めて出たという『スラヴ叙事詩』 (Slovanská epopej, 1910-1928) 全20作品を生で観る絶好の機会かと。 確かに『スラブ叙事詩』は見応えありましたが、チェコへ戻って画風が重厚になる前の華やかで明るい画風で民族モチーフ描いた 1900年パリ万博ボスニア=ヘルツェゴビナ館の壁画の下絵が、最強じゃないか、と思ってしまいました。

同じく新国立美術館で開催中の展覧会 草間 彌生 『わが永遠の魂』 はパスしてしまいました。 続けて観るには食い合わせが悪いですし。 しかし、こちらも Mucha 展と同じくらい混雑しているようで、すっかり腰が引けてます。 そこまでして観たいものか、と自問。

[3548] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 14 21:47:01 2017

ゴールデンウィーク終盤の土曜は昼に恵比寿へ。会期末が迫ってしまったこの展覧会を観てきました。

Yamazaki Hiroshi: Concepts and Incidents: A retrospective from the late sixties onwards
東京都写真美術館 2階展示室
2017/03/07-2017/05/10 (月休;3/20開,3/21休,5/1開) 10:00-18:00 (木金-20:00)

山崎 博は1960年代末から活動する写真作家。 その時代ということもあるだろうが、初期の作品は舞踏やアングラ演劇 (天井桟敷、黒テントなど) の写真もあり、その作風もアレブレボケに近かった。 しかし、1970年代半ばには、定点観測写真のような『Observation 観測概念』シリーズや、 そこからの展開で長時間露光で太陽の軌跡を捉えた『Heliography』シリーズなど、コンセプチャルで即物的な作風となっている。 『Heliography』シリーズなど今までもコレクション展などで観ていたけれども、自分にとってはほぼノーチェックの写真作家だった。 しかし、即物的で抽象画のような作風の写真は大変に好みで、こんなに面白い写真作家だったのかと気付かされた展覧会だった。

『Heliography』もかなり好みだが、 画面二等分で水平線を捉える『水平線採取』シリーズを1970年代末から撮っていたとは。 杉本 博 『海景』シリーズの一つと言われても区別できないような白黒の作品もあるが、 カラーだったり、島や波打ち際を写し込んだり、太陽の軌跡や波のきらめきを明るく写し込んだり。 むしろ、水平線を画面二等分で捉えるという制約の中で、ミニマルな中にも多様性を作りだそうとする試みが 『海景』シリーズとは異なる面白さにも感じられた。 逆光を使ったりピントを大きくズラしして抽象画のように桜を捉える『櫻』シリーズや、 印画紙に直接露光するフォトグラムによる写真も良かったが、 やはり『水平線採取』シリーズの方がコンセプトと画面の抽象度のバランスが良くて面白いように感じられた。

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3階展示室の方では 『夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 総合開館20周年記念〈総集編〉』。 リニューアル前、2006年から地域別に4回に分けて開催された展覧会の総集編です。 一通り観ているのでざっと観て済ませてしまいましたが、こういう調査結果の報告の展示は興味深いものです。 美術館にはこういう地道な調査も継続して欲しいものです。

[3547] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Wed May 10 23:45:02 2017

5日の午後、TACT/FEST の The Pianist は終演まで見届けずにシアターウエストを出て、 急いでプレイハウスへ移動。続けてこの舞台を観てきました。

東京芸術劇場 プレイハウス
2017/05/05, 17:00-18:00.
Choreography: Anne Teresa De Keersmaeker
Created with and danced by Boštjan Antončič, Carlos Garbin, Marie Goudot, Cynthia Loemij, Julien Monty, Michael Pomero, Igor Shyshko Danced by: Anne Teresa De Keersmaeker, Tale Dolven
Music: Vortex Temporum, Gérard Grisey (1996).
Musicians: Ictus: Jean-Luc Plouvier (piano), Chryssi Dimitriou (flute), Dirk Descheemaeker (clarinet), Igor Semenoff (violin), Jeroen Robbrecht (viola), Geert De Bièvre (cello).
Production: Rosas.
World Premiere: 03/10/2013, Ruhrtriennale.

ベルギーのダンスカンパニー Rosas のこの春の日本公演では、 最初期の作品 Fase [レビュー] だけでなく、 比較的最近のこの作品の公演も行われた。 フランスの現代の作曲家 Gérard Grisey の曲 Vortex Temporum (1996) をダンス作品化したもので、 演奏するアンサンブル Ictus が生演奏というだけでなく、ダンサーと共に移動しながら演奏するという作品だ。 Ictus 絡みの作品 3Abschied [レビュー] や A. Schönberg や A. Webern の曲を使った Zeitung [レビュー] をそれなりに楽しんだので、 この作品にも期待していたのだが、期待が大き過ぎたか、少々退屈してしまった舞台だった。

まずは、ダンサー抜きで Ictus のミュージシャンニよる曲の演奏のみで始まる。 この時はみな座って移動せずに演奏する。 続いて Ictus のミュージシャンが退き、Rosas のダンサーが無音の中で踊る。 さらに、Ictus のミュージシャンが加わり、piano すら動かしつつミュージシャンも移動しながら演奏し、Rosas のダンサーも踊る。 最後には Ictus のミュージシャンは照明が薄暗くなった舞台後方へ退き、その前でダンサーが踊るという展開になった。 ダンス抜きでの音楽、音楽抜きでのダンス、までは、音楽とダンスの関係を直接的に示さないところに、興味を引かれた。 しかし、ダンスに混じってミュージシャンも動きながら演奏する段となると、動きのパターンも読めるような感もあって、逆に退屈になりはじめた。 ダンスは曲のタイトルにあるように渦を思わせる動きなのだが、 身体能力を駆使したダンスというよりも位置取りや手先で渦を描くよう。 ミュージシャンを交えて分だけ動きに制約があるのだとも思うが、 訓練された人ならではの真似ができないような動きの面白さがあまり感じられず、物足りなく感じた。

Gérard Grisey は École spectrale (スペクトル楽派) で知られる作曲家。 無調で明確なリズムもないいわゆる現代音楽だが、 隙間の多い音空間ではなく、むしろ、音のテクスチャを作るかのようなトレモロやトーンクラスターが耳に残る演奏。 舞台には床に様々な半径の円を組み合わせた図形が白線で描かれているのみ。 照明による演出も高い天井の蛍光灯のみ。その点滅で舞台の一部を明るくしたり暗くすることはしていたが、 基本的にのっぺり明るい照明で、スポットライトのように強いコントラスによる照明演出もなかった。 ダンサーの衣装も黒に近い色の普段着を思わせる地味なもの。 地味な動きもあって、習作的なワークショップを見ているようでもあった。 おそらくそういう所も狙っているのだろうとは思うが、現在の自分の興味からは外れてしまった。

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引越直後のゴールデンウィークということで、 今年は『ふじのくに⇄せかい演劇祭』を観に静岡遠征するのは自粛して、 新居の整理に充てるつもりだったのですが。 結局、2日、4日、5日と東京芸術劇場へ通ってしまいました。 ま、午前中を家事に充てるくらいのことはできましたが、 結局、静岡遠征を自粛した意味が無くなってしまったなあ、と、反省……。

[3546] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Sun May 7 21:44:12 2017

5日は昼から池袋西口へ。東京芸術劇場で毎年GW恒例となっている子供連れ家族向けのフェスティバル TACT/FEST を観てきました。

I Kadek Budi Setiawan (aka Kadek Capung)
Eclipse
東京芸術劇場シアターウェスト
2017/5/5, 13:00-14:00.
Created by I Kadek Budi Setiawan (aka Kadek Capung). Performed by I Kadek Budi Setiawan et al.
Created in 2017.

インドネシア・バリの伝統芸能の影絵芝居 Wayang Kulit と仮面舞踊 Topeng による舞台。 どちらも宗教儀礼に結び付いていて伝統的には一緒に上演されるものではないとのことですが、 ヒンドゥー教の天地創造神話の中の月食・日食の起源にまつわる物語を使い、一つの作品としてまとめあげたとのこと。 ちなみに、作・出演の I Kadek Budi Stiawan は 『三代目りちゃあど』 (Ong Keng Sen (dir.): Sandaime Richard) [レビュー] に出演していました。 Wayang Kulit にも Topeng にもさほど馴染みが無いので、その動きの面白さ美しさをまとめて観ることができましたが、 現代的な演出の妙が楽しめるというほどではありませんでした。 音楽は Gamelan の生演奏でしたが、こちらも、Wayang 伴奏に用いられる slendro 音階の gender wayang と 20世紀に入って普及して現在最も一般的な pelog 音階の gong kebyar が使われていたとのこと。 金属音多めの打楽器アンサブルは生演奏ならでのライブ感もあって良かったのですが、 音階の違い、使い分けまではわかりませんでした。

Transhumance
劇団コープス 『ひつじ増量計画』
東京芸術劇場ロワー広場
2017/5/5, 14:45-15:15.
Origilan concept et Chorégraphie: David Danzon & Sylvie Bouchard
Performed by Jolyane Langlois, Takako Segawa [瀬川 貴子], David Danzon, etc.

次の公演までの時間はロワー広場で毎年恒例の『ひつじ』 [2010年のレビュー]、 ではなく、今年は劇団創設20周年ということで、ひつじを増やした20名バージョン『ひつじ増量計画』。 核となる Corpus のメンバーに加え、オーディション選抜もしくはワークショップ参加によるパフォーマーで増員していました。 といっても、舞台となる人口芝のスペースや、羊飼いに連れられてやってきて、 餌を食べたり排尿したり交尾したりした後、狼がやってきて混乱した後、帰っていく展開は一緒。 人間的な表情や仕草を排した感情的心理的な脈略が感じらない不条理さが魅力のパフォーマンスですが、 増員分のパフォーマーがそこまで徹し切れておらず、不条理さが薄まっていました。

東京芸術劇場シアターウエスト
2017/5/5, 16:00-17:00.
Production: Circo Aereo; Direction, creation: Sanna Silvennoinen, Thomas Monckton.
Performer: Courtenay Stevens.
Premier: 2013-09-04, Hämeenlinnan Teatterissa.

舞台登場から演奏開始までのドタバタを、時に異世界へスリップしつつ観客を巻き込みつの道化芝居で、 現代サーカスというほど演出構成が独特というほどではなく、演技も笑いの取り方もむしろオーソドックス。 大人から子供までしっかり笑いを取っていて、今まで観た FACT/FESTIVAL のサーカス演目の中で最もウケていました。 一時間は引っ張り過ぎで30分くらいでまとめた方が楽しめたのではないかという気もしましたが、 フェスティバルとしては、スタイリッシュだけどとっつきやすいとは言い難い現代サーカスだけでなく、こういう演目も交えた方が、 観る方も楽しめるように思いました。

去年はシアターイースト/シアターウエストの会場で3演目でしたが、今年は2演目。 どんどん規模が縮小していて、寂しい限りです。 Rosas 公演やボンクリ・フェスタ2017もあって、会場の制約もあったのかもしれませんが。 しかし、せっかく同じ東京芸術劇場で開催されている公演なので、Rosas 公演と FACT/FEST のハシゴを余裕を持ってできるよう、 開演時間や終演時間を設定して欲しかったものです。

[このレビューのパーマリンク]

[3545] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Fri May 5 23:55:17 2017

2日に続いて、4日も神保町へ。 神保町シアターのゴールデンウィーク特別興行 『映画監督・成瀬巳喜男 初期傑作選』から、 1930s前半松竹蒲田時代のサイレント映画2本を 天池 穂高 のピアノ生伴奏で観てきました。

1本目は『限りなき舗道』 (松竹蒲田, 1934)。 以前に観たときは、戦間期モダンな銀座の街並みを目当てに観たせいか、テーマは少々保守的に感じられました [レビュー]。 しかし、今回は『女人哀愁』 (PCL=入江ぷろだくしょん, 1937) を観たばかりということもあってか [レビュー]、 不幸な格差婚からの自立というテーマがすっと入ってきました。 杉子の芯の強さ、というか、演じる 忍 節子 の 入江 たか子 にも劣らない秘めるような強さ美しさに気付かされました。

忍 節子 って、坪内 美子 と同系の、洋装美女に見劣りしないモダンなセンスを感じる和装美女だななあ、と。 個人的な好みをいえば、忍 節子 よりも 香取 千代子 ですが。

2本目は、初めて観たこの作品。

『生さぬ仲』
1932 / 松竹蒲田 / 白黒 / 74min.
監督: 成瀬 巳喜男.
奈良 真養 (渥美 俊策), 筑波 雪子 (妻 真砂子), 小島 壽子 (娘 滋子), 葛城 文子 (母 岸代), 岡 譲二 (日下部 正也), 岡田 嘉子 (清岡 球江), 結城 一朗 (弟 巻野 慶次), etc

夫と娘を捨ててアメリカで女優として成功した 珠江 は、娘 滋子と再会するため日本へ戻ってきた。 事業に失敗して追い詰められていたかつての夫、渥美に珠江は融資を申し出るが、拒絶される。 渥美は破産し屋敷は他に渡りさらに不正により投獄されてしまい、後妻 真砂子 はデパートの売り子をしながら継子 滋子、義母 岸代 と細やかな一軒家暮らしを始める。 貧乏暮しを嫌う義母は、珠江の誘いに乗って、滋子を連れて珠江の屋敷へ行ってしまう。 真砂子は滋子を取り戻そうと、渥美の旧友 日下部を頼り、珠江の家へ行くが追い返されてしまう。 滋子は珠江に懐かず、屋敷を逃げ出そうとして、自転車に轢かれてしまう。 滋子が臥せていると日下部から知らされ、真砂子は珠江の屋敷へ忍んで行き再会するが、見つかって、引き離されそうになる。 しかし、真砂子と滋子の仲を見て、珠江は滋子を真砂子に任せることにし、アメリカで築いた財産を滋子に残して、アメリカへ帰って行った。

いわゆる母子ものというか、産みの親より育ての親という内容なメロドラマチックな物語ですが、 見所はやはり、サイレント時代のスター女優、筑波 雪子 と 岡田 嘉子 の対決。期待以上に見応えがありました。 和装の似合う 筑波 と洋装もキマった 岡田 のコントラストも良し。 岡田 嘉子 の出演した戦前日本映画といえば、 小津 安二郎 『東京の女』 (松竹蒲田, 1933)、島津 保次郎 『隣の八重ちゃん』 (松竹蒲田, 1934)、小津 安二郎 『東京の宿』 (松竹蒲田, 1934) など 数は多くないものの何本か観てますが、 今まで観た中で 岡田 嘉子 を最も堪能できた映画でした。

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しかし、前に『限りなき舗道』を観たのはもう5年も前のことだったか。ついこのあいだという気でいました。 時の経つのがどんどん速くなっているような……。

4日も神保町の後は、池袋へ。晩に東京芸術劇場コンサートホールで 『ボンクリ・フェス2017スペシャルコンサート』。 子供向け企画の現代音楽フェスティバルといったところでしょうか。 その企画というより、Jan Bang と Nils Petter Molvær が出演するという興味で足を運んでみました。 しかし、出番はさほど無く。 コンサート全体としてもとっつきやすい曲もあってバラエティに富んでいましたが、全体としてのコンセプトが掴めず、ぼんやりとした印象になってしまいました。うーむ。

[3544] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Thu May 4 1:13:23 2017

2日に神保町で映画を観た後は池袋西口へ移動。晩にこの舞台を観てきました。

東京芸術劇場 プレイハウス
2017/05/02, 19:30-20:40.
Choreography: Anne Teresa De Keersmaeker; Created with Jennifer Everhard (Come Out), Michèle Anne De Mey (Piano Phase, Clapping Music)
Danced by: Anne Teresa De Keersmaeker, Tale Dolven
Music: Steve Reich Piano Phase (1967), Come Out (1966), Violin Phase (1967), Clapping Music (1972).
Production: 1982 - Schaamte (Brussels), Avila (Brussels), 1993 - Rosas & De Munt / La Monnaie (Brussels)
Premiere: 18/03/1982, Beursschouwburg (Brussels)

ベルギーのダンスカンパニー Rosas を主宰する Anne Teresa De Keersmaeker が Tisch School of the Arts, New York Univ. への留学から帰国した直後、 Rosas を旗揚げする直前に制作した、彼女の原点とも言える作品 Fase。 15年前に彩の国さいたま芸術劇場で Anne Teresa De Keersmaeker と Michele-Anne De Mey が踊ったのを観ているが [レビュー]、 その時の印象も薄れていたので、再見する良い機会かと、足を運んだ。

周期の異なる反復音からなる Reich の音楽を最低限の振付と演出でダンス化したかのようか作品の 面白さと美しさを再確認。 しかし、Piano Phoase の印象が強すぎたか、 Come Out などほとんど忘れていたということにも気づかされた。 また、再見ということもあるのか、観ていて、コンセプトの面白さよりもディテールに目がとまった。 Piano PhaseViolin Phase のシンプルなワンピースドレスは、 スピンのくるくる回る動きにスカートのラインが綺麗になびくように作られている。 また、ほとんど白というかモノトーンに見える2人の衣装が、わずかに色違いであったことにも気付かされた。 そんな、衣装の面白さに気付くことが出来た公演だった。

今回も Keersmaeker が4幕全て踊り通した。 前に観たときも40余歳でよく踊れるなと思いながら観ていたが、それから15年、 1960年生で60歳近い御歳であれだけ動けることに賞賛。 しかし、特に Clapping Music のような動きでは、 一緒に踊ったダンサーと並ぶと、動きの切れの無さ、精度の甘さがどうしても目についてしまう。 自分が観た公演では、Keersmaeker 髪をまとめていたピンが外れてしまい、踊りながら髪を直すというハプニングもあったりした。 いっそ Opéra national de Paris あたりの超絶身体能力のバレエ・ダンサーに技巧的にきっちり踊らせた方がコンセプトがはっきりして良いのではと思いつつ、 本人が踊っていることに対する贔屓目もあるかもしれないが、乱れも含めて作品の味わいかもしれないと思ったりもした。

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[3543] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Wed May 3 22:33:51 2017

2日は新居に新調した書架の受け取りのために休みにしていたのですが、配送時間の都合が悪く翌日へ延期。 というわけで、午後に神保町に出て、 神保町シアターのゴールデンウィーク特別興行 『映画監督・成瀬巳喜男 初期傑作選』から、 この映画を観てきました。

『女人哀愁』
1937 / PCL=入江ぷろだくしょん / 白黒 / 74min.
監督: 成瀬 巳喜男.
入江 たか子 (河野 広子), 堤 真佐子 (妹 よし子), 北沢 彪 (堀江 新一), 沢 蘭子 (妹 洋子), 大川 平八郎 (益田 敏雄), 佐伯 秀男 (北村 良介), etc

父を早くに亡くしデパートのレコード売り場で働く河野 広子は、裕福な堀江家の 新一 と見合い結婚する。 家の体面を重視する堀江家は、嫁の広子を女中もしくは飾りの人形のように扱う。 義妹 洋子はサラリーマンの益田と駆け落ちするが、愛はあれど金の無い生活に嫌気がさし、家に戻ってくる。 愛する彼女を取り戻そうとする益田に対して冷淡な堀江家を見るうちに、広子は堀江家での生活に不満を覚えるようになる。 洋子との生活のために会社の金を持ち逃げしていたことがばれた益田は、最後に洋子に会いたいと、広子に連絡を取る。 洋子は反省して益田に会いに行こうとするが、新一はそれを止めさせる一方、益田の居場所を広子から聞き出そうとする。 広子は新一に逆らい、新一に益田の居場所を伏せ、洋子を益田のもとへ行かせて、堀江家を出る。

松竹からPCL (後の東宝) へ移籍した後、当時のスター女優 入江 たか子 を主演にして撮ったトーキー映画。 いわゆるメロドラマチックな三角関係などはなく、身分違いの不幸な結婚の話で、 サイレント時代に成瀬が撮った『限りなき舗道』 (松竹蒲田, 1934) [レビュー] を思わせる所も。 もしくは、山本 薩夫 (dir.) 『母の曲』 (東宝, 1937) [レビュー] から母ものの部分を取り去ったよう。 しかし、『限りなき舗道』や『母の曲』が女性の我慢や諦めによって話を締めくくるのに対し、 『女人哀愁』は不幸な結婚生活からの女性の自立として描いています。 中盤くらいまでの優柔普段で自分の意思を出さ無いヒロインは感情移入し難いものがありましたが、 それだけに終盤のヒロインが美しく凛々しく見えたでしょうか。

ところで、映画の中で2回、鍵となる場面でスタンダードナンバーとして有名な Rogers & Hart の “Blue Moon” が使われていました。 最初はお嫁に行く直前、広子が「私だってダンスできる」と、妹よし子と踊る場面。 そして、二度目は堀江家での生活がうまくいかなくなってから、母を見舞いに実家に行った場面で、結婚前の思いを回想しつつ。 “Blue Moon” というと、自分にとってはジャズのスタンダード曲としての、もしくは、Elvis Presley などの1950s-60sのカバーでの印象が強く、 オリジナルは戦間期と頭では判っていても、少々違和感を覚えました。 ちなみに、オリジナルは映画 Manhattan Melodorama (MGM, 1934) の劇中歌 [YouTube]。 オリジナルから3年後に使っているということは、当時としてはアメリカの新しいヒット曲を取り上げたに近かったのでしょうか。

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映画が始まる時間まで余裕があったので、その前に東京国立近代美術館へ。 企画展ギャラリーでは、 『茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術』。 茶道の茶器で知られる楽焼の樂家の歴代当主の作品を並べた展覧会でした。 さすがに宇宙というほどではありませんでしたが、日本近世史を見るかのような展覧会ではありました。 ちょうど、笹本 正治 『中世の音・近世の音 鐘の音の結ぶ世界』 (1990; 講談社現代新書, 2008) を読了した直後だったので、 これが近世の音が聞こえていた時代の美かと興味深く観ました。

ギャラリー4では企画展 『マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good』。 スチールパイプを使ったアームチェア Wassily で有名な Bauhaus のデザイナー Marcel Breuer の展覧会です。こういうデザインは大変に好みです。 というわけで、目当てはこちらの展覧会だったのですが、期待が大き過ぎたか、小ぢんまりとした展示に逆に不完全燃焼。うーむ。

[3542] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Apr 23 22:01:05 2017

転居後で部屋の中はまだまだダンボール箱の山だらけですが、 土曜は夕方に渋谷へ出て、この舞台を観てきました。

Finn Family Moomin: Moomin and the Magician's Hat / Special Ballet Galla
オーチャードホール, 文化村 (渋谷)
2017/04/22 16:30-19:00
Special Ballet Gala
『北欧バレエ・ガラ』
From Swan Lake Act III: “Spanish Dance”, “Hungarian Dance”, “Russian Dance”, “The Black Swan Pas de Deux”
『白鳥の湖』 第3幕より: 「スペインの踊り」「ハンガリーの踊り」「ロシアの踊り」「オディールと王子のグラン・パ・ド・ドゥ」
Choreography: Kenneth Grave(based on the Lev Ivanov / Marius Petipa; Music: Pyotr Ilyich Tchaikovsky.
The Swan of Tuonela 『トゥオネラの白鳥』
Choreography: Imre Eck; Music: Jean Sibelius.
Grand Pas de Deux from Scheherazade 『シェヘラザード』よりグラン・パ・ド・ドゥ
Choreography: Kenneth Grave; Music: Nikolai Andreyevich Rimsky-Korsakov.
From Ballet Pathetique バレエ『悲愴』より
Choreography: Jorma Uotinen; Music: Pyotr Ilyich Tchaikovsky.
From Don Quixote Act III: “Fandango”, “Grand Pas de Deux”
『ドン・キホーテ』第3幕より: 「ファンタンゴ」「グラン・パ・ド・ドゥ」
Choreography: Patrice Bart, José de Udaeta (Fandango); Music: Léon Minkus.
Finn Family Moomin: Moomin and the Magician's Hat
Choreography: Kenneth Grave; Music: Tuomas Kantelinen.

フィンランド国立バレエ団の初来日公演。 フィンランドの有名なキャラクター Moomin をフィーチャーした2015年制作のバレエ作品 Moomin and the Comet が海外メディアでも話題になっていて気になっていたところ、 初来日で世界初演となる Moomin ballet 新作第2作を持ってきました。 バレエ公演にしては手頃なチケット価格だったうえチケット争奪戦もさほどでなく、 イベントシネマでバレエづいているので、生でバレエを観る絶好の機会と足を運んでみました。

休憩を挟んで前半約1時間は『北欧バレエ・ガラ』。 特に北欧と謳うほどではないと思いましたが、有名な古典作品だけでなく現代作品を含む作品からの抜粋からなるステージ。 背景に映像を投影する程度で美術も無く、抜粋によって物語性が解体されるので、古典作品と現代作品の差異が小さくなり、 演出を楽しむというより、ダンサーの身体性、技が全面に出てくるように感じられました。 現代作品は、The Swan of TuonelaPathetique。 特に Pathetique は、道化のような化粧にスキンヘッド、上半身裸に白いチュチュという姿で踊る男性のソロで、古典作品と並ぶとなかなかのインパクト。 古典作品の中では、フラメンコ色濃く女性も艶やかな Don Quixote を楽しみました。 現代に舞台を移した Théâtre National de Chaillot の Don Quichotte du Trocadéro を以前に観てますが [レビュー]、 イベントシネマも活用して、古典的な演出のものもちゃんと観ておきたいものです。

後半約1時間はムーミン・バレエこと『たのしいムーミン一家 ~ムーミンと魔法使いの帽子~』。 Moomin たちメインのキャラクターの着ぐるみがかなりアニメーションでの造形に忠実なので、着ぐるみショー色濃いものを予想していました。 しかし、前半こそ着ぐるみでないのが Little My (ミィ) と Snafkin (スナフキン) だけでバレエ色が薄めでしたが、 特に後半、Magican (飛行オニ)、Black Panther (黒豹)、Ruby (ルビー) などが登場すると、ぐっとバレエらしく。 というか、メインのキャラクターの造形を生かすと踊らせづらいので、バレエを踊らせる役として脇役を活用したといったところでしょうか。 期待以上に動きにキレがあり、しかし Moomin ならではのほんわかした雰囲気も上手く表現していて、 「Moominmamma (ムーミンママ) がいいなあー」とか 「The Groke (モラン) が不気味可愛い」とか 「Little My と Snafkin が美男美女カップルでいいのか!?」などと突っ込みを入れつつ楽しんで観ることができました。

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先週末、15、16日の週末を使って転居しました。世田谷の若林を離れ、川崎市の小杉町へと。 大家さんとも仲良くなり居心地良かったこともあり、若林には14年も住んでいました。 今までの人生で最も長い間住んだ場所だったんだなあ、と。 若林にも思い入れがありますが、心機一転する良い機会かと前向きに考えてます。

CDやレコードを大量に持っているという自覚はありましたが、 箱詰してわかったのは、体積で見て一番多かったのは本だったということ。 あと、自分はさほど衣装持ちのつもりではなかったのですが、荷造り荷開きしてみると多いなあ、と。 14年使い続けたものばかりと、家具家電は転居に合わせて新調したため引越荷物に含まれなかったにもかかわらず、2tロングという単身者とは思えない荷物量に我ながら呆れました。 転居前に整理する余裕もなくとりあえず新居に持って来てしまいましたが、少しずつ減らしていかねば、と。

転居の理由は、職場の引越。 旧居から新しい職場へは2時間半かかり、とうてい通勤できないため、転居することにしたのでした。 といっても、新居からでも1時間半余りかかりそうなのですが。 明日から新しい職場へ通勤です。 職場が変わるだけでなく、この4月から役職も変わって、ますます忙しくなりそうです。 今までのようには、このサイトは運営できなくなるかなあ、と。

[3541] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- tfj@kt.rim.or.jp, Sun Apr 2 23:53:42 2017

土曜も昼過ぎには日本橋へ。水曜晩、金曜晩に続いてイベントシネマでバレエを観てきました。

Royal Opera House, 8 February 2017.
Direction and choreography: Wayne McGregor; Music: Max Richter; Dramaturg: Uzma Hameed.
Designers: Ciguë, We Not I and Wayne McGregor, Costume designer: Moritz Junge; Lighting designer: Lucy Carter; Film designer: Ravi Deepres.
Koen Kessels (conductor), Orchestra of the Royal Opera House.
Premier: 11 May 2015, The Royal Opera House, London
上映: TOHOシネマズ日本橋, 2017-04-01.
I now, I then
from Mrs Dalloway
Dancners: Alessandra Ferri, Federico Bonelli, Gary Avis, Francesca Hayward, Beatriz Stix-Burnell, Edward Watson, Akane Takada, Calvin Richardson.
Becomings
from Orlando
Dancners: Gary Avis, Matthew Ball, Calvin Richardson, Francesca Hayward, Paul Kay, Sarah Lamb, Steven McRae, Natalia Osipova, Beatriz Stiv-Brunell, Akane Takada, Eric Underwood, Edward Watson.
Tuesday
from The Waves
Dancners: Alessandra Ferri, Federico Bonelli, Sarah Lamb, et al.
Anush Hovhannisyan (soprano).

Royal Opera House Cinema Season 2016/17 のラインナップ中、唯一のコンテンポラリー・バレエ作品。 ヨーロッパの国立バレエ団のコンテンポラリー作品はほとんど来日せず、Wayne McGregor の作品を観る機会が無かったので、これも良い機会と足を運んでみた。 2015年に初演されたこの作品は、戦間期にロンドンで活動したモダニズムの小説家 Virginia Woolf の3作品と Woolf の生涯に着想した、 3幕物というか3部作 (triptych) 構成の作品。

第1幕というか第1作は小説 Mrs Dalloway (1925) に着想した I now, I then。 主に回想で直線的に話が進行するわけではなく叙情的ですらあったけれども、予想よりもナラティヴな印象。 身体能力を見せるというよりアクロパティックながらマイムで心情を表現するようなダンスで、 ミニマルな演出のフィジカルな現代演劇を観てるよう。 夫 Richard Dalloway と若い頃に求婚された旧友 Peter Walsh の間で揺れる Clarissa Dalloway をロマンチックに。 しかし、一番印象に残ったのは、第一次世界大戦のPTSDで苦しむ Septimus Warren Smith。 ほとんど唯一の舞台美術である大きな枠にヘルメットが置かれたり、それが静かに回収されたりする所など、象徴的にすら感じた。 我ながら意外だが、3部作中、最もナラティヴな I now, I then が楽しめた。

第2作は小説 Orlando (1928) に着想した Becomings。 一転して、いかにもコンテンポラリーなノンナラティヴな演出。 うねうねした、しかしキレのいい動きを堪能することができた。 原作は16世紀エリザベス1世の時代から現在 (20世紀の戦間期) までの時間を旅する話だが、 金色の衣装や、スモークにレーザを使った演出は、SF的な未来の旅を思わせるものだった。

第3作は小説 The Waves (1931) に着想した Tuesday。 エンディングなどパ・ド・ドゥもあるが、大きく映されたモノクロの波の映像の前で群舞が印象的。 I now, I then が演技、 Becomings が身体能力で見せる演出としたら、 Tuesday は落ち着いたアンサンブルで見せる演出。 しかし、群舞といってもフィナーレに向けて派手に盛り上げるものではなく、時間が短めということもあってか、少々蛇足にも感じられた。

それにしても、第1作と第3作で主役を踊ったのは御年50歳という Alessandr Ferri。 さすがの演技力ということもあるが、 身体能力を見せつけるような踊りではないものの、あれだけよく身体が動くものだと感心しながら観ていた。

水曜に Большой балет: Светлый ручей [レビュー]、 金曜に Ballet de l'Opéra national de Paris: Ballets Russes [レビュー] そして土曜に Royal Ballet: Woolf Works と。 週後半にバレエのイベントシネマ上映3本を立て続けに観たわけですが、 やっぱり Woolf Works が最も楽しめたなあ、と。 コンテンポラリー作品の上映の機会も、そして来日公演の機会も、もっと増えて欲しいものです。

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1日の晩は大家さん宅の花見宴という話があったのですが、3月末の季節外れの寒さで桜の開花が進まず延期に。 結局、花見は無いものの、有志で母屋の中で宴会してましたが。 そんな宴会に顔を出しつつも、この週末も引越の準備をしていたのでした。 いいかげ、断捨離も飽きてきた……。

[3540] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Sun Apr 2 22:18:53 2017

金曜の晩は日本橋へ。水曜に続いてイベントシネマでバレエを観てきました。

Palais Garnier, L'Opéra national de Paris, 2009-12-22.
Les Étoiles, les Premiers Danseurs et le Corps de Ballet de l’Opéra national de Paris.
Direction musicale: Vello Pähn; Orchestre de l’Opéra national de Paris.
Réalisation: François Roussillon
上映: TOHOシネマズ日本橋, 2017-03-31.
Le spectre de la rose
『薔薇の精』
Argument: Jean-Louis Vaudoyer, d’après le poème de Théophile Gauthier; Musique: L’Invitation à la Valse de Carl Maria von Weber
Chorégraphie: Mikhaïl Fokine, réglée par Pierre Lacotte; Décors et costumes: d’après Léon Bakst.
Danseurs étoiles: Mathias Heymann et Isabelle Ciaravola.
Création: 19 avril 1911, Opéra de Monte-Carlo.
Après-midi d’un faune
『牧神の午後』
Musique: Prélude à l’Après-midi d’un faune de Claude Debussy
Chorégraphie: Vaslav Nijinski, réglée par Ghislaine Thesmar. Décors et costumes: Léon Bakst.
Danseurs étoiles: Nicolas Le Riche, Emilie Cozette.
Création: 29 mai 1912, Théâtre du Châtelet.
Le Tricorne
『三角帽子』
Musique: Manuel de Falla; Livret: Gregorio Martinez, d’après la nouvelle « El sombrero de tres picos » de Pedro Antonio Alarçon.
Chorégraphie: Léonide Massine; Décors et costumes: Pablo Picasso.
Danseurs étoiles: José Martinez, Marie-Agnès Gillot, Fabrice Bourgeois.
Création: 22 juillet 1919, Alhambra Theatre, Londre.
Petrouchka
『ペトルーシュカ』
Musique: Igor Stravinsky; Livret: Igor Stravinsky et Alexandre Benois.
Chorégraphie: Mikhaïl Fokine; Décors et costumes: d’après Alexandre Benois.
Danseurs: Claire-Marie Osta (la poupée aux joues rouges), Yann Bridard (le maure), Benjamin Pech (Petrouchka), et al.
Création: 13 juin 1911, Théâtre du Châtelet.

Diaghilev の Ballets Russes 設立から100年を記念して2009年に行われた Opéra national de Paris による Ballets Russes の復元上演の録画が、 Diaghilev 生誕145年を記念してその誕生日にイベントシネマ上映されました。 当時 NHK で放送されたようですが、それはノーチェックだったので、これを機会に観てきました。 Ballets Russes は、書籍や展覧会で写真や関連資料を見る機会はそれなりにありましたが [レビュー]、 復元上演ということでダンスとしてどのような動きで舞台としてどう演出されていたのか、という点で興味深く見ることができました。

しかし、Après-midi d’un faune など、写真などで散々観ているし、 オマージュ的な作品 [レビュー] も観ているので、 やはりそうかと確認しているよう。 Stravinsky の Petrouchka を最も楽しみにしていたのですが、 謝肉祭の見世物を題材とした劇中サーカス/大道芸っぽいところは好きですが、 衣装も演出もモダニズムを強く感じさせるものでは無かったのだなあ、と。 Le spectre de la rose も、 当時薔薇の精を演じた Nijinsky の特異さを思わせるところはありましたが、かなりクラシック。 展覧会で1913年頃まで衣装が古典主義だということに気付いていましたが、 これら1911年の作品の復元上演を観て、なるほどそういうことかと。

そんなわけで、結局、観ていて最も楽しめたのは、Picasso が美術と衣装を手がけた Le Tricorne。 シャープな立体主義的な抽象的なデザインという程では無かったものの、 むしろシュルレアリズムを思わせる背景の風景の絵や衣装の色使いのセンスがモダン。 舞台がアンダルシアでフラメンコの踊りをベースとした振付で、 好色な代官を懲らしめる粉屋とその女房の話もコメディタッチ。 あまり Ballets Russes らしくはないようにも思いましたが、楽んで見ることができました。

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[3539] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Fri Mar 31 0:22:46 2017

水曜の晩は仕事が終わった後、新宿へ急行。イベントシネマでバレエを観てきました。

Bolshoi Ballet: The Bright Stream
『明るい小川』
Большой театр, 29 апреля 2012 г.
Музыка Дмитрий Шостакович [Music by Dmitri Shostakovich]
Либретто Адриана Пиотровского и Федора Лопухова [Libretto by Adrian Piotrovsky and Fyodor Lopukhov]
Хореограф-постановщик: Алексей Ратманский [Choreographer: Alexei Ratmansky], Художник-постановщик: Борис Мессерер [Designer: Boris Messerer]
Премьера состоялась 18 апреля 2003 г. [Premier: 18 April 2003]
Действующие лица и исполнители (Cast): Светлана Лунькина (Зина), Михаил Лобухин (Петр), Мария Александрова (Классическая танцовщица), Руслан Скворцов (Классический танцовщик), Денис Савин (Аккордеонист), Алексей Лопаревич (Пожилой Дачник), и другие
Дирижер: Павел Сорокин [Conductor: Pavel Sorokin].
上映: TOHOシネマズ新宿, 2017-03-29.

Большой балет в кино [Bolshoi Ballet in cinema] Season 2016/17 で Шостакович 作曲のソヴィエト・バレエ3作の最後の作品を観てきました。 1935年にサンクトペテルブルグの Малый оперный театр (現 Михайловский театр) で初演されるも、 1936年に Правда 紙にて批判され上演中止となり、その翌年、脚本の Адриан Пиотровский は НКВД (内務人民委員部) に逮捕、処刑されます。 そんな大粛清の時代に制作され長らくお蔵入りしていた作品を、2003年にモスクワの Большой театр が復元上演したものです。 しかし、そんな曰くよりも、コルホーズを舞台としたバレエという取り合わせに興味を引かれました。 こんな作品、来日公演のレパートリーに選ばれることは無いでしょうし、こういう機会でもないと観れないだろうと。

ロシア南部のクバーニ (Кубань) 地方のコルホーズ「明るい小川」が舞台。 そこにモスクワからバレエ団が訪れることで生じたドタバタをコミカルに描いた作品です。 コルホーズで暮らす Зина [Zina] とバレエ団のバレリーナが、偶然ながら、バレエ学校時代の旧友。 Зина の夫 Петр [Petr] がそんなバレリーナと浮気しようとして、Зина とバレリーナに懲らしめられるというのが、メインの物語です。

舞台が1930s前半のコルホーズということで、衣装や美術が少々 Russian Avant-Garde 風な所も残した戦間期モダンぽさがあるだけで、 演出やダンス技法はクラシカルな物語バレエでした。音楽も不協和音使いなど前衛色は抑えたもの。 風刺というより皮肉の効いたコメディで、特に、Петр を懲らしめる第2幕はかなりのドタバタ。 Петр や引っ掛けるために、バレリーナとバレエダンサーが衣装や役割を入れ替えて踊ったり。 そんなところは、クラシカルな物語バレエのパロティといえるかもしれません。 そして、そんな所を楽しみました。

主役の Зина と Петр より、バレリーナとバレリーナの方が面白くて魅力的。特に、後半の男装で踊るバレリーナ。 あと、群舞ででてくる、コルホーズの女性たちの、細かい花柄ワンピースとヘッドスカーフというモダンな姿が、とても気に入りました。

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18時過ぎに仕事がひと段落したので、帰り支度しながらスマートフォンでチケットを取っていたら、一仕事舞い込んできたという。 やはりダメか……、と諦めかけましたが、なんとかギリギリ間に合わせることができたのでした。 近い新宿で、開演も19時半と遅めで、助かった……。 年度末の山を越えて比較的余裕はあるのですが、それでも平日晩は厳しいなあ、と。

[3538] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Wed Mar 29 0:56:06 2017

木曜の晩は仕事が終わった後、九段へ急行。開演時間には全く間に合いませんでしたが、このコンサートを聴いてきました。

Enzo Favata
イタリア文化会館 東京 [Istituto Italiano di Cultura, Tokyo]
2017/03/23, 18:30-20:00.
Enzo Favata (duduk, concertina, benas, bass clarinet, soprano saxophone, electronics).

テノーレ節 (Cantu a tenore) との共演など folk 寄りの jazz/improv の文脈で活動するサルディーニャ出身の multi reeds 奏者 Enzo Favata のソロでの来日コンサート。 ほとんど効果音のような電子音を伴奏に、リバーブ深めの音でルーパーで音を重ねつつ、様々な楽器を持ち替えて演奏。 開演には間に合わず、会場に着いたのは19時過ぎだったが、 concertina から、benas (launeddas に似た音色の2管の管楽器)、、bass clarinet、soprano saxophoneと演奏し、 アンコールでは Sun Ra の曲を bass clarinet で取り上げた。

サルディーニャの伝統的な楽器である benas を演奏に間に合って、聴くことができて良かった。 倍音成分の多いつん裂くような響きで、それもサーキュラー・ブリージングも使って吹き続けていたのは聴き応えあった。 bass clarinet や saxophone を使った曲でも、jazz のイディオムは強くなく、folk 的というほど泥臭くもなく、 空間に音を配置するようにパーカッシブに鳴る電子音や深いリバーブもあって、明るい地中海の風景を想起させるというより、幻想的にすら感じられる演奏が楽しめた。

知名度からしてソロでも来日ライブが観れただけでもありがたいと思う。 Riccardo Tesi が参加した Islà (Robi Droli / New Tonw, 1nt 6737 2, 1995, CD)、 Tesi に代わり Dino Saluzzi が参加した Ajò (Felmay, fy 7001 2, 1997, CD) や、 accordion が Daniele di Bonaventura [レビュー] となり launeddas 奏者の Luigi Lai やテノーレ節も参加したサルディーニャ色濃い Voyage En Sardaigne (Felmay, fy 7013, 1997, CD) など、1990年代の Jana Project での一連の作品が Favata を知ったきっかけだっただけに、 electronics を使ってのソロではなく、 accordion を含むバンド編成や、テノーレ節との共演でのライブを聴きたかった。 ソロでも良かっただけに、その点が物足りなく感じたライブだった。

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年度末の繁忙期の山も越えて (この時点でじたばたしても年度末に間に合わないので)、 慌ただしいもののひょっとして18時半開演に間に合うように職場を出れるかも、なんて淡い期待を抱いてました。 実際は、会議が終わったのが18時過ぎ。 しかし、この機会を逃したら Favata のライブなど二度と観られないだろう、と、駆け付けたのでした。 駆け付けた甲斐はありました。 しかし、平日晩の予定は読めないなあ、と、つくづく。

数年前から話はあったのですが、この4月に職場が移転することとなりました。 今住んでいる所は大変気に入っているのですが、通勤が大変なので、自分も転居することにしました。 先日、転居先が決まり、先週末はひたすら引越の準備をしていました。 今度は職場と自宅のダブル引越でまだまだ多忙な日々が続きそうです。

[3537] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Sun Mar 26 22:46:33 2017

先週末の話ですが、土曜に続いて日曜も埼玉へ。北浦和でこの展覧会を観てきました。

Posters of A. M. Cassandre: A Graphic Revolution
埼玉県立近代美術館
2017/02/11-2017/03/26 (月休;3/20開), 10:00-17:30.

戦間期 Art Deco のグラフィックデザインで知られる ロシア・ハリコフ (現ウクライナ・ハルキウ) 出身のフランス人デザイナー A. M. Cassandre のポスター展。 展示の元となったのは、やはり戦間期 Russian Avant-Garde のポスターコレクション [レビュー] でも有名な故・松本 瑠樹 氏のコレクション。 1920年代から1930年代前半までの典型的な Art Deco のデザインだけでなく、戦後の仕事までカバーした回顧展だ。 1991年に東京都庭園美術館で松本 瑠樹 コレクションの Cassandre 展が開催されているが、当時はノーチェック。 戦間期のモダンデザインの展覧会で Cassandre のポスターを度々目にする機会があったが、これだけまとめて観たのは初めて。

いわゆる Art Deco の典型的作風のデザイナーで、それも長距離鉄道や豪華客船など近代的な交通機関のポスターが特に有名。 今回、まとめて見て、遠近短縮法と似た消失点を設定した構図や、客船や機関車の一部をクローズアップで捉えて強さを強調する画面作りなど、 新即物主義 (Neue Sachlichkeit) の写真との共通点に気付かされた。 Grand-Sport のポスターは Weimar 時代の Bauhaus のロゴの顔にスポーツキャップを被せたようだし、 Casino のサインボード (1931) の形も色使いも Alexandre Rodchenko のおしゃぶりの広告 (1923) と似ている。 エピゴーネンともいえるかもしれないが、当時の Avant-Garde を消化して同時代的な広告デザインを展開しているとも言える。 そういう点でも戦間期モダンの雰囲気を満喫できた。

Le Corbier は Cassandre の Au Bucheron のポスター (1923) を「まやかしのキュビズム」と批判したとのこと。 その批判ももっともで、Cassandre のような Art Deco のデザインは、戦間期 Avant-Garde の仮想敵のブルジョワの趣味とも言える。 自分も1990年代頃までは、戦間期の Art Deco と Avant-Garde を正反対なものとして見ていた。 21世紀に入り Art Deco 展 [レビュー] を観た頃には、 戦間期の文化として、むしろ共通点を見るようになった。 そんなことを思い出した展覧会でもあった。

1930年代後半以降の仕事の展示もあったが、Art Deco 期と比べると蛇足の感は否めなかった。 Art Deco の流行も終わった1930年代後半以降、Cassandre の作風も Surrealism 的なものに変化していた。 同時代のロシアでは Avant-Garde から Socialist realism へと移った時代。 Cassandre が Art Deco から Surrealism へ移ったというのもフランスらしく感じられた。

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展覧会を観た後は、武蔵野線経由で柏へ移動。 Nardis で Sinikka Langeland の solo ライブを観てきました。 新作 The Magical Forest からの曲を中心に。 small kanele ではなく concert kantele でしたが、バンド [レビュー] と比べてフォーキーに感じられました。 しかし、柏は (心理的にも) 遠かった……。無理してハシゴするもんではなかったかな、と (多くは語らない)。

[3536] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Tue Mar 21 22:24:55 2017

土曜は午後に与野本町へ。この舞台を観てきました。

ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団 『カーネーション』
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2017/03/18, 15:00-16:50.
Ein Stück von Pina Bausch
Inszenierung und Choreographie: Pina Bausch; Bühne: Peter Pabst.
Musik: Franz Schubert, George Gershwin, Franz Lehár, Louis Armstrong, Sophie Tucker, Quincy Jones, Richard Tauber and others.
Probenleitung: Dominique Mercy, Julie Shanahan.
Regina Advento, Pablo Aran Gimeno, Emma Barrowman, Andrey Berezin, Michael Carter, Çağdaş Ermis, Jonathan Fredrickson, Scott Jennings, Blanca Noguerol Ramírez, Breanna O´Mara, Franko Schmidt, Julie Shanahan, Julie Anne Stanzak, Julian Stierle, Michael Strecker, Fernando Suels Mendoza, Tsai-Wei Tien, Aida Vainieri, Paul White, Ophelia Young, Tsai-Chin Yu
Uraufführung: 1. Fassung am 30. Dezember 1982, Opernhaus Wuppertal; 2. Fassung am 16. Mai 1983, Zelt im Englischen Garten, München.

Pina Bausch 没後、Pina Bausch の作品を動態保存するカンパニーとして活動を続ける Tanztheater Wuppertal。 前回2014年の Kontakthof [レビュー] に続いて、 今回も1989年の来日公演で上演した Nelken の再演。 もちろん1989年の来日公演は観ておらず、今回、初めて観た。 スーツ姿とイブニングドレスの男女が、ダンサーの私的な語りを交えつつ、時に遊び (1, 2, 3, Soleil とか) を舞台の上で繰り広げ、時に一列に並んで歩み進めるように踊る、 というスタイルは、 KontakthofNelken の作られた1980年前後には既に完成していたのだなあ、と。 当時は斬新だったのだろうけれど、今から観ると Pina Bausch 定番の演出も目に付く。

それでも、Kontakthof よりも遥かに楽しめたのは、愛に関するテーマというより、舞台美術の良かったから。 カーネーション (生花ではなくプラスチックの造花ですが) を整然とずらと植えた花畑のような舞台は、それだけで見応えあった。 単に見た目だけでなく、花が植わっていることで、ダンサーの動きが変わってくる。 最初のうちはできるだけ倒さないようにと、抜足差足でゆっくり動くのだ。 Jacques Tati の映画 Trafic の冒頭の場面で ワイヤを避けるために所々で抜足差足する動きを面白く観せていたのを連想させられた。 同様なもので、カンパニー名や作品名は失念したが舞台上膝下くらいの高さに格子を組んで抜足差足の動きをさせる作品というのを動画だかで観た記憶がある。 しかし、ダンサーにユーモラスな動きを強いる仕掛けとして、抽象的ものではなく、花畑を使うというのは洒落ていると、つくづく感心。 さらに、どんどん花は倒れていき、ダンサーも次第に花を倒さないような動きはしなくなっていく、そんな変化も面白かった。 そして、開演前の整然とした花畑と、終演後のぐちゃぐちゃに踏み荒らされた花畑の、強烈な対比。

海外のダンスカンパニーは音楽に生演奏を使うことが多いが、 Pina Bausch はむしろ録音で様々なミュージシャンの音源を使うという印象が強い。 今回、トレースノイズの入った Gershwin の “The Man I Love” のSP音源をテーマ的に多用しているのを聴いていて、 むしろ、レコードをかけながら踊るという感覚を意識しているようにも感じられた。

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[3535] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Sat Mar 18 21:58:42 2017

水曜は仕事帰りに渋谷へ。このライブを観てきました。

Selen Gülün & Marcello Allulli - KAPI feat. 中山 晃子
サラヴァ東京 (渋谷)
2017/03/15, 20:00-21:30.
Selen Gülün (piano, electric piano, synthesizer, voice), Marcello Allulli (tenor saxophone), 中山 晃子 [Akiko Nakayama] (alive painting).

KAPI (トルコ語で Kapi は「扉」の意) は、イタリアの electronica のミュージシャン Emanuele de Raymondi、 イタリアの jazz/improv の文脈で活動する saxophone 奏者 Allulli、 そして、トルコの piano 奏者 Gülün によって2013年に始まったプロジェクト。 Gülün は2000年代後半トルコ・イスタンブールの jazz/improv の文脈 [レビュー] で度々耳にしていたので、 ライブに足を運んでみた。

Gülün は piano だけでなく synthesizer や sampler も操り、electronica 色濃い jazz/improv. のライブだった。 ライブでの音弄りがメインという程ではなく、むしろ録音のサンプリングがメインのようにも聴こえた。 ノルウェーの多くのミュージシャンのように、音のテクスチャにとことんこだわった演奏をするわけではない。 Allulli の吹く弱い音の saxophone も、あくまで弱音であって、音響のテクスチャという扱いにはほとんど至っていなかった。 piano と saxophone という楽器の組み合わせもあると思うが、強い音での演奏となると、electronica 以前に戻るよう。

少々素朴と感じつつも楽しめた理由には、こういうタイプの音楽が好みということもあるが、 ゲストの 中山 晃子 “alive painting” もあった。 マーブリングの技法をベースに、神に定着させるのではなく、ビデオカメラで撮影してライブで投影するというもの。 カラフルで抽象な形態がどんどん変化してくところが、音楽に合っていたせいか、飽きなかった。 saxophone のブロウに合わせて水 (もしくは溶剤) をどっと流し込んで色を流したりするような所は、わかりやすぎる気もするが、 生演奏的ならではの展開として楽しんだ。

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沖縄での仕事の後始末も終え、年度末仕事は峠を越えて、少しは余裕が出てきたかな、と……。

[3534] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Wed Mar 15 0:32:43 2017

1週間以上前の話になりますが、5日の日曜の午後は初台へ。この展覧会を観てきました。

Poetics / Structures of Light and Motion
NTTインターコミュニケーションセンター
2017/01/14-2017/3/20 (月休;月祝開,翌火休;2/12休), 11:00-18:00 (金土11:00-20:00).

真鍋 大度 と 石橋 索 の主宰する株式会社 Rhizomatiks といえば、 Perfume のライブなどでのテクノロジーを駆使した映像演出を手がける会社。 メディア・アートというよりイベント類でのクライアント・ワークとしての映像演出などのプロジェクトが多いが、 Rhizomatiks Research はメディア・アート的なプロジェクトを扱う研究開発部門として2016年に設立。 もう一方の ART+COM も、この展覧会で知ったのだけれども、Rhizomatiks とも類似して、 テクノロジーやメディアを駆使したインスタレーションや空間演出を手がけている会社だ。

2社を紹介する資料映像コーナもあったけれども、この展覧会はそんな2社の仕事の記録を展示したものではなく、 メディア・アート的なインスタレーション作品を1作品ずつ展示していた。 どちらの作品も、RGBと白色という単純な色と、単純な形状を使い、 動きと反射によって複雑さと広がりを作り出すような作品だった。

Rhizomatiks Research: distortion (2017) は、照明を落としたギャラリー空間で、 数10cm角で高さ1mほどの鏡面の正四角柱が回転しつつ前後するよう動かし、 そこに強コントラストのRGB光と白色光のパターンを投射するというもの。 投影している光の形状動きは単純な図形なのだが、四角柱がその動きを複雑にして、3D CG の万華鏡を見ているよう。 3D VRでもないのにVR酔いしそうになるほどだった。

もう一方の ART+COM: RGB|CMYK Kinetic (2015) は、 Sónar と Sorigué Foundation からの委嘱による作品。 2本の紐で吊るしたハーフミラーの円盤が5枚、紐を操作することで円盤を上下左右に動かしつつ、 RGB光と白色光を投影するインスタレーション。 面で光を当てると反射したRGB光と透過したCMYがパターンを作り出す。 ゆっくりした円盤の動きが、色のパターンのゆっくりした動きを作り出す。 そのゆっくりとした動きと色彩、そして、Ólafur Arnalds による post-classical な音楽も詩的にすら感じるインスタレーションだった。

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最近は、Socially Engaged Art の work in progress 的なインスタレーション・資料展示より、 実験的でもテクノロジーを駆使してきっちり仕上げてきたデザインや空間演出のようなクライアントワークの方が 自分には楽しめるような気がします。ふうむ。

もちろん、東京オペラシティ アートギャラリー で開催中だった展覧会 山本 耀司・朝倉 優佳 『画と機』 も観てきました。 Y's 〜 Yohji Yamamoto の服をよく着ていた頃もあり (今でもよく着ているものもある)、それなりに期待していたのですが。 そもそも今までの仕事の集大成という展示でもなく。期待したものとは異なる展覧会でした。ふむ。 もともと、初台へは翌週12日にでも行こうかと考えていたのですが、 12日も野暮用で潰れることになったので、『画と機』に間に合うよう、急遽5日に行くことにしたのでしたが。

先週は、後半は仕事で沖縄にいたのですが、コートが着たくなるような寒さ。 沖縄でこんなに寒かったのは初めてです。金曜土曜と冷たい雨……。 で、土曜に東京に戻って、日曜は野暮用で潰れたのでした。 というわけで、先週末の談話室向けのネタはありません。